
書籍:一流の人望力 人の心をつかむ人がいつもやっていること
著者:金川裕一
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
ISBN-10 : 4799333151
AI時代にこそ磨くべき「人望力」。金川裕一『一流の人望力』書評。
現代のビジネス環境は、AI(人工知能)の進化によって、かつてないスピードで変化しています。知識や情報の処理能力、論理的な判断といった、これまで人間が磨くべきとされたスキルの多くは、AIによって効率的に代行されるようになりました。
情報や論理はコモディティ化し、人間同士の競争優位は別の場所に移行しています。では、この激動の時代において、私たち人間が真に磨くべき能力とは何でしょうか。
私は、それは単なるスキルを超えた、人間としての魅力であると確信しています。 論理だけでは人は動きません。納得感、共感、そして何より信頼が、人の行動を突き動かすのです。AIが普及すればするほど、データに基づいた判断は容易になります。
そこで差別化となるのは、その判断をどう伝え、周囲を巻き込み、実行に移していくか、という「人望力」の勝負になります。人望力とは、単なる人気者ではなく、周囲から心から信頼され、「この人のために」と思わせる人間的魅力のこと。
金川裕一氏は『一流の人望力』で、人望を先天的な才能ではなく、誰もが後天的に磨ける「スキル」として捉えています。 変化が激しく、正解のない時代に持続的な成果を生み出すには、個人の知識や能力だけでは不十分です。思い込みに左右されずに判断の質を高め、物事を構造的に捉えながら、周囲の信頼と協力を得る力が欠かせません。その土台となるのが、人望力です。
本書は、著者の豊富なビジネス経験をもとに、人の心をつかみ、良好な関係を築き、人生とキャリアを切り拓く方法を具体的に示した実践的な指南書です。人望は一部のカリスマだけが持つ資質ではなく、日々の言葉や行動を変えることで、誰でも高められる。本書は、そのための考え方と習慣をわかりやすく教えてくれます。
著者が提示する人望力を磨くためのポイント、メリット、そして何より「行動」と「言葉」の重要性は、現代のビジネスパーソンにとって確かな指針となります。
特に、リモートワークやフリーランスが増加し、組織の壁が低くなる中で、個人の信頼=人望力がチャンスを引き寄せ、困難を乗り越える鍵となることの重要性は、これまで以上に高まっています。
この記事でわかること
・AI時代に「人望力」が必要不可欠な理由と、最強の差別化戦略になる理由
・人望力を後天的に磨くための、現場で培われた5つの具体的なスキル
・凡事を非凡にする凡事徹底の精度を上げ、人望力を習慣化する方法
・相手の立場に立った想像力と誠意で、「事前期待」を超える技術の本質
・質の高い「問い」で関係性を深める、真のコミュニケーションのあり方
・チャンスを引き寄せる「言葉」の力と、人生を動かすシンプルな「行動哲学」
・リーダーとしての「人を見る目」と、成功への「あいうえお」が示す人間性の重要性
30秒でわかる本書のポイント
【結論】
・人望力は先天的な才能ではなく、日々の小さな行動の積み重ねで磨くことができる後天的な「スキル」である。 ・AI時代、情報処理や論理的な判断はAIが代替可能になるため、人間独自の「人を動かす力」「信頼を築く力」である「人望力」が成果を左右する。
【原因】
・多くの人が人望を性格や才能の問題と誤解し、意図的に磨こうとしない。
・情報や論理はAIが代替可能になり、人間独自の共感や感情に基づく能力の価値が相対的に高まっている。
【対策】
・本書が示す「人望力を磨くための5つのポイント」を日々の行動に落とし込み、習慣化する。
・「まず動く」「やりたいことを言葉にする(宣言する)」というシンプルな行動哲学を実践し、チャンスを引き寄せる。
本書の要約
著者の金川裕一氏が、自身の豊富なビジネス経験から導き出した「人望力」の磨き方を、具体的かつ実践的に解説した一冊です。 本書で語られる人望力とは、単に多くの人から好かれることや、表面的な人気を集めることではありません。周囲から心から信頼され、「この人と一緒に働きたい」「この人のためなら力を尽くしたい」と思ってもらえる人間的な魅力を指します。
著者は、人望力を生まれ持った才能や性格ではなく、日々の行動や考え方によって後天的に身につけられる「スキル」として定義しています。そのため、特定の業種や役職に限らず、あらゆるビジネスパーソンが実践できる普遍的な能力だと説いています。
本書は、「成長行動力」「事前期待を超える力」「信頼関係構築力」「マネジメント力」「キャリアと人望力の関係」という5つのポイントを軸に構成されています。著者自身の成功だけでなく、失敗や逆境から得た学びも交えながら、人望を高めるための具体的な行動をわかりやすく紹介しています。
特に印象的なのは、挨拶や返信、約束を守るといった「当たり前」の行動を、誰よりも高い精度で積み重ねることの重要性です。特別なことを一度だけ行うのではなく、小さな誠実さを継続することが、長期的な信頼につながります。
また、相手が何を期待しているのかを想像し、その「事前期待」を少しでも超える行動を取ることが、人望を育てると述べています。そのためには、相手の立場に立つ想像力と、期待に応えようとする誠意が欠かせません。
さらに、質の高い「問い」を投げかけ、相手の考えや価値観を深く理解することも、信頼関係を築くうえで重要です。自分の意見を一方的に伝えるのではなく、相手に関心を持ち、丁寧に話を聞く姿勢が、関係性をより強固なものにします。
リーダーに対しては、能力や実績だけで人を判断せず、その人の姿勢や可能性を見抜く「人を見る目」が必要だと指摘しています。 人望力を磨けば、周囲から信頼されるだけでなく、新しい仕事や出会い、成長のチャンスが集まりやすくなります。
困難な局面では助けてくれる人が現れ、チームの結束力も高まり、個人の能力を超えた大きな成果を生み出せるようになります。人望力は、短期的な成功を得るためのテクニックではなく、持続可能な成果と豊かなキャリアを築くための基盤なのです。
AIが多くの知識や業務を代替する時代だからこそ、人間らしい信頼関係の価値は、これまで以上に高まっています。「動く」「言葉にする」「受けた恩を忘れない」というシンプルな行動を愚直に積み重ねることが、人望を育て、キャリアと人生を切り拓く力になります。本書は、人から選ばれ、応援される人になるための本質的な考え方と実践方法を教えてくれる一冊です。
こんな人におすすめ
・部下やチームのマネジメントに悩んでいるリーダー、マネージャー。
・周囲から信頼され、より大きなチャンスをつかみたいビジネスパーソン。
・キャリアアップや人間関係の構築に課題を感じている人。
・AI時代における人間独自の強みとは何かを模索している人。
自身の人間力、コミュニケーション能力を高めたいと願うすべての人。
・「まず動く」ことの重要性を理解し、人生を変えたいと考えている人。
本書から得られるメリット
・人望が生まれつきのものではなく、後天的に磨けるスキルであるという確信。
・信頼関係を築き、周囲の協力を得て成果を出すための具体的な行動指針。
・リーダーシップ、コミュニケーション能力を高め、チームパフォーマンスを最大化する方法。
・凡事を非凡にする凡事徹底の精度を上げ、判断の質を高めるヒント。
・「まず動く」ことの重要性を理解し、チャンスを引き寄せる行動哲学。
・やりたいことを「言葉にする(宣言する)」ことで、周囲を動かし、自分を動かす方法。

AI時代だからこそ、論理を越えた「人望力」が必要不可欠な理由
チャンスを引き寄せるのは人望力次第。(金川裕一)
AI時代の競争力は、知識量だけでなく、人を動かし、信頼を成果へ変える「人望力」によって決まります。 AI(人工知能)の進化は、ビジネスの現場に大きな変革をもたらしています。
かつては専門家にしか扱えなかった高度な知識や複雑なデータ分析、論理的な推論も、現在ではAIが驚くべきスピードと精度で代行するようになりました。情報を収集し、整理し、最適解を導き出すといった「IQ」的な能力は、AIの普及によって相対的にコモディティ化しつつあります。
では、AI時代に人間にこそ求められる能力とは何でしょうか。私は、その答えの一つが、本書のテーマである「人望力」だと考えています。 AIは、膨大なデータから論理的に妥当な答えを導き出せます。しかし、人間は正しい答えを示されただけでは、必ずしも行動しません。「なぜ、それを行うのか」という納得感や、「この人の考えなら信じられる」という信頼、「一緒に実現したい」という共感があって、初めて人は動き始めます。
AIによってデータに基づく判断が容易になるほど、差が生まれるのは、その判断をどう伝え、周囲の共感を引き出し、行動へと結びつけるかという部分です。正解を出す能力だけでなく、その正解を組織の成果へ変える力が問われるようになります。人望力は、まさにこの「人間力」の中核を担うものであり、AIでは簡単に代替できない人間独自の強みです。
1000億円企業を築いたプロ経営者である金川裕一氏は、人望力を単なる人気や好感度とは捉えていません。それは、周囲の人に「この人と一緒に仕事をしたい」「この人のためなら力を尽くしたい」と思わせる人間的な魅力です。信頼関係を築き、人の力を引き出し、共通の目的に向けて組織を動かす能力だと言い換えることもできます。
ここで、「人望は生まれつきの性格や才能で決まる」という思い込みに陥ってはいけません。本書が強調しているのは、人望力は後天的に身につけられるスキルだということです。約束を守る、すぐに行動する、感謝を言葉にする、相手の期待を超える、受けた恩を忘れない。こうした日々の小さな行動を習慣として積み重ねることで、人望は着実に育っていきます。
AIを使いこなしながら、人間としての力を磨く。この両輪を回すことが、これからの時代を生き抜くための重要なキャリア戦略になります。AIの活用能力だけを高めても、周囲から信頼されなければ、大きな仕事を成し遂げることはできません。一方、人望があっても、テクノロジーを拒絶していれば、生産性や競争力の面で後れを取ります。
必要なのは、AIによる知的生産性と、人望力による関係構築力を組み合わせることです。 人望がある人のもとには、「あの人に相談したい」「あの人に任せたい」「あの人と新しいことに挑戦したい」という声が集まります。
自ら必死に仕事や機会を探し回らなくても、新たな出会いや成長の機会が向こうから舞い込むようになります。人望力は、キャリアの選択肢を広げ、自分一人では到達できない成果を生み出す基盤となるのです。
また、ビジネスは常に順調に進むとは限りません。失敗や逆境、想定外の変化に直面することもあります。そのようなとき、人望のある人は孤立しません。過去に築いてきた信頼関係が支えとなり、助言をくれる人、協力してくれる人、再挑戦の機会を与えてくれる人が現れます。
人望力は、平時にチャンスを引き寄せるだけでなく、危機に際して自分を支える社会的なセーフティネットにもなります。 人望力は、キャリアの安定性と拡張性の両方を高める重要な資産です。
不確実性が増し、昨日までの知識やスキルが短期間で陳腐化するAI時代だからこそ、長期的な信頼関係の価値はむしろ高まります。人望力を意識的に磨くことは、変化の激しい時代を生き抜き、持続的な成果を生み出すための、最も賢明な意思決定の一つなのです。
精神論ではない。現場で培われた「人望力を磨くための5つのポイント」
地味な積み重ねこそが、信頼と成功をつくる。
本書の最大の特徴は、人望力を単なる「心がけ」や「精神論」に終わらせず、具体的なスキルとして定義し、その磨き方を体系化している点にあります。金川氏が自身の現場経験から導き出した「人望力を磨くための5つのポイント」は、極めて普遍的であり、どんな業種・職種でも応用が可能です。
①成長に結びつく行動力を養う
ただ学ぶだけでなく、それをアウトプット、行動に移すことが重要です。その姿勢が周囲に刺激を与え、信頼へと繋がります。
②事前期待を超える力を身につける
相手が求めているものを一歩先回りして考え、期待を上回る価値を提供する。このサプライズと誠実さが、人望力を強固なものにします。
③信頼関係を構築する力を持つ
一貫性、誠実さ、約束を守ること。信頼は、日々の小さな行動の積み重ねによって築かれます。一度崩れた信頼を取り戻すのは困難です。
④人がついてくるマネジメント力を培う
権力や地位で人を動かすのではなく、人望によって自発的な協力を引き出す。これが、AI時代におけるリーダーシップのあり方です。
⑤キャリアと人望力の関係を認識する
人望力は、キャリアを築くための強力な武器になります。チャンスを引き寄せ、困難を乗り越える力になるのです。 これらのポイントは、どれも特別な才能を必要としません。日々の小さな行動、習慣化によって、誰にでも育てていけるのです。
本書は、その具体的な方法論を、著者の実体験を交えて説いています。経営者やコンサルタントとしての顧客理解の視点からも、極めて重要な論点です。顧客の事前期待を理解し、それを超える想像力と誠意で接することこそが、顧客から信頼され、成果を生み出す鍵です。
人望力は、キャリア形成、学び直し、組織づくり、習慣化、未来への備えといったテーマとも深く結びついています。変化の激しい時代には、過去の成功体験や思い込み、無意識のバイアスに引きずられず、自分自身や周囲の人々と誠実に向き合う姿勢が求められます。
自らのキャリアを主体的に設計するうえでも、人望力は重要な基盤です。周囲から信頼され、多様な意見を受け入れ、協力を引き出す力があれば、新たな学びや挑戦の機会も広がります。人望力を磨くことが、学び直しや自己成長への意欲を高め、結果としてキャリアの可能性を広げてくれるのです。
さらに、リーダーが人望力を発揮すれば、メンバーは安心して意見を述べ、自ら考えて行動できるようになります。人望力とは、単に人から好かれるための力ではありません。一人ひとりの主体性を引き出し、互いに学び、協力しながら成果を生み出す「自律的なチーム」を育てるために欠かせない能力なのです。
著者は、人望力を磨くための土台として、「当たり前」のことを当たり前にやることの重要性を説いています。ビジネスにおける「当たり前」とは、約束を守る、挨拶をする、誠実に接する、といった、一見些細な行動です。しかし、これらをどのような状況であっても、高い精度でやり続けることは、実は容易ではありません。
その「凡事を非凡に」やり遂げる姿勢こそが、周囲からの信頼となり、やがて人望力へと昇華されていくのです。これは本ブログの主要テーマでもある「習慣化」の力です。特別なことではなく、日々の小さな凡事徹底が、判断の質を高め、構造で考える際にも不可欠な、確固たる自分軸を築きます。
思い込みに騙されず、自らの行動を変え、習慣化していくことで、誰にでも人望力を育てていけるのです。 AI普及で効率性は上がりますが、誠実な行動の積み重ねは人間にしかできません。日々の凡事徹底の精度を上げること。これが、一流の人望力を手に入れるための、確実な第一歩です。
凡事徹底の精度は、顧客理解にも直結します。顧客との約束を守る、顧客の声に誠実に耳を傾ける。これらの「当たり前」が高い精度で行われる組織こそが、顧客から信頼され、持続可能な成果を生み出すことができるのです。習慣化の力で、日々の行動を変え、人望力を磨き続けていきましょう。判断の質を高めるためにも、凡事徹底の精神は不可欠です。
信頼と感動を生み出す、「事前期待」を超える想像力と誠意の技術
期待を超えるとは、相手を想像し、配慮する力。
人望力を高める鍵は、相手の「事前期待」を超えることです。人と人が会うとき、相手は言葉にしなくても、「今日はこうなるだろう」「この程度の対応だろう」と予想しています。著者は、この目に見えない想定を「事前期待」と呼んでいます。
事前期待を超えるために、特別な才能は必要ありません。大切なのは、相手の立場に立って必要なことを想像し、先回りして行動することです。 著者は、かつて経営していたコールセンターでの経験から、「相手の立場で考え、先手を打ち、自分にできる精いっぱいの誠意を尽くすこと」が本質だと説きます。こうした想像力と誠意の積み重ねが、信頼や感動を生み、やがて自分自身のブランドを形成していくのです。
これは、コンサルタントにとっても重要な視点です。顧客が何を期待し、何に困っているのかを理解したうえで、その期待を一歩超える提案や行動を示す。そこに、選ばれ続ける理由が生まれます。事前期待を超えることの本質は、顧客との信頼関係を築くことにあります。
本書のもう一つの重要な主張が、「チャンスは動いた人にやってくる」という行動哲学です。動かなければ失敗は避けられますが、成功や成長の機会も得られません。すべてのチャンスは、最初の一歩を踏み出した人に開かれます。
大きな挑戦である必要はありません。「まずやってみる」「誘われた場所へ行ってみる」「興味のある人に会ってみる」といった小さな行動が、新たな縁や機会につながります。慎重に考えることは大切ですが、考えすぎて動けなくなっては意味がありません。
特別な才能がないと思う人ほど、まずは行動することが重要です。 行動すれば、机上では得られなかった情報や経験が手に入ります。その新しい情報をもとに仮説を修正することで、次の意思決定の質も高まります。つまり、正しい判断ができるまで待つのではなく、小さく動きながら判断を改善していくことが大切なのです。
そして、行動と同じくらい重要なのが「言葉にすること」です。著者は、やりたいことがあるなら、まず宣言することを勧めています。 「やりたいことを考え、行動する」だけでは不十分です。 「やりたいことを言葉にし、周囲に宣言してから行動する」ことで、協力者や必要な情報が集まりやすくなります。
宣言には周囲を巻き込むだけでなく、自分自身の覚悟を固め、行動を継続させる効果もあります。目標を言葉にすることが、習慣化と自己成長の出発点になるのです。
AIは情報の整理や分析を効率化できますが、周囲との信頼を築き、人を巻き込み、チームを動かす役割は人間が担います。AI時代だからこそ、「宣言する」「行動する」「信頼を積み重ねる」という人間的な力の価値が高まります。
著者は、リーダーに必要な「人を見る目」についても論じています。リーダーは積極的に人と会い、多様な価値観や行動に触れながら、人を見極める力を養わなければなりません。 人を見る目があれば、それぞれの強みや性質を理解し、適材適所に配置できます。
メンバーが能力を最大限に発揮できる環境を整えることは、リーダーの重要な仕事です。リーダー自身が人望力と人を見る目を磨くことが、組織全体のパフォーマンス向上につながります。
本書の最後には、事業を成功させるための「あいうえお」が紹介されています。
・「あい」――愛:仕事に対する情熱
・「う」――運:タイミングやチャンス
・「え」――縁:人との出会いや関係
・「お」――恩:支えてくれた人への感謝
この「あいうえお」は、著者の人生観と、経営者としての誠実な姿勢を象徴しています。今の自分にできることを真剣に続けていれば、その姿を見てくれる人が現れます。一方で、受けた恩を忘れれば、やがて人が離れ、信用も失われます。
AIがどれほど進化しても、持続的な成果を左右するのは、最後には人間性です。相手の期待を超え、まず動き、思いを言葉にし、人との縁や受けた恩を大切にする。こうした行動を積み重ねることが、人望力を育て、キャリアと組織の可能性を広げていくのです。
コンサルタント 徳本昌大のView
人望力を先天的な性格や才能ではなく、後天的に習得できる「スキル」であり、日々の「行動の結果」として捉える。本書が示すこの考え方の誠実さと実務性に、私は深く共感しました。人望を曖昧な精神論で終わらせず、誰もが実践できる具体的な行動指針にまで落とし込んでいる点に、本書の大きな価値があります。
私はコンサルタントとして、これまで多くの経営者やリーダーと向き合ってきました。その経験から、継続的に成果を上げ、周囲から信頼されている人には、例外なくこの「人望力」が備わっていると感じています。
ただし、人望力は、名刺の数やSNSのフォロワー数で測れるものではありません。表面的な人気や、一時的な好感度とも異なります。約束を守る誠実さ、すぐに動く行動力、相手の本音を引き出す問いかける力、事前期待を超える想像力、そして周囲のために惜しみなく力を尽くす貢献姿勢。こうした日々の小さな行動が積み重なることで、簡単には揺らがない本物の信頼が生まれるのです。
私自身、17年前に「毎日このブログを書き続ける」と宣言し、それ以来、一日も休まず更新を続けています。この継続によって得られたのは、文章力や知識だけではありません。「徳本は一度決めたことをやめない人だ」という評価が得られ、自分自身のブランドを強化できました。
さらに、毎日の書評を通じて、多くの著者や編集者の方々とのつながりも生まれました。最初から人脈を広げることを目的にしていたわけではありません。読んだ本から得た価値を言葉にし、著者や読者に届けるという行動を愚直に続けた結果として、信頼のネットワークが形成されたのです。
振り返ってみれば、継続という小さな約束を守り続けたことが、人望力を育て、仕事や人生の選択肢を広げてくれたのだと思います。
本書は、このように目には見えにくい人望力の構造を整理し、その磨き方を体系的に示しています。「人に好かれよう」とするのではなく、相手の立場に立って考え、自分が提供できる価値を行動で示し続ける。その積み重ねが信頼を生み、やがて「この人と一緒に仕事をしたい」「この人を応援したい」という感情につながります。
この考え方は、経営者や管理職だけでなく、すべてのビジネスパーソンにとって有益です。 特にAI時代の到来によって、人望力の重要性は、これまで以上に高まっています。今後、情報収集やデータ分析、論理的な判断の多くは、AIによって効率化・代替されていくでしょう。
しかし、相手の感情を理解し、共感を生み出し、長期的な信頼関係を築くことは、依然として人間が担うべき重要な役割です。 AIが合理的な答えを提示できても、その答えに納得してもらい、周囲を巻き込み、実際の行動へとつなげるためには、人と人との信頼が欠かせません。正しいことを伝えるだけでは、人は動かないからです。
「この人の言葉なら信じられる」「この人となら困難を乗り越えられる」と思ってもらえるかどうかが、リーダーの成果を大きく左右します。 人望力は、AI時代における有力な差別化戦略であり、人間としての価値を高める重要な資産です。それは一部の特別な人だけに与えられた才能ではありません。思い込みに騙されず、自分の行動を見直し、誠実な振る舞いを習慣として積み重ねれば、誰でも育てることができます。
挨拶をする、約束を守る、感謝を言葉にする、相手の期待を想像する、受けた恩を忘れない。そして、決めたことを簡単にやめない。本書が教えてくれるのは、こうした当たり前の行動の精度を高め、継続することの大切さです。人望力とは、特別なテクニックではなく、日々どのように人と向き合い、どのような行動を選び続けるかによって形成される、信頼の蓄積なのです。
FAQ
Q1: 内向的な性格ですが、人望力は磨けますか?
A1: はい、磨けます。 人望力は先天的な才能や性格ではなく、後天的に磨ける「スキル」と「行動の結果」です。内向的な人の強み(誠実さ、傾聴力)を活かしつつ、問いかける力や事前期待を超える想像力を磨けば、周囲から信頼されることは十分に可能です。本書は特定の性格に向けたものではなく、日々の小さな行動の積み重ねを説いています。思い込みに騙されず、自らの行動を変え、習慣化していくことで、誰にでも人望力を育てていけるのです。
Q2: 「事前期待を超える」のは難しそうですが、どうすればいいですか?
A2: 特別な才能は不要。まずは相手の話に耳を傾けることから。 事前期待を超えるというのは、特別な才能やスキルが必要なことではありません。相手の立場に立ち、少しだけ想像力をはたらかせ、行動すること。その誠意と想像力の積み重ねが、やがて信頼と感动を生み出します。
まずは、相手の話に真摯に耳を傾け、相手が何を求めているのか、その事前期待を理解することから始めましょう。そして、自分ができる精一杯の誠意を尽くすこと。その積み重ねが、やがて確かな信頼やつながりを築いていく鍵です。
顧客理解を深めるためにも、事前期待を超える想像力と誠意は不可欠です。特別な才能は必要ありません。相手の立場に立ち、少しだけ想像力をはたらかせ、行動すること。それができるかどうかが、信頼や感動を生む鍵なのです。
Q3: AI時代に「言葉にする(宣言する)」ことがなぜ重要なのですか?
A3: 周囲の協力を得て成果を出すため、そして自らを動かす原動力にするため。 AI普及で知識や論理はコモディティ化し、差別化の鍵は「人を動かす力」「信頼を築く力」である人間力となります。やりたいことを宣言することは、周囲の人間から協力を得られ、AIでは解決できない複雑な問題を解決するチームを作ることができるのです。
また、言葉にすることで、自らの行動を変え、習慣化していく原動力になります。知的生産性を高め、判断の質を高めるためにも、言葉にし、宣言することは不可欠です。学び直し、自己成長のためにも、やりたいことを宣言し、行動の中から得られた情報が、より質の高い意思決定を可能にします。
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