人を選ぶ技術 経営 人材の超プロが教える
小野壮彦
フォレスト出版
本書の要約
事業で成功したければ、何をやるかよりも誰とやるかが、はるかに重要ですが、残念ながら、世の中には「人を見るメソッド」が存在しませんでした。しかし、著者の4階層のフレームワークを使うことで、本当に優秀な人を見極められ、組織を強くできるようになります。
成功するためには、誰とやるかが重要
成功を目論むならば、アイデアよりも、ファイナンスよりも、「誰とやるか」がはるかに重要であることは、人生経験を積めば積むほど痛感するものだ。(小野壮彦)
事業で成功したければ、何をやるかよりも誰とやるかが、はるかに重要ですが、残念ながら、世の中には「人を見るメソッド」が存在しませんでした。人を選ぶことは、言語化も体系化もなされていなかったために多くの経営者や起業家は自分の勘に頼っていましたが、著者の小野壮彦氏は、その常識を打破してくれました。
起業家×経営者×コンサルのトリプルキャリアを持ち、世界最高峰ヘッドハンティングファーム「エゴンゼンダー」の共同経営者を務め、100社以上、5000人超のハイクラス人材を見極めた著者が、人を選ぶ技術を一冊の書籍にわかりやすくまとめてくれました。
著者は人を見る目を磨くことで、幸せになれると言います。
「人を見る目」を身につけることの最大のメリットは、所属組織が良くなることでなく、自分自身が幸せになることに他ならないからだ。
人のコミュニケーションを通じて、他者と自分を客観的に理解できれば、自分自身に対しての期待値と、他人が自分へ持つ期待値を、ジャストなところに設定することができるようになります。日々の努力を重ねて、期待値を超えていけば、自分を幸せにできるのです。
著者は優秀で無害な人と優秀で有害な人を見極めることは難しいと指摘しますが、よい組織を作りたければ、この見極めが重要になります。その際、本書のノウハウを身につけることで、組織に害をもたらす優秀なEVILを選ばなくなります。
優秀な人を見極めるフレームワークとは?
人を見るための思考の枠組みとなるフレームワークを持ってはじめて、なりゆき任せではない、意志を込めた試行錯誤が可能となり、習得が進むのである。
人を見る際には、人間を地下深くにつくられた建物階層のように捉えていきます。
・地上1階・・・「経験・知識・スキル」
・地下1階・・・「コンピテンシー」
→成果志向、変革志向、戦略志向などの好業績者の行動特性で、相手の将来の行動を予測できる。
・地下2階・・・「ポテンシャル」
→好奇心、洞察力、共鳴力、胆力など相手のエネルギーを見極め、過去ではなく、未来の伸び代を見極める。
・地下3階・・・「ソース・オブ・エナジー」
→「使命感」と「劣等感」は陰と陽の対の関係ですが、劣等感を強烈なバネにしながら行動することができる人。
建物の上部は他人から見えやすく、わかりやすく、そして変わりやすいという特徴があります。一方、地下に潜れば潜るほど見えにくく、わかりにくく、変わりにくくなります。 このフレームワークを活用し、人の内面を捉えると、人を見ることが非常に楽になります。
このフレームワークを覚え、意識的に人との経験を重ねれば、人間の内面が設計図のように目の前に浮かび上がるようになるのです。
どんなに知識や経験を重ね、コンピテンシーを磨き、生まれ持ったポテンシャルが高くても、事を成す人となるには、行動の源泉である「使命感」や「劣等感」の強さと、矢印を他人や環境ではなく、自分に向けられるか否かにかかっているのだ。
優秀な人を見極める際には、優秀なEVILを選ばないようにすべきです。
ジョージタウン大学准教授のクリスティーン・ポラス氏によると、EVILな社員は、スーパースター社員2人分以上が生み出す利益を簡単に吹っ飛ばしてしまうと指摘します。苦労して見つけた超優秀な社員2~3人分が生み出す価値を、たった1人のEVILが帳消しにしてしまうのです。EVILな社員には、有害性の拡散、訴訟費用、従業員の士気の低下、顧客の動揺など様々なリスクがあることを忘れないようにしましょう。
優秀なEVILには、マウント型やナルシスト型のサイコパスが多いと言います。面接の際の言動や行動に注意を払い、優秀な人材とEVILを見極めることが、組織の成長には欠かせません。
面接をする際には、ギブ&テイクのマインドで臨みましょう。面接官が積極的に自己開陳を行い、自分と一緒に働きたいと思ってもらうことが重要です。面接によって、優秀な人の魂とシンクロナイズする瞬間を生み出せるようになれると組織に優秀な人が集まるようになります。
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