超訳 言志四録 佐藤一斎の「自分に火をつける」言葉 (田口 佳史) の書評

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超訳 言志四録 佐藤一斎の「自分に火をつける」言葉
田口佳史
三笠書房

本書の要約

言志四録 を超訳した田口佳史氏は「経験を整理するのが古典だ」と古典を読むべき理由を明らかにしています。 古典の中の名言の数々に触れ、それらを自分の日常と照らし合わせてみることによって、自分が反省すべき点が明らかになります。古典を読むことで自分の思考と行動をどう変えればよいのかのヒントを見つけられるのです。

佐藤一斎の言志四録とは何か?

学に志すの士は、当に自ら己を頼むべし。人の熱に因ること勿れ。(佐藤一斎)

私は今年還暦を迎えますが、最近は古典に触れる時間が増えています。歴史書、哲学書、中国の古典などを読むことで、残りの人生をどう生きるかを真剣に考えることができます。

今日取り上げる『言志四録』は幕府大学守林家の塾長であった佐藤一斎の講義記録です。佐藤一斎は幕末に活躍し、多くの英傑を指導したことで名を残しています。佐藤一斎の数千人に上る直弟子には佐久間象山がいます。その象山の門下から、勝海舟、坂本龍馬、吉田松陰、小林虎三郎らが輩出されました。さらに、吉田松陰の門下からは高杉晋作、久坂玄瑞、木戸孝允、伊藤博文、山県有朋などの幕末の英雄が生まれています。

一斎は学ぶ際には、人頼みにするのではなく、自分でモチベーションを高めるべきだと言います。漢の武帝の頃の思想書「淮南子」から「火を乞うは、燧を取るに若かず。汲を寄するは、井を穿つに若かず」という言葉を紹介します。「火が欲しいなら、自分で火打石を打て。水が欲しいなら、他人の汲み水を当てにしないで、自分で井戸を掘れ」という厳しい姿勢が、学びには欠かせないというのです。

このブログを書き始めて12年経ちますが、毎日書評ブログを更新すると決め、1日も欠かさず書いています。最初はブログを書くことが辛かったのですが、今は書くことが楽しくなってきました。

アウトプットのためにはインプットである読書の時間を確保する必要があります。時間がない時や疲れている時にも、少しでも時間を見つけると本を開くようにしています。読書を日々の習慣にすることで、さまざまな知識を得られるだけでなく、思考力が身に付きます。

自分が得た知識をブログで発信することで、読者の方から感謝の言葉をいただけるようになりました。みなさんからのフィードバックが私の書くモチベーションを高めてくれています。

古典を読むべき理由とは?

人の話を聞くと、もっと聞きたくなる。本を読むと、もっと読みたくなる。そんな具合に、好奇心や知識欲にいったん火がつくと、「もっと、もっと」の気持ちが膨らんでいくものです。それが、向上心──「資善の心」の正体です。 (田口佳史)

本書の超訳を担当した東洋思想研究者の田口佳史氏は、知識欲に一旦火がつくと、向上心が高まると言います。一斎は「吾既に善を資るの心有り。父兄師友の言、唯聞くことの多からざるを恐る。読書に至りても、亦多からざるを得ん。聖賢云う所の、多聞多見、意正に此の如し 」と述べていますが、学ぶ楽しみを知れば、好奇心が高まるのです。

向上心があると、父や兄、先生、友人たちの話をいくら聞いても「もうたくさんだ」などと思わず、「聞き洩らしたことがあったらどうしよう。もっと大切なことを聞き忘れているかもしれない」と心配します。どんなにたくさんの本を読んでも、読みたい本がどんどん出てきて、なお「読んでおくべき本がもっとあるはずだ」と向上心が高まります。

私は著者が引用する書籍や参考文献をアマゾンでチェックし、面白そうだと思った本はその場で購入するようにしています。日々、自分が知らない世界に触れ、学びを続けることで、ワクワクできるようになりました。

初には文を学び、次には行を学び、終には心を学ぶ。然るに初の文を学ばんと欲する、既に吾が心に在れば、則ち終の心を学ぶは、乃ち是れ学の熟せるなり。

佐藤一斎は学びには3つの段階があると言います。
1、文を学ぶ。
教養を身につけることで、人生をより豊かにできます。まずは、教養を高めることに時間を使いましょう。

2、行を学ぶ
実践躬行、学んだことを自ら行動に移します。知識を得るだけでなく、行動し、失敗を繰り返すうちに自分を成長させられます。

3、心を学ぶ
学ぶことを志すことも、学びを習慣化することも心があるからです。心を鍛えることが学びには欠かせません。学問は自分の人間性を高めるためにあり、人格・教養を鍛錬することが重要なのです。

舜公は早朝から夜遅くまで国民のことを考えて善行をなそうと努めた。夏の禹王は治山治水により洪水を止めるなどして道を尽くした。殷の湯王は朝は自分の心をまっさらにするためにあると言った。周の文王は休む暇なく働いた。周公は夜中でも良い考えを思いつくと、夜が明けると同時に実行に移した。

中国歴代の王朝の名君も「知行合一」を心掛けたと一斎は指摘します。

田口氏は「経験を整理するのが古典だ」と古典を読むべき理由を明らかにしています。 古典の中の名言の数々に触れ、それらを自分の日常と照らし合わせてみることによって、自分が反省すべき点が明らかになります。古典を読むことで自分の思考と行動をどう変えればよいのかのヒントを見つけられるのです。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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