超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ(田口佳史)の書評

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超訳 論語 「人生巧者」はみな孔子に学ぶ
田口佳史
三笠書房

本書の要約

ビジネスパーソンがミドル世代になると実績が積み上がり、学びをやめてしまうことがありますが、変化が激しい時代にはこれはリスクになります。人は学ばなくなると古い考えに凝り固まってしまい、やがては若い世代を遠ざけてしまいます。新たな情報が入らなくなると、ビジネスにも悪影響を及ぼします。

論語がビジネスパーソンに支持される理由

論語の言葉は、人生のありとあらゆる場面に応じて、適切な、心に響くヒントを与えてくれる。まさに「打てば響く」ように、いい言葉が返ってくるのだ。(田口佳史)

中学時代の夏休みの読書課題に「論語」があり、読むことが苦痛だったことを覚えています。その後、しばらくは論語アレルギーに苛まれ、論語とは距離を置きていましたが、就職後、渋沢栄一の影響で論語を読み返すとその印象が大きく変わりました。論語=ビジネスパーソンの悩みを解決する処方箋だと気付いてからは、定期的に論語を手に取るようになりました。

論語は約2500年前に孔子とその高弟の言行を記録した書物で、現代の経営者にも多くの影響を及ぼしています。東洋思想研究者の田口佳史氏は、「孔子は大変なリアリストである」と指摘します。長い間苦労し、放浪の旅を続ける中で孔子は、決して諦めることなく、高みを目指します。

世間から認められない時間が長く、紆余曲折はありましたが、彼の思想は時代を超えて支持されています。彼の言葉は、生きている時にはあまり評価されませんでしたが、その後の歴史が孔子の偉大さを証明しています。

悩みを抱えたときに論語を開けば、その解決策が手に入ります。気持ちが落ち込んだときに、孔子の言葉に触れることで、自分のモチベーションを高められます。

今日は「学而篇」から私の好きな言葉を紹介します。

人知らずして怪みず、亦君子ならずや。

「人は誰のためでもない、自分のために学ばなければいけない」と孔子は言います。自分自身を向上させることで、人は結果を変えられるようになります。私たちは人からの評価を気にするのではなく、自分をよくするために学ぶべきです。

いくつになっても学びが必要な理由

吾日に吾が身を三省す。

自己反省なくして、自身の向上はありません。若い頃の私は失敗だらけで、結果を出せずにいました。失敗の理由を周りに求めるばかりで、自分を責めることはありませんでした。しかし、この他責の態度が自分をダメにしていると気付いてから、自分の思考と行動が変わりました。

私は44歳まで嫌なことがあると仲間と酒を飲み、会社や上司の悪口を言って憂さを晴らしていました。いくら他責に時間を使っても、結果を変えられなければ、意味はありません。その後、断酒を実行し、自分のマインドセットを変え、私は自責を基本にしたのです。

主体的に生きると決め、自分の言葉と行動を変えることで、ダメダメ人生から脱出できました。他責の人とは距離を置き、自責の人と付き合うことで、自分の言葉と思考が変わりました。三省(毎日三度反省すること)を習慣にすること、夜にその日の自分を振り返ることで、自分の欠点を修正できるようになり、徐々に自分を変えることができました。

向上心を持ち、学び続けることで、他者に貢献できるようになります。日々、自分の価値を高めることで、周りの人から感謝される存在になれると考えることで、貴重な時間を浪費しなくなりました。

學べば則ち固ならず。

ビジネスパーソンがミドル世代になると実績が積み上がり、学びをやめてしまうことがありますが、変化が激しい時代にはこれはリスクになります。人は学ばなくなると古い考えに凝り固まってしまい、やがては若い世代を遠ざけてしまいます。新たな情報が入らなくなると、ビジネスにも悪影響を及ぼします。この態度を続けていれば、成長の機会を失い、やがては社会のお荷物になってしまいます。

「学びは一生」と捉え、いくつになっても、さまざまな人の意見に耳を傾け、新しい情報をどんどん取り入れていくべきです。私は今年から毎週大学で授業をおこなっていますが、若い世代との時間を増やすことで、彼らの考え方に触れられるようになりました。

学生たちのビジネスアイデアやトレンドを聞くことで、気持ちを新たにできます。学生から刺激を受けることで、自分が知らない世界に気付け、学ぶきっかけをもらえます。また、毎週授業をするために準備をすることで、学び直しができ、自分の世界を広げることができました。

自分より若い世代と積極的に関わり、彼らから学ぶ姿勢を持つことで、古い自分から脱却できます。いつも同じメンバーに囲まれ、昨日と同じことばかりしていては、成長はありません。自分の常識が古くなっていると学生から指摘されることもあり、アンラーニングもできるようになりました。自分と異なる考え方に出会っても、ガンコにならず、それを自分の中に取り入れるようにしましょう。

過ちては則ち改むるに悼ること勿かれ。

仕事で間違いがあったり、失敗をしたりしても、へこたれることはありません。失敗を成長の糧にして、学びを続けることで、未来を変えられます。

孔子の「人生は学びだ」というメッセージを忘れずに、自分の人生をよりよくするために読書と多様な人との交流を続けていきたいと思います。



この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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