「捨てる」思考法 結果を出す81の教え (出口治明)の書評

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「捨てる」思考法 結果を出す81の教え
出口治明
毎日新聞出版

本書の要約

現代社会は情報や物質的負担が増え続けています。そこで身軽でいることが自分やビジネスにとってプラスとなります。身軽でいることは自由な発想やアイデアを生み出し、充実した人生を送ることができます。また、決断力やアジャイルな対応力を高め、ビジネスにもメリットがあります。

過去のシステムを捨てることが日本の再生につながる?

振り返れば、僕の人生は「捨てる」と「得る」の連続でした。いわば、人生は毎日がトレードオフ。人間の器は小さくても、トレードオフによって何倍にも活かすことができます。その第一歩が「捨てる」にあることは、間違いありません。 (出口治明)

捨てることがトレードオフの第一歩で、ここが成功の起点になります。私たちが生きる社会もトレードオフによって成り立ち、新陳代謝を繰り返すことで、発展してます。

しかし、バブル崩壊後、日本はトレードオフに失敗したことで経済が低迷してしまいました。このような状況下で、ユニコーン企業を生み育てるためには、「女性・ダイバーシティ・高学歴」というキーワードが重要だとされています。

これに対し、日本の高度成長期には「男性・画一性・年功序列」というルールで運営されていましたが、これが機能不全を起こしてます。

現代において、古めかしい企業体質を捨て、新しい企業風土を築くことがますます重要になっています。そのためには、女性や多様な人材を積極的に採用し、その能力を最大限に引き出すことが必要です。また、人材育成にも力を入れ、実力主義を重視することで、年功序列による昇進に頼ることなく、企業内での公正な評価を実現できます。

特に、女性が抱える課題は深刻です。女性が活躍できる環境を整備し、その能力を最大限に活かすことが、企業にとっても社会にとっても重要です。また、多様性を尊重することで、企業には新しいアイデアやビジネスチャンスが生まれる可能性があります。

さらに、外国人人材を含め、多様なスキルを持った人材を採用することで、企業の競争力を高めることができます。これによって、日本経済は再生し、新たな可能性が開けるはずです。過去の人事や評価システムを捨てることが日本再生の起点になるのです。

自分をよりよくするためには、過去のライフスタイルを見直し、自分の生活をリセットすることが重要になります。

定時に退社して人に会ったり、本を読んだり、休日に旅をしたりして、脳に刺激を与えない限り、いいアイデアは生まれません。

経営者にとって、常に新しいアイデアを生み出すことは非常に重要です。例えば、人々と会って新しいアイデアを聞くことや、本を読んで知識を深めること、そして旅行で新しい文化や習慣を体験することで、自分自身に刺激を与えることができます。これによって、新しい視点やアイデアが生まれ、組織に革新的なアイデアをもたらすことができます。

リーダーとして、定期的に自己ケアと自己成長の時間を確保し、創造性を刺激し、イノベーションを促進することが重要です。働き方改革が叫ばれる現代においても、長時間労働や過剰な仕事量は、むしろアイデアの創造性を低下させる可能性があります。それでは、真に革新的なアイデアを生み出すことはできません。

経営者が常識を捨てたほうがうよい理由

人生も旅行と一緒で、身軽なほうが絶対に動きやすい。僕たちホモ・サピエンスの19万年前の昔に立ち返ればいいわけです。  

日常生活において、我々は時にストレスや負担を感じることがあります。これは、日々のルーティンや仕事に追われる中で、体や心が疲れ果ててしまうからです。しかし、私たち人間は、19万年前のホモ・サピエンスのように、身軽であることができます。

例えば、旅行に行く際に、荷物を減らすことで自由自在に動けるようになります。同様に、仕事においても、身軽であることが大切です。そのためには、過剰な物質的な負担を取り除き、本来の自分自身の姿に戻ることが必要です。

身軽であることは、チャレンジを受け入れる準備が整うことを意味します。例えば、新しいビジネスプロジェクトに挑戦する際に、余分なストレスを感じることなく、より柔軟に対応できます。あまりにも荷物(タスク)が重すぎると、新たなことにチャレンジできません。

身軽であることは、自分自身にとっても、ビジネスにとってもプラスの要素となるのです。 私たちは、現代社会において、日々増える情報や物質的な負担に直面しています。しかし、身軽であることを選ぶことで、より自由な発想やアイデアを生み出し、より充実した人生を送ることができるようになります。

経営者は身軽であることの重要性を理解し、自分自身やビジネスに必要なものを見極め、不必要なものを取り除くことをお勧めします。 人生は旅行と同じように、身軽であることが重要です。私たちの本来の姿を取り戻し、新たなチャレンジに時間を使えるようにすべきです。

経営者は部下の時間も大事にすべきです。

まるで高齢者を介護するかのような類いのアテンドは無駄の極みです。そうした非生産的な慣行を放置していれば、企業の競争力は落ちてしまいます。上司が単独で動けば、部下は他の仕事に時間をかけることができます。それができないなら、要するに無能な上司だということになります。

部下による上司への過度な手厚いサポートは、非生産的な慣行につながり、企業の競争力を低下させます。上司が単独で動けば、部下は他の仕事に集中することができます。それによって、生産性が向上し、企業の成長を促進することができます。

逆に、上司が手厚いサポートをしすぎたり、部下の仕事を取り上げたりすると、部下の能力が発揮できず、企業の成長に悪影響を与えることになります。 上司は、部下が自ら考え、行動できるような環境を整えることが大切です。上司が適切なサポートを行い、部下の能力を引き出すことができれば、生産性が向上し、企業の競争力が高まることになります。

日本の企業社会では、偏差値がそこそこ高くて、素直で、我慢強くて、協調性があって、上司の言うことをよく聞くという「5つの要素」を持った人材を積極的に採用していました。しかし、こうした空気を読む従順な社員に「面白いアイデアを出せ」と言っても、出てくるものではありません。

現代においては、グローバルな企業間競争がますます激化しており、これまでの競技のルールや競技そのものが変わってきています。時代の変化に適応し、イノベーションを生み出すためには、人材採用の方法も変化していく必要があります。

しかし、まだまだ素直で我慢強く、協調性があり、上司の指示に従順な社員を採用し続けている企業も多く見られます。これは、野球からサッカーにゲームが変わったのに、まだ毎晩バットを持って素振りを続けているようなものです。私たちはゲームチェンジに適応するために、バットを捨ててボールを蹴る必要があるのです。

経営者は、身の回りの常識を捨て、新しい取り組みにチャレンジすべきです。今後は、個性的でクリエイティブな人材を採用し、多様性や柔軟性を重視することが求められています。また、新しい時代に合った人材育成や、社員の能力開発に注力することも重要です。

行動することで、セレンディピティは起こるのです。

簡単に言えば、人と会う機会が多ければ多いほど、セレンディピティが起こる可能性が高くなるのです。 よい人に出会うためには、どんなお誘いにも積極的に乗ってみることが重要です。

人から学ぶためには、自分の好き嫌いを一旦捨て、無駄な時間を整理して、軽い気持ちで最初の一歩を踏み出すことが必要です。人と出会うことで、新しいアイデアや知識を得ることができ、自分自身を成長させることができます。

運というものは偶然に左右されるものですが、自分自身の選択や行動によっても大きく変わることを忘れずに、前向きに人と出会い、学び、成長していきましょう。ですから、経営者としては、常に学び、出会い、知力を磨くことが重要な営みとなります。

イノベーションを実現するためには、セレンディピティが欠かせません。しかし、単に偶然に出会ったことが重要なのではありません。それに加えて、偶然に適応する能力も必要とされます。 偶然の幸運に出会うためには、自分がいかにチャンスを生み出すかが大切です。

例えば、業界のトレンドや市場の変化に敏感に反応することで、未来の需要を予測し、それに合わせた製品やサービスを提供することができます。また、他業種や異文化に触れることで、新たなアイデアや発想を得ることができます。そのためには同じ会社や業界の人との時間を減らし、普段は交流できない人たちとの出会いを求めるべきです。

経営者は常に、偶然の幸運と適応力を身につけるために捨てることを考える必要があります。新たなチャンスに巡り合うために、時間と人材の棚卸しを行うようにしましょう。経営者は常に学び、出会い、知力を磨くことで、偶然の幸運に出会い、適応力を身につけ、イノベーションを実現することができます。 ​ 


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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