熟睡者(クリスティアン・ベネディクト、ミンナ・トゥーンベリエル)の書評

woman laying on bed

熟睡者
クリスティアン・ベネディクト ミンナ・トゥーンベリエル
サンマーク出版

本書の要約

睡眠不足は、身体や脳の健康に悪影響をもたらすことが確認されています。睡眠は、私たちの日常生活において非常に重要な役割を果たしています。良質な睡眠のための最も効果的な方法は、太陽光をしっかり浴びて、規則的な生活を送ることです。

睡眠の質を高めたければ、太陽光を味方にしよう!

睡眠不足がもたらす影響は、個人の問題を超えて社会全体に及ぶ。慢性的な睡眠不足は、さまざまな病気のリスクを大きくし、一人ひとりの仕事上のパフォーマンスを低下させるだけでなく、経済全体にも悪影響を与えるのだ。 肥満、2型糖尿病、心血管疾患、脳の老化、認知機能の低下、慢性疼痛などは、睡眠不足の悪影響の一部である。起床後に太陽の光をたっぷり浴びたほうが絶対にいい。(クリスティアン・ベネディクト)

睡眠不足は体や脳の健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。睡眠は私たちの日々の生活において非常に重要な役割を果たしています。十分な睡眠をとることは、体の回復や脳の機能の向上につながります。 睡眠不足による健康への悪影響はさまざまです。

まず、体の免疫力が低下し、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなります。また、睡眠不足は心臓病や高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクを増加させます。さらに、脳の働きにも悪影響を及ぼし、集中力や判断力の低下、記憶力の低下などが起こることがあります。

睡眠不足の原因はさまざまです。忙しい日常生活やストレス、夜型の生活習慣、スマートフォンやパソコンの使用などが一因として挙げられます。また、寝具や寝室の環境も睡眠の質に影響を与えることがあります。

その睡眠の質を高める方法を本書から学べます。「Sleep Science Lab」を率いるスウェーデン・ウプサラ大学の神経学者クリスティアン・ベネディクトと、健康問題を20年追ったヘルスジャーナリストのミンナ・トゥーンベリエルが睡眠の質を高める熟眠術を伝授しています。この2人の専門家が組んで開発した方法は、驚くべき効果をもたらします。

睡眠不足を解消するためには、太陽光を浴びることが最も効果的だと著者らは指摘しています。日光を浴びる時間を日常生活に組み込むことは重要です。幸い、すぐに実行できる方法がいくつかあります。 例えば、職場では自然光が射し込む窓際の席に座ることができます。朝のコーヒーや昼食を屋外で摂ることも、太陽の光を浴びる良い機会になります。

また、通勤や通学にバスや地下鉄を利用する人は、ひとつ前の駅で下車して目的地まで歩くことも考えられます。状況が許せば、外でミーティングを行うことも気分転換になるでしょう。 心と体を動かし、さらに規則正しく食事をとることで、体内時計が「今は活動の時間で、まだ眠る時間ではない」と認識することをサポートできます。

健全な睡眠と覚醒のリズムを保つためには、タイミングを考慮した行動が大切です。特に、日中は外に出て、特に光に敏感な網膜を刺激する朝の時間を活用すると良い結果が得られます。

また、食事のタイミングも睡眠・覚醒リズムの調整に役立つことが、科学的研究により明らかにされています。規則正しい時間に食事を摂ることは、体内時計のリズムを整え、いつ眠り、いつ覚醒すべきかを体に伝える役割を果たしています。西洋のことわざに「朝は皇帝のように、昼は王子のように、夜は貧者のように食べよ」という言葉がありますが、これは間違いではないようです。

事実、午前7時から午後5時~7時の間に規則正しく食事をとる人は、気まぐれに食べる人よりも良い睡眠をとることが確認されています。 休息が必要な場合、昼寝をするよりも、ヨガや瞑想、散歩などのリラクゼーション活動を選択すると良いでしょう。

ただ眠るのではなく、目を閉じて静かな時間を過ごすことも効果的です。視覚的な情報を遮断することにより、脳にリラクゼーションタイムを提供し、エネルギーを補充することができます。

このような生活スタイルを取り入れることで、睡眠の質が向上し、日中の活動力もアップすることが期待できます。 太陽光を浴びることによる最も大きなメリットの一つは、ビタミンDの効果です。太陽光を浴びることで体内でビタミンDが生成され、カルシウムやリンの吸収促進、骨の形成と成長促進、免疫力向上などの働きが期待されます。特に骨の健康には欠かせない要素ですので、積極的に太陽光を浴びることは重要です。

昼と夜のあいだで、光の量、運動量、食事のパターンに大きな差をつけると、体内時計が睡眠の時間と覚醒の時間を正しく理解してくれる。昼夜のコントラストを意識して、体内時計をより効果的に調整し、睡眠と覚醒の健康的なサイクルをつくりだそう。

私もご多分に漏れず睡眠不足に悩まされていますが、朝晩のコントラストをつけることで、睡眠の質を高めています。早寝早起きを習慣化し、朝の光を全身で受け入れることで、幸福度を高めることができました。

デジタルギアと睡眠の関係

研究者や睡眠の専門家の多くは一貫して、寝室ではスマホを使用しないようアドバイスする。私もその考えにおおむね賛成だ。ただし、スマホやそのほかの技術の進歩が、よりよい睡眠のための解決策のひとつになりえることも無視してはならない。

テクノロジーは睡眠に対して負の影響を及ぼす可能性がありますが、それは一面の事実にすぎません。それを適切に利用すれば、私たちは睡眠の質を向上させることができます。 現代のテクノロジーの普及により、私たちは日常生活でスマートフォンやタブレットを頻繁に使用しています。

しかし、これらのデバイスはブルーライトを発するため、睡眠に悪影響を及ぼす可能性があります。ブルーライトは眠気を抑制し、体内時計を狂わせるため、寝付きが悪くなることがあります。 しかし、テクノロジーを適切に利用すれば、睡眠の質を向上させることができます。例えば、睡眠前にスマートフォンやタブレットを使用する場合は、ブルーライトをカットするアプリや設定を利用することができます。これにより、目を疲れさせずにリラックスした状態で眠りにつくことができます。

また、スマートフォンやタブレットを使用して音楽やポッドキャストを聴くことも、良い睡眠を促す手助けとなります。夜、寝室の暗闇に包まれてなかなか眠りにつけないという経験は誰しもがあるでしょう。しかし、バラードや静かなピアノジャズなどの音楽を聴くことで、リラックスさせて心を落ち着かせることができます。これにより、心地よい睡眠を導く道筋を示してくれます。

私自身も、スマートフォンでバラードを聴くことで気持ちよく入眠できるようになりました。音楽は私の心を癒し、リラックスさせてくれる存在です。睡眠の質を向上させるために、テクノロジーを適切に活用することが重要です。

さらに、最新の研究によれば、ウェアラブルデバイスや睡眠トラッカーを使用することで、睡眠についての誤った認識を正すことができます。これらのデバイスは、睡眠状態や睡眠パターンを詳細に追跡し、結果をデータとして提供します。データを分析することで、自分の睡眠が予想以上に良好であることに気づくことがあり、よりポジティブな視点で睡眠を見るようになるかもしれません。

また、10億人以上が睡眠時の呼吸問題に悩んでいると言われていますが、多くの人がその事実に気づいていません。呼吸パターンを追跡する睡眠トラッカーは、これらの問題を検出し、適切な診断と治療への道を開く可能性があります。これらのデバイスは、睡眠と健康全体を革新する力を持っていると言えます。 したがって、スマートフォンが睡眠にネガティブな影響を及ぼすという研究結果が存在する一方で、それらが有用なツールとなることもあります。

スマートフォンの使用が睡眠の質にどのように影響を与えるかを理解し、自分のライフスタイルに適した使い方を見つけることが重要です。テクノロジーを正しく活用し、質の高い睡眠を得る方法を模索しましょう。

睡眠によって人はより賢くなれる?

睡眠中に脳内では清掃プロセスが遂行され、廃棄物が大量に搬出される。睡眠を十分にとらず、脳内のゴミが除去されないと、脳の老化が早まり、ダメージ 受けやすくなる。長期的に見ると、重要な神経細胞のつながりが損なわれ、認知症の発症を引き起こしかねない。

グリア細胞は、脳組織の清掃作業を担当している重要な役割を果たしています。睡眠中には、グリア細胞が活発に働き、脳組織を洗浄することで、覚醒中に蓄積した老廃物を血液中に排出することが可能になります。つまり、脳は起きている間に溜まった汚れを睡眠中に放出するのです。

しかし、睡眠時間が短かったり、眠りが浅かったり、途中何度も目が覚めて睡眠が断片化したりすると、グリア細胞たちはその役割を十分に果たすことができなくなってしまいます。睡眠の質が悪くなると、脳内の清掃作業員であるグリア細胞がタンパク質のゴミをきちんと廃棄できなくなります。

その結果、脳内に有害物質が蓄積し、「プラーク」と呼ばれる凝集物が形成される可能性があります。プラークは、神経細胞の外側に沈着し、神経細胞のコミュニケーション能力を制限します。神経細胞間のコミュニケーションが断絶すると、認知症やアルツハイマー病などの症状が現れる可能性があります。

睡眠は、私たちの健康と幸福に欠かせない重要な要素です。睡眠中、私たちの体は休息を取りながら、さまざまなプロセスや機能の回復を行っています。 睡眠の最も深いステージの一つであるレム睡眠は、私たちの脳にとっても非常に重要な役割を果たしています。

レム睡眠中、私たちの脳は左右の大脳半球の連携を促進し、新しい神経細胞の接合を形成することができます。これにより、私たちは新しいアイデアや解決策を生み出すことができるのです。 また、レム睡眠は私たちの感情との付き合い方にも影響を与えます。就寝前に感じていたストレスや不安などの感情は、レム睡眠中に処理され、朝には心が安定し、リフレッシュした状態で目を覚ますことができるのです。

これによって、私たちは精神的なバランスを維持することができます。 睡眠は私たちの脳にとっても非常に重要な役割を果たしています。睡眠中、私たちの脳は記憶の定着を促し、不要な知識を整理することで脳内の空き容量を確保します。

さらに、睡眠によって脳の様々な領域が休息を取り、次の日に最善の状態で機能し、相互に連携して作用するために必要な回復を図ることができます。 睡眠は私たちの日常生活において欠かせない重要な要素です。十分な睡眠をとることで、私たちはより健康で幸福な生活を送ることができます。睡眠の大切さを理解し、睡眠環境や睡眠の質を改善することは、私たちの生活の質を向上させるために必要なことです。

暗い場所で休息を取ることにより、脳は外部の情報を一時的に遮断し、安心して休むことができます。これは必ずしも完全な休息ではありませんが、ある程度のリラクゼーションを提供します。

・体内時計と睡眠と覚醒リズムのリセット
たとえ前日の夜に十分な眠りが得られなかったとしても、次の朝は太陽の光を浴び、コーヒーを一杯飲み、しっかりとした朝食を摂ることで体内時計と睡眠・覚醒リズムをリセットしましょう。適切に調節された体内時計は、健康と幸せをもたらします。

・体内時計の役割とメラトニンの分泌
体内時計はリズムを保ち、特に夕方から夜にかけてはメラトニンの分泌を促します。メラトニンは、夜の初めに血圧と心拍数を下げ、循環器系の回復を助けます。しかし、体内時計を安定させる最大の利点は、長期的な睡眠改善にあります。たとえ何度言っても足りないくらい、良質な睡眠と真の健康、幸せは「24時間の仕事」です。これを覚えておくことが重要です。

・朝と夜の明確な境界を設定し、高品質な睡眠を確保
私たちは、朝と夜の明確な境界を設定し、高品質な睡眠を確保することで健康を維持すべきです。これは日々の生活を豊かで満足感のあるものにし、さらに健康寿命を延ばす可能性があります。

本書のアドバイスの数々は、科学的根拠に基づいています。ぜひ、本書のアドバイスを参考にして、自分に合った方法を試してみてください。結果、睡眠の質が高まり、あなたの幸福感は一段と増すことでしょう。


 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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