SWITCHCRAFT 切り替える力 すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略(エレーヌ・フォックス)の書評

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SWITCHCRAFT 切り替える力 すばやく変化に気づき、最適に対応するための人生戦略
エレーヌ・フォックス
NHK出版

SWITCHCRAFT 切り替える力の要約

「切り替える力」を身につけることは、自分の人生を向上させる鍵となります。変化に気づき、それに柔軟に対応することで、ストレスを軽減し、より充実した人生を送ることが可能になります。この能力を持つことで、日々の挑戦や困難にも効果的に対処でき、ウェルビーイングを保ちながら人生をより豊かにすることができます。

スイッチクラフト(切り替える力)が重要な理由

本書で提案する〈スイッチクラフト〉とは私が名づけたスキルで、複雑で予測不能な世界を生きていくうえで必要な「切り替える力」を指す。すばやく、しなやかに切り替えられれば、過渡期を乗り越えやすくなる。(エレーヌ・フォックス)

本書は、心理学者、神経科学者のエレーヌ・フォックスによって執筆された一冊です。著者の脳科学は人格を変えられるか?が非常に興味深く面白かったので、この新刊にはとても高い期待を寄せていました。その期待に違わず、刺激的な一冊に仕上がっており、多くの学びを得られました。(エレーヌ・フォックスの関連記事

本書で提示される「スイッチクラフト(切り替える力)」というコンセプトに、深く共感を覚えました。この考えは、日常生活や仕事で直面する様々な状況において、効果的に対応する方法を提供してくれるものです。 

著者は、長年の研究を通じて、目標達成や幸福度を高めるためには「切り替える力」が重要であることを明らかにしています。我々の脳は、不安や恐怖にとらわれていると行動を起こすことができません。しかし、どんな状況でもすばやく柔軟に対応できる人や組織は、困難な状況を乗り越えることができると著者は指摘します

この本では、認知心理学や神経科学の知見を基に、脳をフリーズさせることなく、しなやかな思考や行動を身につける方法が紹介されています。また、充実した人生を送るためのウェルビーイングや成長マインドセットの構築方法、新しいビジネスモデルに対応するためのリスキリングの手法なども解説されています。  

自分のウェルビーイング[心も身体もすこやかで幸せを実感できる状態]を高めるには、変化を迫られるたびに受け身で対応するのではなく、みずからを導いていかなければならない。人生への取り組み方を臨機応変に変えていくのだ。

柔軟なマインドセットを身につけることは、大きな変化に直面した際に効果的に対応するのに役立ちます。著者によると、人生が常に変化し続け、何もかもが不確実であるという現実を受け入れることが、その第一歩になると言います。

人生は時に良い方向へ、時に悪い方向へ進みますが、変化への対応の仕方が、現在および将来の幸福に大きく影響します。 私たちのDNAには、状況に応じて素早く思考し行動する「切り替える力」が組み込まれています。これにより、困難な状況から立ち直ることも可能です。

私たちは現在を特に変化の激しい時代と捉えがちですが、歴史を振り返ると、多くの時代が予測不能で激動の時代でした。人類は常に戦争、飢饉、洪水、地震、政変、パンデミックなどの困難に対応してきました。私たち人間は自身が思っている以上に素早く対応でき、また、大きなレジリエンス(回復力)を持っていると著者は述べています。

「切り替える力」の4つの柱

柔軟な考え方ができれば、成功し、幸福になる確率が劇的に上昇するのだ。その逆もまた然り。硬直した考え方を続けていると不安やストレスを感じるようになる。

柔軟な思考は、人生の成功や幸福を追求する上で重要な役割を果たします。柔軟性を持つことで、予期せぬ状況にも適応し、障害を乗り越えて前進することが可能になります。 柔軟な考え方を持つ人は、計画を立てつつも、状況の変化に応じて柔軟に対応する能力を有しています。

目標と願望のバランスをとることで、予期せぬ出来事に対しても臨機応変に対応できるようになります。さらに、柔軟性は創造性や発想力を刺激し、新たなアイデアや解決策を生み出す手助けをします。

一方、硬直した思考を続けると、予測外の事態に直面した際に不安やストレスを感じやすくなります。予想通りに進まない状況に遭遇すると、固定観念に囚われてしまい、柔軟な対応が難しくなる可能性があります。

成功や幸福に向かうためには、柔軟な思考を身につけることが不可欠です。これを実現するためには、新しい知識や経験を積極的に取り入れ、他者の意見や視点にもオープンであることが大切です。これにより、柔軟性が高まり、様々な状況に対応する能力が強化されます。

「切り替える力」を発揮するポイントは、ふさわしいタイミングでふさわしい手法を選ぶことなのだ。

「切り替える力」は4つの柱に基づき、それぞれが困難な状況を乗り越えるのに重要な役割を果たします。これらの能力を組み合わせることで、真の力が発揮され、様々な困難に対処できます。

1、すばやく柔軟に対応する
思考、感情、行動を機敏に切り替える能力です。これは「変化に適応する」「目標と願望のバランスをとる」「視点を変える」「実行機能を高める」という4つの行動によって支えられています。

2、自分を知る
自己の内面を深く見つめ、核となる価値観(コアバリュー)や能力を把握することです。これにより、自己の希望、夢、才能により意識的に取り組むことができます。

3、感情への気づき
自己認識の一環として、あらゆる感情を受け入れ、ポジティブなものもネガティブなものも整理し、調整して利用することです。感情に振り回されず、自分をコントロールするようにしましょう。

4、状況をつかむ
周囲の状況を把握し、内面と外界の両方に注目する能力です。自己認識と感情への気づきから得られる情報を活用し、状況を深い直観レベルで理解することで、適切な対処方法を見つけることができます。

これらの柱は、個人が状況に応じて効果的に対応するための基盤を提供し、私たちにハードシングスを乗り越える力を与えてくれます。

予測がつかない状況と向かい合える人が成功する。彼らは不確実なことが人生には付き物だとわかっている。

未来の不確実性を前提として、不必要な不安に囚われるのではなく、自分のコントロールできる範囲に集中することで、ウェルビーイングを高めることができます。このアプローチは、予期せぬ事態に直面した際に人生を好転させるための「切り替える力」を養う上で重要となります。変化に敏感になり、柔軟に対応する能力を身につけることで、ストレスを軽減し、より満足感のある生活を送ることができます。

また、レジリエンスは、単に変化や逆境に影響されないことではなく、困難な状況で「予想以上にうまくやれている」と感じる能力を指します。逆境を経験し、難局を乗り越える過程でレジリエンスが高まることもあります。ストレスのある状況に適応し、臨機応変に対処することが、レジリエンスを強化する鍵となるのです。

すばやく柔軟に考えることができれば、状況に適応し、その流れに身を任せることが可能になります。これにより、望ましい副作用として、「こだわるべきとき」と「切り替えるべきとき」の区別がつきやすくなります。この能力は、日々の生活や仕事において、効率的かつ効果的な対応を可能にし、ストレスを軽減する助けとなります。

このように、心理的柔軟性を有することで、日常の挑戦や困難に効果的に対応し、ウェルビーイングを保ちながら、より充実した人生を送ることができます。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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