ナッジとスラッジの違いとは?勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門の書評

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勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
エヴァ・ファン・デン・ブルック, ティム・デン・ハイヤー
ダイヤモンド社

勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門の要約

スラッジは望ましい行動を困難で不快なものにするような状況を作り出してしまう理論です。例えば、手続きが複雑で時間がかかる、情報がわかりにくいなどの要素がスラッジとなります。スラッジはゴールに達するために、ぬかるんだ泥のような障害を通り抜けなければならない状況を作り出してしまいます。

ナッジとスラッジの違いとは?

ナッジとは、わかりやすく、(可能であれば)楽しくすることで、人々を望ましい行動へと誘導することだ。(エヴァ・ファン・デン・ブルック, ティム・デン・ハイヤー)

エヴァ・ファン・デン・ブルック, ティム・デン・ハイヤー勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門書評を続けます。

ナッジとは、人々を望ましい行動に優しく誘導するアプローチで、行動科学や行動経済学に基づいています。この概念はリチャード・セイラーによって提唱され、多くの企業や団体が採用しています。

ナッジは、人々の意思決定の習慣を利用し、選択の自由を保ちつつもより良い選択を促すものです。商品の配置やデザイン、情報提示の方法など、さまざまな方法でナッジは活用されています。

ナッジの目的は、人々が自発的に望ましい行動を取ることを促すことです。これを実現するためには、ナッジが分かりやすく、魅力的であることが重要です。社会的要素の活用も効果的で、他者との比較や社会的な影響を通じて行動変容が促されます。

また、ナッジはタイムリーであることが重要で、選択の結果が直ちに明確になるようなフィードバックを提供することで、より効果的に行動を促すことができます。

ナッジを活用することで、人々がより良い選択をしやすくなることはさまざまなケースで明らかになっています。例えば、セルフサービス式の社員食堂では、健康的な料理をテーブルの前面に出して従業員が手に取りやすくすることが「ナッジ」の一例です。これにより、従業員は健康的な選択をしやすくなります。

また、階段に一段のぼるごとにどれくらいカロリーを消費したかを知らせる楽しいステッカーを貼ることもナッジの一つです。このようなナッジを通じて、人々は運動を促され、健康な生活を送ることができます。 さらに、階段全体をピアノに見立て、上り下りすると音楽が奏でられる仕組みもナッジの一例です。このような楽しい仕掛けによって、人々は階段を選ぶことが増え、運動不足の解消につながります。

ナッジは望ましい行動を簡単で楽しく、自然にできるように促すが、スラッジはその逆だ。

前述のリチャード・セイラーは、物事を必要以上に難しくするものを「スラツジ」と名付けています。

スラッジは望ましい行動を困難で不快なものにするような状況を作り出してしまう理論です。例えば、手続きが複雑で時間がかかる、情報がわかりにくいなどの要素がスラッジとなります。スラッジはゴールに達するために、ぬかるんだ泥のような障害を通り抜けなければならない状況を作り出してしまいます。

キャッシュバックは小売におけるスラッジ

小売業には意図的につくられたスラッジがある。たとえば、キャッシュバック制度だ。これは販促手法としてよく知られている。

消費者の行動を意図的に制限し、あるいは困難にすることで、企業の利益を増やすために設計されたスラッジには注意を払う必要があります。

特に小売業界で一般的に見られるこの現象は、行動経済学の観点から分析されることが多いです。例えば、キャッシュバック制度は一見消費者にとって魅力的に見えますが、実際には企業側が利益を得るための戦略です。

キャッシュバック制度の例を挙げると、商品のポスターや広告には「5000円オフ」と大きく書かれていますが、実際には購入時に全額支払い、その後でキャッシュバックを申請する必要があります。ここでのスラッジは、このキャッシュバックを申請する際の手間と複雑さにあります。実際には多くの消費者がこの手間を避け、結局キャッシュバックを受け取らないことが多いのです。

また、商品券やポイントプログラムも同様に、利用条件や有効期限が複雑であったり、特定の商品にしか使えなかったりすることが多く、これもスラッジの一例です。

これらの条件は、消費者が利用することを意図的に困難にしています。 これらの販促手法は、消費者にとっては表面上は魅力的に見えますが、実際には利用することの障害となることが多いです。

そのため、消費者は購入時にキャッシュバックの条件や手続きを注意深く確認し、自分にとって本当にメリットがあるかどうかを慎重に判断することが重要です。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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