断酒を成功させる方法。勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門の書評

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勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門
エヴァ・ファン・デン・ブルック, ティム・デン・ハイヤー
ダイヤモンド社

勘違いが人を動かす 教養としての行動経済学入門の要約

環境を変えることによって、私たちは目指す人生を手に入れやすくなります。意志力だけに頼るのではなく、環境を工夫することに注目し、より良い環境を作り出すことが大切です。環境の変化は、私たちの行動に大きな影響を与えるため、効果的な行動をとるためには、環境を上手に活用することが求められます。

環境の力によって、習慣を変える方法

環境が行動に与える影響の大きさを知っていれば、もっとうまい方法を取れる。 意志に頼るのではなく、環境を変えることに注目するのだ。(エヴァ・ファン・デン・ブルック、ティム・デン・ハイヤー)

行動経済学者のエヴァ・ファン・デン・ブルックとクリエイティブ戦略家のティム・デン・ハイヤーは、環境が私たちの行動に与える影響の大きさを強調しています。彼らは、意志の力に頼るのではなく、環境を変えることが重要であると指摘しています。

実際に、禁煙や禁酒などの行動をとる際に環境の変化が成功に大きく寄与します。例えば、禁酒を目指す場合、自宅に酒を置かないことで誘惑を減らすことが可能です。16年前に私も断酒をした際に、家中の酒を全て廃棄し、飲み屋に近づかないことを決めました。意志の力ではなく、環境を変えることにより、私はお酒をやめることに成功したので、著者らのアドバイスに共感を覚えました。

環境を変えることは、私たちの意志力を補強してくれます。日常生活において、私たちは多くの誘惑に直面しますが、意志力だけに頼ると疲れてしまい、誘惑に負けることがあります。しかし、環境を変えることで、誘惑を避けやすくなり、意志力の負担を軽減できます。

たとえば、ダイエットをする際には、健康的な食材を自宅に常備することや、外食を控えること、お皿を小さくすることで、食べ過ぎの誘惑を減らすことができます。また、勉強をする際には、集中できる環境を整えることで、より効率的に学習することが可能です。デスクの周りを綺麗にしたり、iPhoneを目に見えないこところに隠すことで、集中力を高められます。

このように環境を変えることによって、私たちは目指す人生を手に入れやすくなります。意志力だけに頼るのではなく、環境を工夫することに注目し、より良い環境を作り出すことが大切です。環境の変化は、私たちの行動に大きな影響を与えるため、効果的な行動をとるためには、環境を上手に活用することが求められます。

脳はできる限り努力を避けようとする?

人はいつもと違う何かをするのが面倒なのだ。 脳は、できる限り努力を避けようとする。

エヴァ・ファン・デン・ブルックとティム・デン・ハイヤーは、「脳は、できる限り努力を避けようとする」と述べています。この人間の特性をマーケティングに活用することで、売り上げを伸ばせると言います。

アイスランドの首都レイキャビックの研究者が、あるブランドのポテトチップスのマーケットシェアを倍増させる実験を行いました。面白いことに、この実験でクリエイティブな広告キャンペーンや商品のイメージを覆すような仕掛けは一切用いられていませんでした。

研究者たちは単に、商品の袋を棚の下のほうから、真ん中へと移動させただけでした。これにより、商品が目につきやすく、手にも取りやすくなったのです。マーケティングの常識とは異なる方法ですが、この単純な変化が消費者に大きな影響を与えたのです。

多くの企業は、自社商品の固定客は自社商品にロイヤルティがあり、手間をかけてでも商品を探し求めると考えているかもしれません。しかし、この実験では競合商品が手に取りやすい場所にあるだけで、腰をかがめて棚の下にあるお気に入りの商品を取るのは面倒だと思ってしまうという人間の特性が浮き彫りになりました。

この実験結果は、マーケティングにおいても重要な示唆を与えています。消費者の行動を変えるためには、商品の配置やアクセスのしやすさなど、小さな変化が大きな効果をもたらすことができるのです。 このような人間の特性を理解し、マーケティング戦略に取り入れることで、企業は売り上げを伸ばし、競争力を高めることができます。

商品の配置やアクセスのしやすさに注目し、消費者の利便性を向上させることは、成功するマーケティングの鍵となるのです。

脳は、いつも買っている商品をあきらめてでも、少しでも楽な行動を選ぼうとする。

企業は、自社商品を選ばれやすくするために、認知バイアスを積極的に活用しています。スーパーマーケットでは、各メーカーの担当者たちが店側との交渉を通じて、商品をより良い場所に配置することに必死に取り組んでいます。

特に、通路の棚の目の高さに商品を置くことが重要視されており、「目の高さが買われる高さ」と言われています。また、商品のパッケージも手に取りやすいようにデザインされています。 大手メーカーは、小売チェーンに対してビールやレトルト食品売り場での理想的な陳列方法を細かく伝えています。彼らは自社ブランドの商品を一番目立つ場所に配置してほしいと考えています。

さらに、心理的な抵抗を減らすためにも工夫がなされています。パッケージや広告を活用して、安心感を覚えるように消費者に訴えるのです。 一方で、消費者はこのような企業の戦略に対しても警戒心を持つ必要があります。目の高さに置かれた商品や手に取りやすい位置に配置された商品は、購買意欲を刺激されやすくなります。

しかし、それが本当に自分にとって必要な商品なのか、価値があるのか、冷静に考えることが重要です。消費者は自身の意思決定において、企業の戦略に流されることなく、自分自身の判断を信じるべきです。健康を意識したり、ダイエットをしているのなら、脳が努力を避けることを理解し、パッケージの裏側にまで注意を払ったほうがよさそうです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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