生成AI時代 あなたの価値が上がる仕事 (田中道昭)の書評

a digital image of a brain with the word change in it

生成AI時代 あなたの価値が上がる仕事
田中道昭
青春出版社

生成AI時代 あなたの価値が上がる仕事 (田中道昭)の要約

AI時代において、AIはデータ解析や情報処理に長けていますが、人間の直感、創造性、共感力、倫理的判断力などの点では限界があります。このため、人間固有の感性や身体性を活かした職業は、AIによる大規模な失業が予測される時代でも重要な価値を持ち続けることになります。

AI時代は失業時代??その際、求められるスキルとは?

生成AI時代を生きるためには、生成AIに何ができて何が不得意なのかを知る必要があります。(田中道昭)

オープンAIによる生成AIの導入は、初期の頃のテキスト生成から進化し、最近では検索、画像、音声、動画といった多岐にわたるコンテンツ生成が可能になっています。同社のイノベーションは人々にわずか1年で、認知・理解され、ビジネスやメディアだけでなく、私たちの日常生活にも大きな変化をもたらしています。

この進歩は、ビジネスにおいては自動化されたコンテンツ生成を通じて生産性を高め、コストを削減する機会を提供しています。メディア業界においては、記事やニュースを自動生成することで情報提供の速度と多様性を向上させており、音声や動画生成はエンターテイメントに大きな影響を及ぼしています。

2023年3月に米投資銀行ゴールドマン・サックスが発表した報告書「The Potentially Large Effects of Artificial Intelligence on Economic Growth」によれば、生成AIは3億人分のフルタイムの仕事に匹敵する可能性があると報告されています。

AIは新たな業務を生み出し、生産性を急上昇させ、今後10年以内に世界のモノとサービスの年間総価値を7%引き上げると予測されています。報告書には、生成AIが人間の仕事と見分けがつかないコンテンツを作り、その結果、人類に大きな進歩をもたらす可能性があるとまで記載されています。

生成AIの利用によって、仕事の生産性が大幅に向上する一方で、世界で3億人が失業する可能性も指摘されています。技術の進歩は常に新たな機会を生み出す一方で、古い仕事を置き換える可能性もあります。このような状況下で、労働市場や教育システムは急速に変化し、働く人々は柔軟性と創造性を持って対応する必要があります。

生成AIの出現によって、テクノロジー業界の既存のバランスが揺らぎ、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)からGOMA(Google、OpenAI、Microsoft、Anthropic)へのパラダイムシフトが見られるようになっています。

生成AIの分野において、GOMAの4社が先駆者として新たな動きを見せており、この変化は生成AIが業界の新しい標準となりつつあることを示唆しています。

今後はGOMAが生成AIの分野で先導的な役割を果たして行きます。GoogleとAnthropic、OpenAI、Microsoftの2つのグループがAIを牽引すると著者は指摘します。

AI時代に人間力が求められる理由

AIなどたいしたことはない、などと思っていると、気がついたら仕事を奪われ、日常的な社会生活も不便になり、時代に取り残されてしまうかもしれません。そうならないためには、AIに何ができるのか、人間にしかできないことは何なのか、それをよく考えてみるべきでしょう。

私たちがこれまで蓄積してきた経験や独自の技術で築き上げた業務は、AIでは実現不可能と見なされがちです。しかし、生成AIが何を成し遂げうるか、どのように私たちの業務を強化できるか、さらには新しい機会を切り開く可能性に目を向け、AI導入の検討を進めることが重要です。

生成AIへの対応を後回しにする企業は、未来において時代や業界から遅れを取るリスクが高まります。過去には、テクノロジーの波に乗り遅れた企業が市場競争で後塵を拝した例が豊富にあります。経営者としては、この歴史的教訓を念頭に置き、AIファーストで行動し、変化に柔軟に対応すべきです。

AI時代における自身の職務をAIに奪われないためには、AIが苦手とする特定分野に焦点を当てることと、人間ならではの体験を磨くことが重要だと考えます。

生成AIの時代には、スキルの差はほとんど問題になりません。必要なのは、教養力や人間力なのです。これらの力を養うことで、生成AIと共存することが可能になるのです。

AIはデータ解析や情報処理などに長けていますが、人間特有の直感や創造性、共感力、倫理的判断力などにおいては、その能力には限界があります。したがって、人間特有の感覚や肉体的な要素を生かし、独自の判断力や創造性を活かす職業は、AI時代においても重要な役割を果たすでしょう。

さらに、持続的な成長と社会への貢献を達成するためには、将来の展望を描く能力が欠かせません。AIが日常業務や基本的な情報処理を担当する中で、独自のビジョンや戦略を立案し、深い人間らしいアプローチを提供できる人材がますます求められます。

個人や所属する組織が、将来的に社会にどのような貢献をするかを明確にし、それを実現するための具体的な行動を起こすことが期待されます。 ビジネスパーソンは、未来を見据えつつも、人間としての本質的な価値を高め、自己の社会的位置づけを見直す必要があります。

このためには、五感を駆使して人間らしさを追い求めることが欠かせません。自分の体験を磨いたり、よい人との関係を強化したいと思います。


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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