ストーリーで学ぶ戦略大全 (方喰正彰)の書評

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ストーリーで学ぶ戦略大全
方喰正彰
明日香出版社

ストーリーで学ぶ戦略大全 (方喰正彰)の要約

戦略やフレームワークを学ぶことの重要性は、経営やビジネスの世界において非常に大きな意義を持っています。経営戦略は、企業が長期的な目標や方向性を設定し、それを達成するための計画を立てることを指します。3C分析やSWOT分析、PEST分析などを活用することで、適切な戦略を策定する能力が身につきます。

戦略やフレームワークの重要性

超・試行錯誤型経営は「失敗するのは構わない、ただし失敗するなら早くしろ」という主張に基づく経営です。一般的に言われる試行錯誤よりも、より迅速な行動と判断によって事業を発展させていきます。たとえば、通常、新規事業の成否を判断するのに2、3年の歳月をかけるとしたら超・試行錯誤型経営では、1年程度で成否を判断して、思うように成長していない場合には廃止や売却、計画通り成長している場合には投資や買収による成長の加速など、短い時間で試行錯誤が繰り返されます。(方喰正彰)

超・試行錯誤型経営は、不確実性が高い環境で企業が生き残り、成長を遂げるための有効な手法です。このアプローチでは、戦略とフレームワークを適切に設定することが非常に重要であり、企業に持続可能な競争優位を提供する可能性があります。企業は、継続的なイノベーションと顧客ニーズの深い理解を通じて、市場での成功を目指します。

超・試行錯誤型経営はリーンスタートアップの理論に大きく影響を受けており、仮説を立て、小規模な実験を通じてそれを検証し、結果を分析して次の行動を決定します。このようなABテストなどが典型的な例です。このプロセスを繰り返すことで、企業はリソースを効率的に使用し、リスクを最小限に抑えつつ、市場に適した製品やサービスを開発することができます。

戦略やフレームワークを学ぶことの重要性は、経営やビジネスの世界において非常に大きな意義を持っています。経営戦略は、企業が長期的な目標や方向性を設定し、それを達成するための計画を立てることを指します。3C分析やSWOT分析、PEST分析などを活用することで、適切な戦略を策定する能力が身につきます。

世の中にはビジネスパーソンが知っておくとよい戦略や理論・フレームワークが数多く存在します。本書はそのような戦略をわかりやすく解説しています。今日は6大戦略(PEST分析 3C分析 SWOT分析 STP分析 4C分析 4P分析)とブランドネーム戦略について紹介したいと思います。

・PEST分析
外部環境を政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)の4つの要素に分けて分析します。これにより、ビジネスが直面するマクロ環境のリスクと機会を把握できます。

・3C分析
企業(Company)、顧客(Customer)、競合(Competitor)の3つの要素を中心に分析することで、ビジネスの強みや弱み、市場のニーズ、競争状況を理解します。

・SWOT分析
企業の内部環境を強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)と、外部環境を機会(Opportunities)、脅威(Threats)に分けて評価します。これにより、戦略的な方向性を決定する際の基盤を提供します。

・STP分析
市場をセグメント化(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)するプロセスです。効果的なマーケティング戦略を策定するために用いられます。

・4C分析
顧客価値(Customer Value)、コスト(Cost)、便益(Convenience)、コミュニケーション(Communication)を中心に、マーケティング戦略を見直します。

・4P分析
製品(Product)、価格(Price)、場所(Place)、促進(Promotion)の4つのマーケティングミックス要素を検討し、効果的なマーケティング戦略を形成します。

ブランドネーム戦略とは何か?

ブランドネーム戦略はブランド名によって競争優位性を得るためのネーミングに関する戦略です。ブランド名もロゴやシンボル、スローガン、デザイン、パッケージなどと同様に、ブランドを構成する重要な要素の1つとなります。良いブランド名は事業展開において差別化、認知度向上などの利点をもたらします。

フィリップ・コトラーによれば、効果的なブランドネームの設定には以下の重要な要件があると言います。まず、ブランドネームは製品のベネフィットや特徴を示唆するものであるべきです。これには、製品の機能や品質、たとえば色などが含まれます。

また、ブランド名は発音しやすく、認識しやすく、記憶に残りやすいものでなければなりません。さらに、独特性を持ち、他の国や言語で否定的な意味を持たない名称であることが求められます。ブランドネーム戦略は、企業や商品の成功において重要な役割を果たします。

まず、他社との差別化を図るために、独自のネーミングを行うことが必要です。成功するブランドやサービス名には共通点があり、それは覚えやすい、親しみやすい、そしてブランドのイメージやコンセプトを表現していることです。例えば、AppleやGoogleなどは、シンプルで覚えやすい名前が特徴です。

このようなネーミングは消費者によい印象を与え、ブランドの認知度を高める効果があります。 さらに、ブランドネームは信頼度や魅力を高める役割も果たします。良いネーミングは、消費者に安心感や信頼感を与え、ブランドに対するポジティブなイメージを形成します。

例えば、ユニクロというネーミングは、ユニークでありながらも親しみやすく、日本のファッションブランドとしての信頼を築いています。 さらに、ブランドネームはマーケティング戦略においても重要な要素です。適切なネーミングは、ターゲット市場に訴求する力を持ち、消費者の興味を引くことができます。例えば、カップヌードルという名前は、手軽で便利なイメージを与え、忙しい消費者に好評を得ています。

以下ブランドネーム戦略の要素とケースを紹介します。
・ファミリーブランド
同一のブランド名を複数の製品に使用することで、市場に受け入れられやすくなり、ブランドの統一感を出すことができます。

コカ・コーラは世界的に認知されている飲料ブランドであり、その名前を冠した様々な製品を展開しています。これには、オリジナルのコカ・コーラのほか、ダイエットコーラ、コカ・コーラゼロ、コカ・コーラチェリーなどが含まれます。

これらの製品はすべてコカ・コーラというブランド名を共有しているため、消費者は新しいフレーバーやバリエーションを試す際にも、既に信頼しているブランドから購入しているという安心感を持ちやすくなります。これにより、新製品の市場導入が容易になり、ブランド全体の認知度を維持しながら多様な消費者ニーズに対応することが可能になります。

コカ・コーラのファミリーブランド戦略は、一貫したブランドイメージを保ちつつ、さまざまな製品で市場の異なるセグメントを効果的にカバーする方法を示しています。この戦略は、ブランドの強化と拡張に非常に効果的です。

・ダブルブランド
ファミリーブランドの認知を活かしつつ、個別の製品ブランドを通じて製品間の差別化を図ります。これにより、各製品の独自性を保ちつつもブランド力を強化できます。

トヨタは、主に一般大衆向けの自動車を提供する一方で、レクサスブランドを通じて高級車市場に参入しています。トヨタの技術力と信頼性はレクサスにも反映されているが、レクサス独自のブランドとしての高級感と性能が強調されています。これにより、異なる市場セグメントに効果的にアプローチしています。

・ブランド・プラス・グレード
一つのブランド名の下に異なるグレードを設定することで、同じブランド内でターゲットごとに製品を差別化します。これにより、消費者のニーズに応じた製品提供が可能となります。

ブランド・プラス・グレード戦略の一例として、自動車産業からメルセデス・ベンツのアプローチを挙げることができます。メルセデス・ベンツは、一つのブランド名の下で異なるグレードの自動車を提供しており、それぞれが異なる市場セグメントに向けて設計されています。

メルセデス・ベンツは、その高品質と高級感で知られるブランドですが、多様な消費者ニーズに対応するために、エントリーレベルのAクラス、ミドル層のCクラス、高価格帯などのSクラス・AMGモデルまで、幅広いグレードを展開しています。

・個別ブランド
各製品に独立したブランド名を与えることで、新しい市場を開拓しやすくなります。万が一製品が失敗した場合でも、他の製品への影響を最小限に抑えることができます。

プロクター&ギャンブルは世界中で多くの家庭用品ブランドを展開しており、洗剤からヘアケア製品、ベビーケア製品まで、広範囲にわたります。この多品種多様なポートフォリオを管理するために、P&Gは個別ブランド戦略を採用しています。

・分割ファミリーブランド
似たような製品ラインを複数のブランドに分け、それぞれに独自のブランド名を付与します。これにより、市場内でのさらなるセグメンテーションが可能となり、特定の顧客層に特化したマーケティングが行えます。

ケロッグは、シリアルの製品ラインを特定のニーズや消費者層に合わせて分けています。例えば、子供向けのフルーツループス、健康志向のスペシャルKなど、異なるブランド名で市場内でのセグメンテーションを実現し、マーケティングで効果を出しています。

ブランドネーム戦略は、製品やサービスを消費者の心に定着させ、彼らの選択に大きな影響を与えるために重要です。ブランドコミュニケーションを行う際には、以下のステップで進めていくとよいでしょう。

消費者がブランドに抱くべき感情や印象を明確にします。これにより、ブランドと消費者との間に強い絆を築くことができます。 また、ブランドの一貫したメッセージングによって、顧客の認知理解が深まります。製品、ウェブサイト、広告、パッケージングなど、すべてのメディアでブランドメッセージを統一します。

SNSを積極的に利用して顧客とのコミュニケーションを行い、ブランドへのロイヤルティを深める戦略は非常に効果的です。リアルタイムでの対話やフィードバックを通じて、顧客とのつながりを強化し、ブランドへの愛着を育てます。

優れた顧客体験の提供は、単なる消費者を熱狂的なファンに変える力があります。製品やサービスの品質を常に高いレベルで保ち、顧客サポートを充実させることで、ブランドへの信頼と顧客満足度を大きく向上させることができます。

さらに、ブランドアンバサダーやレビュー促進プログラムを活用することで、顧客がブランドの一員であるという感覚を持たせることができます。これにより、顧客は自分たちの意見や経験がブランドにとって価値あるものと感じ、より一層の繋がりを感じることでしょう。

これらの戦略を組み合わせることで、ブランドは顧客からの信頼を確固たるものにし、長期的な顧客関係を築くことが可能になります。ブランドロイヤルティの構築は、顧客との持続的な関係を育てる上で、非常に重要な要素です。

本書には35の戦略がストーリーでわかりやすく紹介されています。これらの戦略を活用することで、ビジネスがうまくいくようになります。


 

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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