定年後の超・働き方改革~「楽しい仕事」が長寿に導く!(和田秀樹)の書評

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定年後の超・働き方改革~「楽しい仕事」が長寿に導く!
和田秀樹
光文社

定年後の超・働き方改革~「楽しい仕事」が長寿に導く!(和田秀樹)の要約

現代の超高齢社会において、定年後の働き方は重要なテーマです。和田秀樹氏は、無理なく楽しく働き続けることが健康と長寿につながると説きます。退職後も仕事を続けることで脳の老化を防ぎ、社会とのつながりを維持できるとし、新しい挑戦の重要性を強調。本書は、定年前からの準備の大切さを示し、老化を遅らせる具体的なアドバイスを提供します。

定年後も働き続けた方が良い理由

仕事を通じて社会と関わり続けることが、活動レベルを維持し、若々しくいるための秘訣です。それほど働くことは不老長寿の妙薬なのです。働くことの第一義は、自分の意欲をキープし続けること。(和田秀樹)

超高齢社会を迎えた現代において、定年後の生き方や働き方は多くの人々にとって重要なテーマとなっています。人生100年時代と言われる今、定年後もどのように社会と関わり、充実した日々を送るかは、個人の幸福度だけでなく、社会全体の活力にも影響を与えるでしょう。

今回取り上げる和田秀樹氏の定年後の超・働き方改革~「楽しい仕事」が長寿に導く!、まさにそのような時代におけるシニア世代の働き方や生き方を考察し、具体的なヒントを提供する一冊です。

本書は、定年後の働き方について悩む人々に対し、医師の立場から具体的なアドバイスを提供しています。和田氏は、シニア世代が「無理なく楽しく働き続ける方法」を提案し、「働くこと=不老長寿の秘訣」であると説きます。これは、単に収入を得るためだけでなく、社会とのつながりを維持し、自身の存在意義を再確認するためにも、定年後の就労が重要であることを示唆しています。

私自身、長年のビジネス経験を通じて、仕事を通じた達成感や人との交流が精神的な健康に不可欠であると実感しています。ホワイトカラーの仕事でも、移動などを通じて体を動かす機会があります。 60歳前から大学の特任教授として毎週講義を行い、若い学生から刺激を受けています。授業の準備や講義、質疑応答を通じて、脳が活性化されるのを実感しています。

しかし、退職後に家に引きこもると、70代の場合は約1カ月もすれば運動機能が低下すると言います。また、働くことで知的活動やコミュニケーションの機会が増えますが、家で過ごすだけでは脳の活動が低下し、認知症のリスクが高まります。特に前頭葉の老化が進むと、意欲が低下し、運動機能や脳の老化を加速させるだけでなく、「見た目」まで元気がなくなっていくのです。 そのため、できれば定年退職の前から退職後に何をするか考え、準備することが大切です。

実際、慶應義塾大学の研究によると、定年退職後も何らかの形で働き続けている人は、脳卒中や心筋梗塞などの深刻な病気にかかるリスクが低く、健康を維持している人が多いことがわかっています。さらに、働き続けることで体の機能が維持され、結果として寿命が長くなる傾向も見られています。

どんなに元気で健康な人でも、加齢に伴う体や心の変化は避けられません。気持ちのあり方や意志の強さだけではどうにもならない身体的な変化が確実に訪れます。特に注意すべき「三大伏兵」として知られているのが、「①前頭葉の萎縮」「②ホルモンバランスの変化」「③セロトニンの減少」です。これらを理解して対策を立てることが、老化のスピードを緩やかにするカギとなります。

では、前頭葉の老化を防ぐためにはどうすればよいのでしょうか。その答えは「新しいことに挑戦し続ける」ことです。新しいことに取り組むことで、前頭葉は刺激を受け、機能を維持しやすくなります。たとえば、新しい趣味を始める、仕事に挑戦する、旅行で未知の場所を訪れるなど、日常的に新たな体験を取り入れると良いと言いまし

本書が働くことを勧めるのも、「新しいことへの挑戦」を日常的に続けやすくするためです。仕事を続けることで、新しい問題や課題に日々直面し、知らない人との関わりが増えることで、脳の老化を防げると著者は指摘しています。

定年後という第二の人生を楽しむ方法

第二の人生を好きな仕事でより充実させて、思い出に満ちた時期にしましょう。「ライスワーク(生活のための仕事)」から、「ライフワーク(人生の仕事)」ヘシフトしていくのです。

定年後の働き方は、単なる生計を立てる手段ではなく、人生の新たな楽しみややりがいを見つける絶好の機会です。自分が本当にやりたいこと、熱中できることに挑戦してみましょう。例えば、趣味を仕事にする、社会貢献活動に携わる、新しいスキルを学んで別の分野で活躍するなど、選択肢は無限に広がっています。

これまでのキャリアで培った経験やスキルを活かしつつ、新しい環境や人々との出会いを楽しむことで、毎日がより充実したものになります。自分の興味や関心を深堀りし、「仕事が楽しい」と思える瞬間を増やしていくことが大切です。

「老害」と言われることを気にしすぎる必要はありません。確かに、世代間ギャップや価値観の違いがあるかもしれませんが、自分らしく働くことを大切にしましょう。大切なのは、謙虚な姿勢を持ちながらも、自分の経験や知識を活かして、社会や職場に貢献することです。

また、定年後の働き方には、自由度が増すというメリットがあります。フルタイム勤務にこだわらず、パートタイムやフリーランス、起業など、自分に合ったスタイルを選ぶことが可能です。無理をせず、自分のペースで働きながら、充実した時間を過ごしましょう。 年齢を重ねることで得られるものは多くあります。新しいことに挑戦する気持ちを持ち続けることで、人生はより豊かになります。

例えば、資格取得やオンライン講座の受講、ボランティア活動への参加など、新たなスキルや人脈を広げることができます。 また、同じ志を持つ仲間と交流することで、新たな刺激を受けたり、互いに支え合ったりすることができます。何歳になっても、自分自身の成長を楽しむことができるのです。 

新しい趣味を始める、異なる分野の知識を学ぶ、旅行を通じて文化の違いに触れるなど、日々の暮らしの中で刺激を取り入れることが大切です。これにより、自分に自信を持ち、人生をより前向きに楽しむことができるでしょう。

好奇心旺盛に生きることは、自己肯定感を高めるだけでなく、脳の老化予防にもつながります。新しいことに興味を持ち、学び続けることで、脳は活性化し、柔軟な思考を維持できます。

仕事と趣味がごっちゃになっている状態って、ある意味理想的なのです。書くことが好きな人は、売れなくなっても趣味として書き続けることができるし、それが大きなストレスになることはありません。

書くことが好きな私は、それが習慣になっているため、それでお金を稼げなくとも苦になりません。この書評ブログを書くことで知識を吸収し、人脈を広げることができるうえ、その新たな知識を活かしてベンチャー企業へ的確なアドバイスもできます。

住宅ローンや子育ての心配がなくなった定年後の世代は、失敗を恐れずに積極的に行動できるはずです。私はベンチャー・スタートアップの社外取締役やアドバイザーを務めており、クライアントからのオファーがある限り、これからも仕事を続けます。新しいテクノロジーに触れながら戦略を考えることは、とてもワクワクする仕事で、脳の老化防止にもなっています。

世の中には、自分の老いを恨み、できなくなったことや失ったものばかりを嘆く人がいます。一方で、自分の老いを受け入れ、残された可能性や楽しみを大切にしながら生きる人もいます。幸せな人は、間違いなく後者です。 著者のこれまでの臨床経験でも、「あるある」を大切にして生きる人のほうが、より幸せに見えるといいます。

目指すべきは、「あるある」という加点方式で日々の幸せを積み重ねる“幸齢者”です。幸齢者とは、70代以降も充実した日々を送り、毎日幸せを感じながら生きる人のことを指します。

第二の人生を「自分らしく」「楽しく」「充実したもの」にするために、まずは一歩踏み出してみましょう。生計を立てるための「ライスワーク」から、自分の生きがいを追求する「ライフワーク」へとシフトすることで、より意義のある毎日が待っています。

最強Appleフレームワーク


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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