アーリック・ボーザーのLearn Better ― 頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップの書評

もう「習うより慣れろ」の時代ではない。成功するには単純な手順やノウハウを身につけるだけでは不十分だ。現代の世の中では学び方を知り、思考のスキルを身につけなければならない。思考のスキルこそが大事なのだ。(アーリック・ボーザー)

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アーリック・ボーザーLearn Better――頭の使い方が変わり、学びが深まる6つのステップの学習法を取り入れると、結果を出せるようになります。多くの人は「習うより、慣れろ」を盲信するだけで、学習について真剣に考えることはありません。しかし、本書の6つのステップをフレームワークにし、体系的に学ぶことで、私たちの知識と思考レベルは格段にアップするのです。

専門知識を習得するには、まず基本を自分のものにしていなければならない。しかし、事実情報を得ることは出発点にすぎない。学習に取り組む際には関係性を理解する、つまり原因と結果を見きわめ、類似性に気づくことも必要だ。とどのつまり、学習の目的はある事実や概念についての考え方を変化させることであり、学習にあたってめざすのは思考の体系を学ぶことなのだ。

教育心理学者が言うように、学習とは『整理されたわかりやすい体系の大切な部分を理解すること』と考えることがポイントになります。思考のスキルを身につければ、学び方が変わり、多くの知識を結びつけ、あやつれるようになるのです。知識を深めるためには、体系的なアプローチが欠かせません。

学びが自分の生活と関わりがあると理解するだけで、学ぶ態度が変わり、結果を残せるようになります。学びに価値を見いだすと、自分の行動を変えられます。心理学者のケン・バロンの以下の方程式を覚えれば、積極的に学べるようになるはずです。

モチベーション=コスト+期待感+価値あるいは意味の感覚

この中で特に重要なのが、価値を見いだすことなのです。学ぶことの意味を自分で見つけ、自分たちの生活に関連付けることで、学ぶモチベーションが高まります。習得したいスキルを自分の未来と関連付け、学んだ知識をどう活用できるかを考えるようにしましょう。

 

学びを深めるための6つのステップ

バリー・ジマーマンとアナスタシア・キトサンタスがニューヨークの女子高生に実験した結果を読めば、どう学べばよいかを理解できます。 実験の一つはダーツの遊び方を初めて教わることでした。研究を実施した二人の心理学者は女子生徒たちをグループに分け、一つめのグループを「チーム・結果がすべて」と名付けました。このグループには、ボードの中心を狙ってダーツを投げるように指示されました。つまり点数を獲得しさえすれば勝てると教えられたのです。「チーム・学習メソッド」グループには、技術を身につけるプロセスに意識を集中させました。少女たちはまず、ダーツの正しい投げ方に取り組み、「腕を体から離さない」などの基本をマスターしました。そして、ある程度うまくなったら、的を狙って投げることを指示されました。プロセス目標から的に当てるという成果目標へと、時間をかけて移行しました。そして、3つめのグループには、ただ「ベストを尽くせ」とだけ指示したのです。このチームを、「チーム・一般常識」と名付けました。

3つのグループの結果は驚くほど違いました。「チーム・学習メソッド」の生徒の成績は群を抜いており、「チーム・一般常識」の倍近い点数をたたき出していました。しかも、彼女たちは実験をはるかに楽しみ、ダーツに興味を持つまでになったのです。プロセス目標を達成し、自分を成長させるうちに結果を出せるようになるのです。

学習とはつまり理解のプロセス、メソッド、体系なのである。学習とは一つのことへの集中と計画性と内省をともなう活動であり、学習の方法がわかれば習得の度合いと効果は大きく上がる。現に、学習のプロセスは、学習の達成度を予測する最も重要な手がかりの一つであることがわかっている。ある最近の分析では、分野を問わず学習メソッドが成果を大きく左右することが示された。別の分析では学習のプロセスがGPA〔学生の成績評価値〕と連動することが明らかになった。(アーリック・ボーザー)

キトサンタスとジマーマンが継続して行った調査では、他の分野でもダーツの実験と同じ結果が出ました。バレーボールから作文まであらゆるものにおいて、学習プロセスに力を注いだ方が成果が高くなることが分かったのです。小さな工夫によって、結果が格段に向上します。例えばダーツの実験では、「チーム・学習メソッド」の被験者の約半数が投げるたびに点数を記録していましたが、たったそれだけでも成績は大幅に上がるのです。

専門知識を習得するには、まず基本を自分のものにする必要があります。成功するためには単純な手順やノウハウを身につけるだけでは不十分です。現代の世の中では学び方を知り、思考のスキルを身につけなければなりません。そして、結果を出すためには、学習をつながりで捉えるべきです。知識の関係性を理解し、原因と結果を見極め、類似性に気づくことが肝心です。学びを深めるためには、価値を見いだす→目標を設定する→能力を伸ばす→発展させる→関係づける→再考するの6つのステップを意識するとよいとアーリック・ボーザーは述べています。
①価値を見いだす
学びたいと思わなければ学ぶことはできません。専門知識を習得するには、そのスキルや知識に価値があることを理解するのです。
②目標を設定する
知識を習得する初期の段階においては、集中が重要です。何を学びたいのかを見極め、目的と目標を設定しましょう。
③能力を伸ばす
自分のスキルを磨き、パフォーマンスを向上させることに特化した手段を選ぶようにします。
④発展させる
基本から踏み出して、知識を応用し、成長を目指します。
⑤関係づける
点と点をつなげ、関連付けることで新たなアイデアが生まれてきます。
⑥再考する
自分の知識を見直し、自分の理解を振り返り、学習したことから学ぶようにすべきです。

この体系的なアプローチを取り入れることで、私たちは結果を出せるようになります。6つのステップを自分ごと化することで、いくつになっても学び続けることができ、変化に適応できるようになるのです。

まとめ

6つのスッテプの学習法を習得することで、結果を出せるようになります。価値を見いだす→目標を設定する→能力を伸ばす→発展させる→関係づける→再考するの6つのステップを自分ごと化しましょう。特に、学びに価値を見いだすことが重要です。学ぶことの意味を自分で見つけ、自分たちの生活に関連付けることで、学ぶモチベーションが高まります。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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