すべては1人から始まる――ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力
トム・ニクソン
英治出版
本書の要約
著者が提唱するソース原理を取り入れることで、トップダウン型のクリエイティブなリーダーシップにある最高の部分を取り込みながら、まったく新しい参加型のコラボレーションを実装していくことが可能になります。ソース原理のあるチームは、トップダウン×ボトムアップ 2つの力を創造的に活かすことができます。
ソース原理とは何か?
ソースとは、傷つくリスクを負いながら最初の一歩を踏み出した創業者のことだ(あるいは、その役割を継承した人物のことでもある)。そのときソースは個人的なリスクを取っていることから、イニシアチブに対して自然なオーサーシップやつながりが生まれる。(トム・ニクソン)
多くの組織がイノベーションを起こしていますが、それは必ず一人のアイデアから始まります。新たなビジネスがスタートする時には、「ソース」と呼ばれる「アイデアを実現するためにリスクを負って最初の一歩を踏み出した個人」が存在します。
ソースという一人の存在が創造のエネルギーを生み出し、それが周りに広がるごとでイノベーションを起こせるようになります。
著者が提唱するソース原理を取り入れることで、トップダウン型のクリエイティブなリーダーシップにある最高の部分を取り込みながら、まったく新しい参加型のコラボレーションを実装していくことが可能になります。ソース原理のあるチームは、トップダウン×ボトムアップ 2つの力を創造的に活かすことができます。それらの組織は、以下の4つの恩恵を得られます。
①活動の象徴となる創業者の創造性を活かしながら、独裁に陥ることなくビジョンの実現に向かうことができる。
②曖昧さのなかで溺れることなく、複雑さに耐えながら適応する力(レジリエンス)を育むことができる。
③参加者1人ひとりの創造性を育みつつ、全体としての一貫性を確保することができる。
・健全でクリエイティブな文化を育むことができる。
・女性性と男性性の両方を統合できる。
④目的を達成した創業者が次のステップに移っていけるようにすることで、そのイニシアチブを何世代にもわたって受け継いでいくことができる。
・ソースの役割
ソースの役割は、1人の個人が、傷つくかもしれないリスクを負いながら最初の一歩を踏み出し、アイデアの実現へ身を投じたとき、自然に生まれます。ソースは、《イニシアチブ》と個人的で特別なつながりを持っています。イニシアチブとは、アイデアが最初の一歩を踏み出してから、実現していく一連のプロセスです。
アイディアは、世の中に無数に存在しています。ソースによって最初の一歩が踏み出されることによって、初めてイニシアチブが始まります。
ソースはビジョンのオーサーシップを部分的に他者と分かち合うこともできます。他者がその領域で自分とまったく同じ役割を担えるようになったら、その人に道を譲って自分の関わりを手放していけます。その人は、イニシアチブ全体の一部を担う《サブソース》《サブイニシアチブソース》になります。サブソースが機能することで、もエネルギーに満ちて実用的な組織が作れるようになります。
・クリエイティブ・フィールド(創造の場)
ビジョンを実現するために人が集まると、私たちは自然と組織について考え始めます。クリエイティブ・フィールドは人を引きつけ影響を与える場であると同時に、アイデアを実現するために集まって一緒に仕事をする物理空間だと考えられます。このフィールドの中で参加者は結果を出すための最適な行動を行います。ソースが明らかにしたビジョン・パーパスに基づいた行動を行動をメンバーが行うことで、組織は結果を出せるようになります。
ソース原理の7つのステップ
ソースはビジョンを明確にして実現していくにあたって、多くの人たちの助けが必要であり、ときには自分より優秀な人を巻き込む必要もある。
自分がソースであると自覚しはじめると、信頼できる仲間から支援を受けやすくなります。ソースには周りの人が共感するビッグアイデアにつながる「物語」を紡ぐことが求められます。
また、ソースは以下の4つのことを実行する必要があります。
・より耳を傾ける。
・より大規模で洗練された方法で多くの人を対話に招集する。
・クリエイティブ・フィールドをサブソースたちと分かち合う。
・適切で賢明な決断をおこなうためにより洗練された意思決定の方法を採用する。
組織をモノとして見ることから離れてクリエイティブ・フィールドとして捉えることで、新しい組織づくりや働き方の実験が成功しやすくなります。クリエイティブ・フィールドに目をやり、そのなかで起きている変化に対処する方法を学べば、物事がうまくいっているかを把握し、ビジョンを実現する活動を進めるために次は何が必要かを知ることができます。
ソースは、自分と同じようなアイデンティティの輝きを持つ人たちを、クリエイティブ・フィールドに自然と引き寄せます。一方で、ソースは正反対の特徴を持つ人も引き寄せます。ビジョンに共感するさまざまな特徴を持つ人が集まることで、多様な解決策が生まれ、アイデアが実現しやすくなります。
ソースが創造性がもっと発揮されるよりよい組織をつくろうとすることで、組織は結果を出せるようになります。ソースは自分の内側を見つめて自己成長に取り組み、それから外側に目を向けて組織化の方法を考えていく必要があるのです。
・ソース原理の7つのステップ
ステップ1 ソースである自分から始める
まずは自分自身との対話を行います。自分とつながれば、「なぜ自分がその活動を始めたのか」「なぜ他者と力を合わせていくべきなのか」を理解することができます。自分とつながるためには、自分の人生から何が湧き出てくるか、個人的なビジョンを明確にする必要があります。
ステップ2 イニシアチブのソースを特定する
新しいイニシアチブや既存のイニシアチブに取り組むときは、まずソース役を担う人物を探すことで、クリエイティブ・フィールドに波長を合わせることができます。ソース役が自分であれ別の誰かであれ、ソースを特定できるかどうかは、イニシアチブの進み方を大きく左右します。
ステップ3 ソースやサブソースとしての役割へ踏み込む
ステップ4 フィールドマップをつくる
ステツプ5 サブソースを支援する
ステップ6 ソース原理を組織づくりと規模拡大に活かす
ステップ7 ソースを継承するか、イニシアチブを閉じる
このソース原理を活かすことで、自分たちの人生や、仕事や、コラボレーションのあり方に愛をもたらすことができます。ソースのアイデアをクリエイティブ・フィールドに参加するメンバーが具現化し、イノベーションを起こすことで世の中をよりよくできるのです。
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