GREAT BOSS(グレートボス) ―シリコンバレー式ずけずけ言う力(キム・スコット)の書評

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GREAT BOSS(グレートボス) ―シリコンバレー式ずけずけ言う力
キム・スコット
東洋経済新報社

GREAT BOSS(グレートボス)―シリコンバレー式ずけずけ言う力の要約

チームの成功を目指すには、メンバー同士が互いの考えや視点を共有し、協力し合うことが重要です。特に「ロックスター」の安定した力と、「スーパースター」の挑戦や成長意欲のバランスが不可欠です。それぞれの特性を理解し、役割を活かすことで、チーム全体が大きな目標に向かって進む力を発揮できます。互いの強みを取り入れ、共通のゴールを目指すことが、成果を最大化する鍵となります。

リーダーはスーパースターとロックスターの両方の力を引き出そう!

ひとりではできない大きなことをチームで成し遂げようと思ったら「脳みその境目をぶっ壊し」て、一緒に働く人を気にかけなければならない。メンバーの考えをあなたの頭に取り入れ、あなたの考えを彼らの頭に取り入れさせることに時間をかければ、もっと大きなことが成し遂げられる。(キム・スコット)

チームで大きな成果を目指すためには、個々の力を組み合わせ、互いに理解し合いながら働くことが不可欠です。その過程では、個々の「脳みその境目」を乗り越え、メンバー全員が持つ考えや視点を共有し、共通の目標に向かって進む努力が求められます。

互いの考えを取り入れ、相手にも自分の考えを理解してもらうことで、より大きな成果を得ることができるのです。

チームを構成するメンバーには、安定的な力を発揮する「ロックスター」と、常に挑戦を求め成長を目指す「スーパースター」の両方が必要です。それぞれの特性が異なり、得意なことも求める評価も異なりますが、どちらのタイプも等しく重要な存在です。ロックスターとスーパースターの両者のバランスが取れていることが、チームの成功にとって重要な鍵となります。

成果を評価する際には、業績の数値的な側面だけでなく、チームワークや貢献度といった目に見えない基準も考慮する必要があります。社員自身が業績目標を設定することが望ましいとされ、その目標は可能な限り測定可能であるべきです。また、目に見えない基準に関しても、定性的な評価を通じて期待値を明確にし、成果を正当に評価する姿勢が求められます。

スーパースターは目まぐるしい変化を好み、短期間で新しいスキルを身につけたり、既存の能力をさらに高めたりする傾向があります。一方でロックスターは安定した成長を重視し、専門分野において地道にスキルを磨き、熟練度を高めていきます。彼らは集中力や忍耐力を必要とする業務に適しており、その道の「達人」としてチームに貢献します。

スーパースターとロックスターがそれぞれの特性を活かし、チームにおいて調和を保ちながら機能することが重要です。 多くの人は、人生やキャリアの中で高速成長と安定成長を行き来します。そのため、ある人がどちらかのタイプに固定されていると考えるのは間違いです。成

長路線を転換するきっかけはさまざまで、時には環境やタイミングによっても変わります。ある時期には安定を求め、またある時期には挑戦を望むことが自然であると理解し、メンバーのニーズに柔軟に対応することが大切です。

上司としての役割は、メンバーの良い仕事を支え、さらに高い成果を引き出すために時間を割くことです。単にアドバイスを与えるだけでなく、実際に寄り添い、障害を取り除くサポートをすることで、メンバーがより良い結果を出せるように導く必要があります。調子の悪いメンバーにばかり時間を費やすのではなく、優秀なメンバーの力を最大限に引き出し、チーム全体の成長を促進することが求められます。

特にロックスタータイプのメンバーには、その道の第一人者としての地位や、後進の育成を任せるなど、能力を最大限に活用する環境を整えることが重要です。彼らは教えることを通じてさらに成長し、専門性を深めることができます。

一方で、スーパースタータイプのメンバーには、新しい挑戦やスキル習得の機会を提供することで、その成長意欲を満たすことが効果的です。 アップルのような企業は、専門性の高い人材が最適に活躍できる組織構造を整えています。

彼らは「なんでも屋」ではなく、各分野の専門家として尊敬され、チーム全体の成長に貢献しています。このような組織は、ロックスターとスーパースターがそれぞれの強みを活かし、最高の結果を生み出す環境を提供しています。

メンバー1人ひとりがその時々に望む夢や成長を理解し、サポートすることが、長期的な成功の鍵となります。人生やキャリアにおけるタイミングや状況に応じて柔軟に対応することで、メンバーの能力を最大限に引き出し、チーム全体の力を高めることができるのです。

良いチームを作るために上司に求められること

自分の仕事が好きで、その道で達人になれれば、人生は最高に楽しいものになる。企業の階段を登ることに魅力を感じない人は多い。それなのに、安定成長軌道にある人が、軽蔑的な意味で「控え選手」とか、「頭打ち」と呼ばれることは少なくない。  

自分の仕事を愛し、その道で達人となることができれば、人生は限りなく豊かで楽しいものになります。企業の階段を登ることに興味を持たない人も少なくありません。むしろ、同じ仕事を深く掘り下げ、その専門性を極めることに充実感を見出す人がいます。それにもかかわらず、安定成長路線を歩む人が軽蔑的な目で見られることがあるのは残念なことです。

「控え選手」や「頭打ち」といった表現が、彼らの努力や価値を過小評価するものとして使われる場面を目にすることがあります。しかし、本当に優れたリーダーや上司は、そのような見方を決してしません。

長年同じ仕事を愛し続け、それを深めることでチームに貢献する人々は、チームの安定性や生産性を支える重要な存在です。そのような人々を軽視せず、特別な敬意を持って接する文化を作ることが、チーム全体の一体感を高める鍵になります。

いい仕事を長期間続けている人を「頭打ち」としてではなく、その道の専門家として認め、尊重することが大切です。これにより、ロックスターと呼ばれる安定成長タイプの人々は、より大きな充実感を得て、結果的にチームの生産性や士気向上にも寄与します。

一方で、高速成長路線を求めるスーパースタータイプの人々を満足させるには、常に新しい挑戦や学びの機会を提供する必要があります。彼らには無理に見えるような挑戦を与えたり、知的な刺激を感じられる環境を整えたりすることが効果的です。

適切なメンターを見つけてあげることも一つの方法です。メンターは、上司自身が提供できない知識や視点を持っている人であることが望まれます。こうした努力により、スーパースターはさらなる成長を遂げ、チームにも新しいエネルギーをもたらします。

上司としての仕事は、チーム全体の水準を保ちながら、個々のメンバーが最良のパフォーマンスを発揮できるようにサポートすることです。短期的には厳しいと感じられる基準であっても、長期的に見ればその基準を維持することが、メンバー自身の成長とチーム全体の成功につながります。

一方で、無難な道を用意しすぎてしまうと、メンバーの潜在能力を引き出せないことがあるため、過剰な配慮は控えるべきです。誰もが何かの分野で非凡な成果を上げる可能性を持っています。優れたチームを作るためには、凡庸さに妥協せず、全員が最高の働きを目指せる環境を提供することが不可欠です。

また、ロックスターやスーパースターという言葉に囚われすぎると、人を固定的に見てしまいがちです。安定成長路線にいた人が突然新しい挑戦を求めるようになったり、高速成長を続けてきた人が安定を望むようになったりすることもあります。人の成長や志向は時間とともに変化するものです。

その変化を敏感に捉え、適切に対応できるのが優れた上司の特徴です。日々のコミュニケーションを通じてメンバーを深く知り、変化の兆しに気づけるようにすることが求められます。 また、どんなに優れた人材であっても、常に最高の成果を出せるわけではありません。当然彼らにも一時的に調子が悪い時期が訪れることもあります。

その際に過剰な期待を押し付けるのではなく、適切なサポートを行いながら成長を見守ることが大切です。安定成長と高速成長の間を行き来するメンバーに対し、柔軟でありながらも一貫性を持ったリーダーシップを発揮することが、チーム全体の成功を導く鍵となるのです。

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