ザ・ブランド・マーケティング: 「なぜみんなあのブランドが好きなのか」をロジカルする(スコット・ベドベリ, スティーヴン・フェニケル)の書評

person holding iPhone taking picture on Nike label

ザ・ブランド・マーケティング: 「なぜみんなあのブランドが好きなのか」をロジカルする
スコット・ベドベリ,スティーヴン・フェニケル
実業之日本社

本書の要約

企業は認知度を高めるだけでなく、顧客を喜ばすこと、社員全員が顧客体験を高めることで、顧客との良好な関係を築けるようになります。企業のパーパスを明らかにし、自社のブランド価値をメンバー全員に浸透させることで、組織は強くなり、顧客から支持されるようになります。

現代社会がブランド構築を必要とする3つの理由

混沌とした変化の時代においても、人々の耳目を引きつけ、記憶に残り、求められ尊敬されるブランドを築こうとする努力の中から、最良のものが選別され、輝きを得る。ーわたしはそう信じている。(スコット・ベドベリ)

著者のスコット・ベドベリは、成長途上のナイキやスターバックスのマーケティングを担当し、両社を成功に導きました。彼は「ブランディングこそマーケティングの基本」だと言い、そのノウハウを本書で明らかにしてくれました。特にナイキ時代の「Just Do It」のコピーを手掛けたときのエピソードが秀逸なので、ぜひ、本書でご確認ください。

生活者や企業はブランドが良質か、信頼性があるか、感度がいいか、洗練されているか、時代の先端を感じさせるかなど、いろいろな点を検討しながら、購入しています。そこでは、商品やサービスだけでなく、ブランドの適切力、共鳴力も問われています。企業は時代の変化に適応し、顧客体験を高める必要があるのです。

インテルやナイキ、スターバックスなどの優良なブランドは、顧客を満足させ、次に何が来るのか期待させながら、つねに自己刷新と自己改革を続けています。彼らは、永遠に同じでいて永遠に新しいというブランドを構築しています。

現代社会がブランド構築を必要とする理由は以下の3つになります。
①商品、サービス、企業、ブランドがかつてないほど世の中にあふれて差別化をめざし、消費者に愛され望まれようと切磋琢磨するようになりました。企業はマーケティングに大量の資金を投下しても、ブランドへの信頼や愛着は買えないということを理解しています。

長い年月のあいだに信頼を築くのは、結局、行動と品質なのだ。広告はせいぜい「すでにあるもの」を強化するだけで、理想を作り出す手段ではない。

世界で最も愛されているブランドであるにスターバックスは、従来のいわゆるマーケティング活動にほとんどお金を使っていません。それにも関わらず、スターバックスの従業員は、どう行動すべきかを理解しています。スターバックスの社員研修、福利厚生、連帯意識、そしてそこから生じる社員の態度や行動は、他のサービス業界よりも高いレベルにあります。

企業がブランドの価値や使命、存在意義などを理解し、それに準じて活動を続けていけば、組織全体がいついかなる状況にも適切に対応できるようになります。

②企業にとって最も貴重な財産がもはや物質的なものではなくなりました。企業は有形資産だけでなく、革新的なプロダクト・デザイン、エンジニアリング、マーケティング、ブランド・ポジショニングなど無形資産への投資が最も効率の良い投資だと理解しています。無形資産の中で最も重要なものの一つが企業ブランドです。

③企業は地球市民の一員として、より責任ある行動を取るよう求められています。企業はもっと人間的になり、もっと賢く行動しなければなりません。SNSのパワーが増し、個人がさまざまな情報を発信できるようになることで、企業の悪事は隠せなくなっています。一度ネガティブな情報がSNSで流れれば、そのニュースは一気に拡散し、インターネット上で永遠に晒されるリスクを抱えます。いくら広告費にお金を使っても、信頼を失うような行為を行えば、その悪事(醜さ)は隠しようがないことを経営者は忘れないようにすべきです。

強いブランドを育てる8ヶ条

企業に魂や心がなければ、企業が「ブランド」のコンセプトを理解しなければ、企業が周囲の世界とつながろうとしなければ、どんなマーケティングを試みたところで、だれとも深く共鳴しあうことなどできはしない。

勝ち残るブランドは、けっして最初から優れたブランドを構築しようと考えて商売をはじめたわけではありません。まず利益を生み出せる優れた商品またはサービスを用意し、事業を支えていける組織作りに全力を注ぎ、それを達成した上で、マーケティングに本腰を入れ、世界に向けて宣伝をはじめます。

商品やサービスは、時代につれて変わっていきますが、顧客の心に残る経験は、最終的にブランドを定義することになります。ブランドが顧客との約束を守り、顧客の期待値を超える商品やサービスを提供し続けることで、ブランドの価値はアップするのです。

人間は、生きてきたあいだの経験や行動で定義される。ブランドも、また同じ。

優れたブランドは、つねに首尾一貫して、顧客に前向きの感情を喚起します。新しい商品、サービス、マーケティング・キャンペーンを発表するたびに、ブランドはリフレッシュされパワーを増していきます。優れたブランドは、中核となるテーマやアイデアを見据えつつ、新たな商品やサービスを展開し、それらを一貫したストーリーの中へ胸躍る新たなエピソードとして織りこんでいくことで、顧客に感動体験を与えています。

そして、強いブランドは逆境にあったときでも、過去に顧客との良好な関係を築いてきたことで、多くのトラブルを乗り越えていきます。顧客から応援されることで、成長軌道を維持していきます。

著者は強いブランドを育てる8ヶ条を明らかにしています。
1,ブランドのDNAを定義し保護する

ブランドのDNAを解読する手がかりは、商品ではなく、過去の歴史でもなく、モノでさえない。それは中核顧客、将来の顧客、従業員など大切な人々にとって自社が何者であるかを定義する本質や精神を探ることなのである。

核心部分の力の源となる本質=中核ブランド価値、すなわちそのブランドとは何かを明らかにし、それを顧客や従業員に理解してもらうことが重要なのです。

2,ブランドを賢く拡張して企業を育てる

3,顧客とのあいだに商品やサービスを超越した情緒的きずなを築く

4,時代を超えて価値の変わらぬものの擁護者となる

5,企業の大きさをマイナスでなくプラスに活かす

6,企業が持つ大きな力をよい目的に役立てる

7,自社のブランド価値を組織全体に浸透させる

8,ブランドのよき育ての親になる

経営者は今こそ、企業の本質的なブランド価値を明らかにし、それを高めることに力を注ぐべきです。認知度を高めるだけでなく、顧客を喜ばすこと、社員全員が顧客体験を高めることで、顧客との良好な関係を築けるようになります。企業のパーパスを明らかにし、自社のブランド価値をメンバー全員に浸透させることで、組織は強くなり、顧客から支持されるようになります。どんなに強いブランドでも顧客体験を高める努力を続けるべきです。


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