いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才 (今井孝)の書評

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いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才
今井孝
すばる舎

いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才 (今井孝)の要約

人生の幸福度は、1日のうちたった2時間を「自分のための時間」として意図的に確保することで大きく変わります。やるべきことに追われる日常の中でも、達成感・ふれあい・リラックスの3つを意識して過ごすことが大切です。不要な習慣を手放し、自分を満たす行動に時間を使うことで、日々の充実感と幸せが確実に高まっていきます。

たった2時間が人生に幸せをもたらす理由

1日のなかに「最高のひととき」をつくり出している、ということです。その「最高のひととき」を平均すると、2時間程度でした。普通の人との明確な違いは、1日のなかで2時間だけ。つまり、人はたった2時間だけでも充実すれば、十分幸せなのだということです。(今井孝)

たかが2時間、されど2時間。 「2時間で人生の幸福度が左右される」なんて、最初は信じがたいかもしれません。けれど、もしあなたが最近「時間に追われている」と感じたり、逆に「今日も時間をムダにした」と感じたりしているなら、その正体は案外、2時間の使い方にあるかもしれません。

今井孝氏は、この2時間を「最高のひととき」と呼びます。言い換えれば、自分の人生を取り戻す時間です。 多くの人は、一日24時間のうち睡眠を含めると、20時間以上を「やらねばならないこと」に明け渡して生きています。

通勤や会議やメール返信、家事や送迎。必要なことばかりですし、誰かの役に立っている時間でもあります。けれど、それがそのまま「自分のために生きている実感」につながるかというと、話は別です。 では、いつ「自分の人生を生きている」という手応えを取り戻せるのでしょうか。

ここで提示される答えが、一日2時間を意図的にデザインすることです。なぜなら、「いい一日だった」と感じるために、24時間すべてが素敵である必要はないからです。 思い返してみてください。 友だちと過ごした2時間がやけに楽しかった日。

 一日を「いい日だった」と意味づけているのは、だいたいその日の“全部”ではなく、その日の“ある瞬間”だと今井氏は本書で繰り返します。

ここで大事なのは、時間の長さではなく、時間の質です。 充実した一日は、実は2時間あればつくれてしまいます。もっと言えば、10分や1分でも自分のモチベーションを高められます。

小さな達成感が積み重なると、最終的に大きな成果に変わっていくからです。人生は、派手なイベントでしか動かないわけではありません。静かな反復で動きます。 そして中盤で、もう一つ重要な指摘があります。 幸福度の高い人ほど、先に「自分2二時間」を確保し、そのあとに仕事や義務を配置している、という話です。

多くの人は日常はこの逆です。やるべきことを先に詰め込み、余ったら自分の時間にしようとする。しかしそのスケジュール管理では、幸せな時間をつくれません。だから、順番を変えるのです。

先に2時間を押さえる。そこを動かさない。残りの22時間を現実に合わせて編集する。たったそれだけで、同じ24時間でも充実度が大きく変わると説明されます。自分に幸せな時間の主導権を戻すことが重要なのです。

自分の時間を取り戻すための5つのステップ

①やらなくでもいいことをやる ②「自分の感情を満たしてくれるもの」を知る ③充実感を得られる1日を過こす④未来のためにも時間を使う⑤幸福感を意識して味わう

ここで鍵になるのが、「やめること」です。2時間を生み出せない理由の多くは、忙しさそのものではなく、やらなくてもいいことを、なぜか毎日ちゃんとやってしまっている点にあります。

惰性で眺めてしまうSNS、成果につがることのない情報収集やネットサーフィン、気が進まないのに断れずに参加してしまう飲み会。

こうした時間は、終わったあとに「いやー、いい時間だった」と言えることは少なく、貴重な時間を無駄にしたという感覚だけが残りがちです。 だからこそ、最初にやるべきは「空いた時間に何をしようかな」と考えることではありません。自分が何に満たされるのかを、まず知っておくことです。

自分の感情を満たしてくれるものを知らないまま2時間だけ空けても、そこは簡単にスマホや不要なタスクに飲み込まれてしまいます。逆に言えば、「これをやると自分はちゃんとご機嫌になれる」ということを理解していることが、2時間を幸せな時間に変えてくれるのです。

人生を変えようと思ったとき、私が最初にやったのは、「理想の時間」と「現実の時間」のギャップを見つけることでした。自分の幸せな時間を定義し、そのためのスケジュールを書き出したのです。

自分の一日を冷静に棚卸ししてみると、忙しさの正体と無駄な時間を可視化できます。時間が足りないのではなく、意図せずに浪費される時間があるだけなのです。

私の場合、それはテレビ視聴と、流れで参加してしまう二次会でした。終わったあとに残るのは満足感ではなく、「まあ、なくてもよかったかもしれない」という薄い後悔です。そこで私は、それらをやめました。

これによって、「自分を幸せにしてくれる時間」が確実に増えました。家族と食事をする時間、旅行に出かける時間、読書の時間、そして書評ブログを書く時間。足したのではなく、取り戻したのだと思います。24時間は一ミリも増えていません。けれど「自分の人生を生きている」という手応えは、はっきり増えました。

結局、人生を変えるのは特別な努力ではなく、時間の使い方を再定義することです。理想の時間割を先に描き、現実とのギャップを直視し、惰性で握っていた予定や習慣を手放す。そして浮いた時間を、「本当にやりたいこと」に振り替えていく。たったそれだけで、一日の手触りが変わり、幸福度は着実に上がっていきます。2時間の設計は、結局のところ「充実感を得られる一日をどうつくるか」という自分の選択です。

著者は、幸せには3つの種類があると言います。朝の達成感、昼のふれあい、夜のリラックスです。ここが肝になります。2時間をなんとなく空けるのではなく、この3つのどれを強くし、どう回すのかを先に決める。さらに、自分の価値観を言語化しておけば、時間を適切に使えるようになります。

達成する仕事を入れるだけではなく、その達成の先に小さなご褒美を置く。温泉に行く、ライブを楽しむ、好きな人に会う。努力の後に回復と喜びが予定されているだけで、人は1日を楽しめるようになります。

幸福とは、気分ではなく構造なのだと実感します。 私自身、毎朝の感謝日記とビジョンの日記、そして書評ブログの更新をルーティンにしています。この「朝に小さな達成感が確定している」状態が、日々の幸せの土台になります。

昼はビジネスパーソンや、大学で教えている学生とのつながりを増やす。夜は仲間や家族との美味しい食事を、ちゃんとスケジュールに入れておく。こうして一日の中に、達成感とふれあいとリラックスを散りばめることで、「幸せな時間」は意図的に増やせるのだと思っています。

幸せな2時間は、今日の自分を回復させるだけの時間ではありません。明日の自分を助ける時間にもなります。未来のキャリアを変える学びに集中するのもいいし、身体と心を整えるために歩く、湯に浸かる、本を読むのもいい。家族やパートナーとスマホを置いて向き合って話すことが、幸福な時間を増やしてくれるのです。

10年後の理想の自分から逆算し、そのためのルーティンを設計します。行動の迷いをなくし、今日もできた、が淡々と積み上がる状態をつくるようにします。行動を習慣化し、あきらめずに続けることが、なりたい自分を近づけてくれます。

私も44歳のとき、人生を変えると決め、大好きだったアルコールをやめました。人生のハンドルを取り戻すには、まず自分の時間と集中力を取り戻す必要があると感じたからです。そして同時に、「やりたいこと」をリスト化しました。

著者になるために、インプットとアウトプットをやめずに続けました。 結果として書籍を出版でき、社外取締役として独立し、今では大学でも教えられるようにもなりました。当時リストに書いたことが次々に実現し、幸せな時間を過ごせるようになったのです。

人生が劇的に変わったのは、何か特別な才能が突然開花したからではありません。人生を変えるために「やらないこと」を決め、空いた時間を「やりたいこと」に振り替え、それを淡々と積み上げた。その時間の使い方の選択が、いまの自分につながっているのです。

「何をやっても人生がつまらない」という人は、もしかしたら、ただ十分に喜びをわっていないだけかもしれません。 

幸福感は「起きるもの」ではなく、「味わうもの」だと著者は指摘します。せっかく満たされる時間をつくっても、心が別の場所に飛んでいたら、手応えは薄れてしまいます。

だからこそ大事なのは、小さな幸せを小さなまま見逃さず、きちんと味わい直すことです。さらにそれを言葉にして残しておくと、幸福は一回きりで終わらず、何度でも再現できるようになります。

私自身、感謝日記には「良かったこと」だけでなく、「辛かったこと」もあえて書き留めるようにしています。しんどい出来事ほど、実は誰かの支えや、耳の痛い一言の価値がはっきり残るからです。

失敗を出来事として終わらせず、感謝の気持ちを残すことで、自分ひとりで乗り越えたような顔をしなくて済みますし、失敗を乗り越えた体験が記録として積み上がっていきます。そして、それを定期的に読み返すことで、幸せな気持ちになれるのです。

幸福は根性論でも、個人の自己責任でもありません。結局のところ、それは「時間の選択」をどう積み重ねるかです。

2時間を先に選ぶ。今日の自分を取り戻す。未来の自分を少し助ける。幸福をちゃんと味わう。そういう小さな選択を繰り返すことで、人生の豊かさは確実に変わっていきます。本書を読んで、その当たり前で一番大事なことを、もう一度しっかり確認できました。

 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

Ewilジャパン取締役COO
Quants株式会社社外取締役
株式会社INFRECT取締役
Mamasan&Company 株式会社社外取締役
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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