ヒップな生活革命とは何か??

ホールフーズマーケットが素晴らしいという話をしていたら
クリエイティブディレクターのウジトモコさんから
面白い本をレコメンドしてもらいました。
ヒップな生活革命 (ideaink 〈アイデアインク〉)佐久間 裕美子著)という
アメリカの新たな消費トレンドについて書かれた一冊で、興味深く読めました。
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タイトルのヒップとは60、70年代のヒッピー思想をベースにした新しい消費文化ですが
それはポートランド、ブルックリンなど全米の様々なエリアで、ほぼ同時に流行り始めたのです。

リーマンショックのリセッションを経て、アメリカの消費文化は大きく変化しています。
サードウェーブコーヒーや美味しいオーガニックレストランが目立ち始め
ハンドメイドが見直されるなど、チェーンスタイルではない個人経営の店が増えています。
他人の都合で将来を左右されることにうんざりして」独立したという
レストラン経営者の一言が、今の時代の雰囲気を表現しています。
企業に多様るのではなく、個人が協力して、自分たちが欲しいものを
提供するという考えのもと、多くのサービスが展開されるようになったのです。

サブプライムなどの金融危機以降に、ハンドメイドや産地直送などのこだわりに
人々が回帰したのも、大量生産では得られないほっとした感覚を
人々が追い求めた結果なのでしょう。

ところが、日常的に目に入ってくる悪いニュースにも慣れた頃、少しずつ何かが変わっていくのを肌で感じるようになりました。驚くほどおいしいコーヒーを出すインディペンデント系のカフェが増え、産地直送の新鮮な野菜がぐんと手に入りやすくなったのです。大量生産の仕組みの中で粗悪な商品を作るかわりに、古いものや廃材を直して使ったり、リメイクしたりする作り手が増え、手づくりのクラフト文化のつぼみが開花しているのに気がつきました。

実際、多くのメーカーが作っている食品に対する不信感は年々高まっています。
自分の身近で作られた野菜や仲間が作った洋服を着たいという人が
私の周りでも、増えてきています。
生産者やショップのオーナーとつながっていたいという思いが
アメリカだけでなく、この日本の消費者の中にも芽生えてきています。

この新しい文化の潮流は、自分たちが消費するものの本質を強く意識することから始まっています。口に入れたり、身に着けたりするものがどこで作られ、どこからやってきたのかを考えよう、社会的責任に重きを置く企業を支持しよう、 「より大きいものをよりたくさん 」という消費活動と決別しよう、お金さえ払えば誰でも手に入れることのできる高級ブランドのバッグよりも、自分がより強いつながりを感じるものを、たとえば同じコミュニティの一員がデザインし、地元の工場で、自分たちと同じ電車に乗って仕事に通う人が作る商品を使おう、という新しい価値基準の提案で。もちろん、これらすべてが突然登場したわけではありませんし、アメリカの主流の文化を一昼夜で変えられるわけでもありません。けれども、ポ ートランド、ブルックリン、北カリフォルニアといったリベラルな都市を中心に、なかば同時多発的に各地で、同じような意識や価値観を共有する人たちの手によって起きている小さなムーブメントは、今の時代にあってインディペンデントな生き方をしたい人たちにヒントをたくさん与えてくれます。世界中に散らばった小さなコミュニティは呼応し合ってより大きな文化の潮流を形成し、大きな力を前にただ無力感に打ちひしがれながら何もできずに生きていく必要はない、ということを私たちに教えてくれるのです。

自分らしく生きたい!大企業とは一線を画して生きたいという思いが
先進国の人々の中で、どんどん強くなってきています。
実際、私も健康を気にするようになってから
スーパーで成分表示を徹底的にチェックするようになりました。
保存料や着色料を使いすぎたメーカー製品があまりにも多く
表示を見るだけで、その企業への信頼感がなくなります。

最近はファスティングをしているために食事の回数を減らしています。
どうせ食べるのなら、安全で美味しいものを食べたいので
より食品には気を使うようになりました。
そのおかげで、始めてからわずか一ヶ月半で、アレルギー症状が、緩和されたのです。
これで、今まで外食などで食べていたものへの信頼感が揺らぎ始めています。

ブルックリンでは、多くの個人のレストラン経営者が
同じコミュニティの仲間とともにコラボを行っています。

外食産業の労働環境は本来、長い労働時間で過酷な業務内容など厳しいものとして知られてきましたが、少量生産の製造文化が登場したことで、食の分野に進みたい新世代に働き方の新たな選択肢が増えたのです。つまり、共同の厨房を使ってコストを抑えながら、同じコミュニティに属する仲間たちと支え合って新しいマーケットを開拓していくという流れが、これまでアメリカで主流だった企業主導型のやり方に新しい風を吹き込んでいるのです。

仲間ともに、少量生産でも経営できるスキームを作ることで
新しい働き方がアメリカでは生まれています。
同じ厨房を使ってコストを落としたり、仲間と支えあうことで
新しいマーケットが開拓され始めました。
企業主導ではなく、生産者や作り手の顔が見えた健康で体に優しい料理が
アメリカでも食べられるようになったと言います。
日本にはもともとそういった個人経営のレストランや料理屋が数多くありましたが
最近では、チェーン店に押されたり、競争が激しく閉店を余儀なくする店が増えています。
このコミュニティ型の個人経営スタイルを仕組み化すれば
日本の飲食業に面白いトレンドを作り出せるかもしれません。

今日もお読みいただき、ありがとうございました。
   

photo credit: IMG_5121 via photopin (license)

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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