黒川伊保子氏の女の機嫌の直し方の書評

男女の脳は、回路構成が違い、信号特性が違う。それは、まったく別の装置なのである。たとえば、炊飯器とオーブントースターのように違う。(黒川伊保子)


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男女のけんかは脳の違いに起因する

私と奥さんの会話はすれ違いが多く、些細なことから口論になり、やがて大きなけんかが始まります。この不幸なループを避けることができれば、私はもう少し幸せな時間を増やせるはずだと思い、黒川伊保子氏の女の機嫌の直し方を読むことにしました。著者の黒川氏は人工知能(AI)の研究者で、脳科学やAIの知見で、男女の脳の違いを明らかにしています。AIがスムーズにコミュニケーションするためには男女の脳の違いを明らかにする必要があると気づいた著者は、男女の対話スタイルが異なることを発見したのです。男女の話のスタイルは驚くほどに全く真逆で、これが男女の間にヒマラヤのような大きな壁を築いていました。

女性は、ことの発端から語りたがる。男性は、最初に、ゴール(話の目的あるいは結論)を知りたがる。つまり、話の流れが真逆なのである。スタートから時系列に沿ってプロセスを語る女性脳と、ゴールから遡る男性脳。時系列真逆の制御である。これらが相容れるわけがない。

女性の対話は、プロセス指向共感型のため、男性が先に結論を伝えようものなら、わかっていないと一刀両断されてしまうのです。うちの夫婦喧嘩の原因は共感不足に起因していたのです。共感を頼りに文脈を紡ぐ妻は、プロセスを語ることで自分で結論を見つけています。女性は、ことの発端から、時系列に経緯を語りながら、そこに潜む真実や真理を探り出しているのですから、共感しながら、しっかりと話をフォローしなければなりません。夫が解決策を先に与えることは、妻の思考を邪魔する最悪な選択肢だったのです。

女性に気持ちよく話してもらうために、男は彼女の話を傾聴し、共感しなければなりません。共感で回す女性脳と、問題解決(欠点の指摘)で回す男性脳は、正反対に会話を行っていますから、かみ合うわけがないのです。この構造を理解して、男性が意識を変えない限り、無駄なけんかを避けられないのです。

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女性の脳の特徴を知ろう!

実は、女性脳は、「怖い」「ひどい」「つらい」などのストレスを伴う感情が起こるとき、そのストレス信号が男性脳の何十倍も強く働き、何百倍も長く残るのである。そして、共感してもらうと、その余剰な信号が沈静化するようにできている。

男女の会話の違いはロボットでも起こります。プロセス指向共感型の対話エンジンを採択したロボットと、ゴール指向問題解決型の対話エンジンを採択したロボットの対話をシミュレーションしてみると、ニ体は情報共有に失敗して、対話は破綻すると黒川氏は指摘します。感情を持たないロボットでさえそうなのですから、会話の中に共感がなければ、けんかが起こるのは避けられません。長く連れ添った夫婦でも、対話エンジンの採択に失敗すれば、あっという間に問題が起こるのです。

男性は、遠くと近くを交互に見て、距離感をつかみ。その構造を短時間で理解します。一方の女性は、比較的近くにあるものの表面をなめるように見て、針の先ほどの変化も見逃さないという特徴があります。このため、デートをしたとき、女性は男性が注意力散漫に見えてしまい、自分にしっかり集中してくれていないと感じてしまうのです。ここから愛が足りないと多くの女性が不満を感じていることを男性はもっと知るべきです。

女性は「感情の一部がことさら強く働き、共感によって余剰ストレスを解消するメカニズムで日常の自己保全情報を獲得しているので、周囲の共感が得られなければ、余剰ストレスの処理に失敗し、感情的になるように見えることがある」というのが、私の見解である。日常の男女関係において女性が感情的になる局面が多いのは、ゆるがない事実なのだが、感情が過剰に働くのは知的行為の一部であり、取り扱いを間違えさえしなければ、感情が暴発することはある程度防げる。「女は感情的だから」と言ってすましていい話じゃない。

多くの男性は 、脳梁が細めで生まれ、男性脳型のビューセンサーを持ち、問題解決型の対話エンジンを育みます。少数派ですが女性のように脳梁が太いデザイナーやアーティストは、イメージ(右脳)を顕在意識(左脳)に伝えることができます。このように共感型の対話エンジンを使えるようになると女性とのトラブルも減らせます。男性の脳と女性の脳の違いを意識し、会話のスタイルを変えることが男性に求められています。

また、女性の脳には一瞬で過去の記憶を思い出せるという恐ろしい特徴があります。

女性脳の中では、一部の体験記憶が、その体験記憶を脳に格納したときの「心の動き」とセットでしまわれている。そして、その「心の動き」を検索キーとして、検索エンジンにひも付けされているのである。このため、何か「心の動き」があったとき、その「心の動き」をトリガーにして、「過去の関連記憶」を芋づる式に引きだすことができる。これは、何かことが起こったときに、瞬時に関連記憶を引きだして、とっさに賢く動ける臨機応変力を担保してくれる能力だ。

うちの妻も過去のトラブルを瞬時に思い出し、バトルが始まった途端に私の様々な悪行を列挙します。これが始まるともはや私には勝ち目がありません。嫌な時間を過ごさないためにも、妻の話をしっかりと聞き、共感することを忘れてはいけないのです。男性諸氏は本書で女性脳の特徴を把握し、共感脳を鍛えるようにしましょう。多くのケーススタディを学ぶことで、無用なトラブルを減らせるはずです。

まとめ

男女の脳には大きな違いがあることを理解し、コミュニケーションをしないと墓穴を掘ることになります。女性の脳の特徴を把握すれば、夫婦間の無駄な争いを減らせます。自分の主観を大事にする女性の話をしっかりと聞き、共感を伝えることを意識しましょう。この男性の態度が女性の脳を満足させるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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