初期投資が数十万円から百万円かかるものを、レンタルにすることで安価にする。(小川紀暁)
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毎月利用利用料を払わないサブスクモデルが新しい!
日経クロストレンドはサブスクリプション2.0 衣食住すべてを飲み込む最新ビジネスモデルの中に高級時計のサブスクリプションモデルの成功事例KARITOKEが紹介されていました。広告会社に勤めている頃、私は高級時計の魅力にはまり、 ロレックスのアンティークやパネライを集めていました。あの当時にこのKARITOKEがあれば、無駄なお金を使わずに済んだのに!とちょっと悔しい思いを抱きながら、本書を読みました。
運営するクローバーラボはゲームアプリの開発・運営が本業ですが、新たな収益を生み出す事業を検討する中で、サブスク型のビジネス市場の可能性に目を付けたそうです。同社の常務取締役の小川紀暁氏は、高級商品を安く提供すれば、成功すると考え、女性向け高級バッグやジュエリー、男性向け高級スーツなどを候補に新サービスのアイデアを作りました。女性向け高級バッグは、すでにラクサス・テクノロジーズがサービスを提供していたため、「腕時計」市場で勝負することにしたのです。参入理由は以下の3つで、ヤングエグゼクティブをターゲットにビジネスをスタートしました。
■場所を取らず管理しやすい。
■相場がはっきりしていて価格設定もしやすい。
■レンタル品として運用後に、売却処分して現金化しやすい。
日本時計協会によれば、2017年の腕時計市場は、8004億円で前年比1%増加していますが、1%のマーケットをサブスクに置き換えることを目標に設定しました。
料金プランはいずれも平均のレンタル期間を予測し、貸し出せる時計の相場を割ることで回収可能な金額の幅を推測し、値付けしています。企画当初は最安・最高のプランは計画していませんでしたが、月額9800円のプランでは、ロレックスの「サブマリーナ」を扱えいことがわかり、1万9800円のプランと、学生を対象とした3980円のプランを加えて、事業をスタートしました。
同社の強みはサブスクなのに月額費用がかからない点にあります。単純に毎月利用料を徴収するのではなく、月額料金が発生するのは時計を借りている間だけにしたのです。時計を返却して、次の機種を借りなければ支払いは発生しないので、好きなときに借りて、必要なければ止められることがユーザーに受けたのです。また、これがチャーン防止に役立っています。
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顧客満足を高めることが、サブスクの成功には欠かせない!
レンタルサービスは借りたい商品の有無で利用意向が決まる。借りたい時計がないのに料金が発生すると、満足度が下がってしまう。
サブスク型ビジネスを支援するZuora Japan社長の桑野順一郎氏は、『サブスク=月額制』と考えてはいけないと指摘します。(Zuoraの参考記事)10万円のものを36カ月で割って月払いにして商品を提供するのではなく、顧客の利用状況を見ながら、最適プランを提案して長期の関係を構築することが求められています。顧客と長期的な関係を構築するには、柔軟な課金体系が必要です。
サービス開始後、顧客の利用実態がわかると、想定外なことが起こりました。最も高額なexecutiveから順に、上からの登録者が多かったのです。想定では、安価なcasualやstandardの利用が多いと見込んでいましたが、利用者の割合はexecutiveが34.4%と最も高く、以下premium (28.2%)、standard(25.4%)、casual(11.9%)という順番になっています。
事前の想定に合わせて商品を調達していたため、商品構成を入れ替え、最高級品の在庫を増やしました。現状の利用者は30代が最も多く39%を占めています。
利用者のニーズがデータからはっきりと分かるため、そのニーズに合わせてサービスをフィットさせていけるのもサブスク型の利点だ。
同社は顧客の要望を把握しながら、C2Cの新しいサービスKASHITOKE(カシトケ)を2018年10月にリリースしました。顧客は自宅で眠っている時計をクローバーラボに預けることで、KARITOKE経由で商品を貸し出せるようになったのです。
故障や盗難時の、修理や損害賠償を条件にクローバーラボが時計を預かり、預けた時計が借りられると、月額料金の25%が支払われる仕組みです。リアルでのコンタクトポイントを東京・有楽町と大阪・なんばの丸井にオープンすることで、高級腕時計を貸し出す顧客の安心感を高めるようにしました。クローバーラボは自社仕入れだけではなく顧客の遊休資産を活用すること商品ラインナップを増やし、顧客とのwin-winを築きながら、事業規模を拡大しています。
サブスクリプションモデルにも高級化の波が押し寄せています。よりよい自分を演出する顧客の動きを掴んだ企業が、新たな時代の勝者になります。高額な支払いが可能な顧客の嗜好や購買データを押さえることで、ビジネスの可能性を広げられます。経営者はサブスク時代に生き残るために、顧客の要望を聞きだしながら、顧客満足度を高めるサービスを提供する必要があるのです。
まとめ
単純に『サブスク=月額制』と捉えるのではなく、顧客満足度を高める商品を顧客に提案し、顧客とのwin-winの関係を築くことが成功の秘訣です。利用者のニーズが顧客データから把握できますから、ニーズに合わせてサービスをフィットさせるようにしましょう!
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