エイミー・モーリンのメンタルが強い親がやめた13の習慣の書評


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メンタルが強い親がやめた13の習慣
著者:エイミー・モーリン
出版社: 講談社

思考・感情・行動をコントロールできる子育てをする!

わが子がつらい目に遭わないよう、親が一生、守ってやることはできない。子どもが失敗することも、拒絶されることもあるだろう。喪失感や心の痛みを味わうことも、苦労する時期もあるはずだ。でも、メンタルの力を鍛えるエクササイズを教えてやれば、子どもは自分で苦しみを乗り越え、強くなり、向上するチャンスをつかめる。人生でどんな状況に陥っても、どんな手札を配られても、「私には克服する強さがある」と思えるだろう。だからといって、あなたの子どもが感情を持て余したり、ストレスに苦しんだりしなくなるわけではない。メンタルの力があれば、苦しみに実りある形で対処できる、と私は言いたいのだ。それにメンタルの力は、問題と真正面から向き合い、自分の能力を信じ、失敗から学ぶ勇気をくれる。(エイミー・モーリン)

子どもの悪い習慣を改めたければ、まず、親が変わらなければなりません。親自身の「悪い習慣」を捨て、自分のメンタルを強くすることで、最高の子育てができるようになると心理療法士のエイミー・モーリンは、メンタルが強い親がやめた13の習慣の中で述べています。(エイミー・モーリンの関連記事はこちら

子どもは成長する中で、自分自身やほかの人たちとともに、世の中全般に対する核となる信念(コアビリーフ)を育みます。このコアビリーフは、子どもが出来事をどう解釈し、状況にどう反応するかに影響を及ぼすことがわかっています。このビリーフが自己暗示に変わる可能性があることがあるので、親は注意を払う必要があります。

たとえば、自分に「ダメ人間」のレッテルを貼った子は、よりよい人生を生きる努力をしなくなります。「他人に足を引っ張られて、どうせうまくいかない」と思い込んだ子どもは、持てる力をフルに発揮できずに、自ら成長を止めてしまいます。

このコアビリーフは、修正可能ですが、大人になってから改めるのはなかなか大変です。親はわが子が健全なコアビリーフを育むように支えるだけでなく、どうすれば思考と感情の手綱を握り、実りある行動を取れるのか、コツを教える必要があります。その際、メンタルの力を構成する3つの要素「思考・感情・行動」を鍛えることで、子どもたちは持てる力を発揮できるようになります。

1、思考 
ひどくネガティブな考えや厳しい自己批判、悲惨な未来予想は、子どもが能力をフルに発揮する邪魔をします。子どもが最高の状態で実力を発揮できるよう、現実的な見通しを持つコツを親は教えるようにしましょう。

2、感情 
不機嫌になる、カッとなる、怖いものを避ける、など感情のコントロールがきかないと、豊かで充実した人生を送れなくなります。子どもに感情の手綱を握るコツを教えれば、自制心やコミュニケーション能力が高まるなど、生涯にわたって多くの恩恵が得られます。

3、行動 
愚痴をこぼす、安全地帯にとどまる、といった実りのない行動は、子どもの教育、人間関係、将来のキャリアを妨げます。やる気が出ない日でも、チャレンジし、健全な選択をすれば、子どもの人生をよくできます。

子どもに被害者意識は遺伝する?

「私は被害者だ」と思い込んで育った親は、被害者意識を抱えたまま子育てをする。「被害者」という言葉を一度も使わなくても、子どもは「うまくいくもんか。やるだけムダさ」というメッセージを親から受け取っている。こんな思い込みを持つ親は、子どもを自分が被害者であるさらなる証拠だと考えがちだ。「うちの子が悪さするのは、おれへの罰さ」「世の中のみんなと同じように、わが子まで私をいじめるの」なんて言う人もいる。こんな考え方や子どもとの関わり方が毒をまき散らしている。

ダメな親は子どもに悪いメッセージを送っています。挫折したときに、「何でいつも、こんなことばかり起こるの?」と言って、「私は無力な被害者だ」と子どもに伝えています。どうせダメだという親の態度は伝染しますから、注意が必要です。子どもも「私には運命を切り開く力がない」と思い込み、自分の可能性を閉ざしてしまうのです。

親が子どものできないことばかりに目を向けていると、子どもに被害者意識を植えつけてしまいます。
子どもの苦しそうな様子が見えた途端に手を貸すと、「誰かに頼って、代わりにやってもらわなくちゃいけない」と子どもに教えることになりますから、過保護になることはやめるべきです。

子どもが自分を「不幸な被害者だ」と思い込んで大きくならないよう気をつけることだ。「成功できない」という思い込みは、どんな壁や障がいや才能のなさよりも本人の足を引っ張るだろう。

多くの場合、子どもの被害者意識は自己暗示に変わります。「私は被害者だ」と思っている子は、先を見越して安全を確保したり、状況を改善する対策を講じないから、被害を受けるリスクが高まります。

人生で完壁な手札を配られる人間はいないと考え、子どもを被害者にしないようにすべきです。クラスで一番背が低いとか、地域で一番貧乏だとか、誰の人生も完壁じゃないと考え、その状況に対する姿勢を変えさせるようにすべきです。

子どもが「私は被害者だ」と思い込むと、考え方や行動に影響が出てくる。絶望している子は「何とかしたいけれど、自分ではどうしようもない」と考えるから、何もせずにじっとしている。

1967年にペンシルベニア大学でマーティン・セリグマンは犬を使った実験を行いました。実験の第1部で、セリグマンは犬たちに電気ショックを与えました。片方のグループの犬たちは、レバーを押すことで電気ショックを止めることができましたが、もう一方のグループの犬たちには、ショックを止める手段を与えませんでした。

実験の第2部では、すべての犬が同じ箱に入れられました。箱は低い仕切りで2つに分かれています。そこで、また犬たちに電気ショックを与えますが、犬は仕切りを飛び越えれば、ショックから逃れられます。最初の実験でショックを止めることができた犬たちは、仕切りを飛び越えて難を逃れました。ところが、電気ショックをコントロールできなかった犬たちは、逃げ出そうとせずに、ただそこに寝そべって、何の行動も起こしませんでした。そこで研究者たちは、ほかの犬たちを使ってショックを逃れる方法を教えましたが、それでも犬たちは逃げ出しませんでした。

「人生をよくするために、できることは何もない」と学んだ子どもは、状況を改善することをあきらめる。その結果、苦しみがずっと続く。そして、いったんこんな思い込みが根づいてしまうと、なかなか手放せないものなのだ。

自分の姿勢が子どもの被害者意識をあおっていないかをよく考えてみましょう「人生に試練はつきものだけど、あなたにはそれに対処する力がある」と親は子どもに教えなければなりません。

子どもを前向きにする親の習慣

被害者意識は、おおむね学習行動だ。「コップに半分しか水がない」と考えるタイプの親は、無意識のうちに「あなたは不運な状況の被害者だ」とわが子に教えているかもしれない。(何の行動も取らずに)人生に愚痴をこぼすタイプの親なら、「うちの親は無力な被害者だ」と子どもは思い込んでしまう。あるいは、「私の人生の邪魔をする」と親が他人や特定のグループを責めていたら、「他人には、ぼくの目標達成を阻む力がある」と子どもは学ぶ。

親は自分を変えることで、子どもを救えます。以下の方法を親が実践することで、子どもに自信を与えることができます。
1、ポジティブになる。
「この渋滞はひどい」「いい家に住むお金がない」などとあなたがもらす不満が、子どもの世界観に影響を及ぼします。親はネガティブな言葉より、ポジティブな言葉を使うようにすべきです。

2、「イヤな思いをぶちまけたい」衝動を抑える。
1日の出来事を友達や家族とおしゃべりするのは「ストレス解消」になってよい、と思うかもしれないが、イヤな思いをぶちまけるのは聞き手にも話し手にも害のほうが大きいのです。感情を処理するというよい面もありますが、毎日のようにネガティブな思いを吐き出さないように気をつけるようにしましょう。

3、前向きな変化を生み出す。
世の中あるいは、少なくとも誰かの世界をよくすることができる、と子どもに示し、「誰もが世の中をよくする力を持っている」とわが子に教えるようにすべきです。

4、はっきり物を言う。
並んで順番を待っているときに誰かが前に割り込んだら、礼儀正しく、はっきりと指摘するようにします。親がしっかり自己主張するのを見たら、子どももおとなしく被害者でいる必要はない、と学ぶはずです。

「今日の学校で、何が一番気に入った?」「今日の出来事で一番よかったことから教えて」など、親がポジティブな出来事に気づけるよう導くことはできます。わが子がネガティブなことに目を奪われていたら「今日はどうだった?」と質問するのではなく、代わりに「今日、一番楽しかったことは?」と尋ねてみましょう。親は子どもの、いいこと探しを手伝い、子どもに「自分で何とかできること」にフォーカスさせるのです。

親から自信を与えられた子は、打たれ強い大人になるというルールを信じて、子どもに勇気を与える存在になるよう自分の行動を変えましょう。

メンタルが強い人たちは、自分を哀れんだりしない。わが子を自己憐欄に陥らない大人に育てたいなら、被害者意識をよしとしてはいけない。子どもを無力な被害者扱いするのではなく、人生の試練に真っ向から立ち向かえる自信を与えてあげてほしい。人生は、必ずしも楽じゃない。それをわが子に伝えるのは健全なことだ。でも、はっきり説明しておこう。たとえ人生がタフだとしても、あなたはそれ以上にタフなのだ、と。

子どもがつらい思いをしているからといって、甘やかしすぎてはいけません。親が離婚手続きの最中だからと、家事の手伝いを免除したりすると、「被害者だから特別扱いしてもらえる」という思いを強化します。「どんな状況に陥っても、どう反応するかは自分で選べる」と子どもに伝えるようにしましょう。

「困難に対処する力があると信じてる」と親が子どもに示すことで、子どもは逆境に立ち向かう自信が持てるようになります。「先生に嫌われてるから成績が悪いんだ」と子どもが言い張ったとしても、その話題に時間を使うのをやめ、成績を上げるために子どもが何をすべきかにフォーカスし、親は子どもの行動を変えるようにすべきです。

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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