カスタマイズ 【特注】をビジネスにする戦略の書評


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カスタマイズ 【特注】をビジネスにする戦略
著者:アンソニー・フリン、エミリー・フリン・ヴェンキャット
出版社:CCCメディアハウス

本書の要約

ミレニアル世代やZ世代は親世代とは異なり、カスタカイズされた商品を好みます。時代は大量生産から、低コストの「特注量産」時代へシフトしています。あらゆるものがカスタマイゼーション革命によってパーソナル化していく中、企業は顧客のために、適度な選択肢を用意すべきです。

カスタマイズが効果がある理由

行動心理学では、人は自分で苦労して作り上げたものをことさら愛でるということが、既成事実とされている。 経験者ならわかるはずだが、自分の家庭菜園で育てたトマトは、店で買ったものよりおいしい。実際、行動心理学では、人は自分で苦労して作り上げたものをことさら愛でるということが、既成事実とされている。だから、カスタマイズ企業が、顧客に楽しんでもらえる共同デザインの工程をうまく演出・提供すれば、その成果物に対する消費者の感銘や、払ってもいいと思う金額は、大量生産品に対するそれとは比べものにならない。(アンソニー・フリン、エミリー・フリン・ヴェンキャット)

ミレニアル世代やZ世代は商品にカスタマイズすることを好みます。今後、あらゆるものがカスタマイゼーション革命によってパーソナル化していくと著者達は指摘します。この数年で、アメリカでは何百というカスタマイズ企業が登場していますが、彼らはある悩みを抱えています。顧客には選択肢が多くなると商品を選べなくなるという傾向があるのです。

カスタマイズ事業で成功している会社はどこも、選択肢の問題に打ち勝つための「2つの共通法則」を見出していました。

選択肢のパラドックスを克服するための法則1 顧客に選択肢を与えすぎてはいけない。
カスタム事業を行う大手企業には通常「チョイス・アーキテクト」と呼ばれる社員がいて、顧客に与えられる選択肢が最適(適切な組み合わせかどうかなど)で、かつ選択のプロセスが楽しいものであるよう常に管理することを仕事としています。

選択肢のパラドックスを克服するための法則2 まず完成したデザイン見本を顧客に選ばせる。
ハーバード大学経営大学院出身のローラ・コフォイドは、2002年にカスタムメイドのデザイナーハンドバッグのブランド「ラウディ・ヴィドニ(Laudi Vidni)」を立ち上げました。このブランド名は「個別」を意味するindividualを逆につづったものです。バッグのすべての要素を顧客自身にデザインさせようというのが、当初のコンセプトでしたが、そのビジネスモデルでは成長が見込めないことに気づいたのです。

まず、出来上がり見本をデザインし、それをスタートポイントとして顧客が自分のバッグをデザインできるようにしました。この「インスピレーション(参考モデル)」を使ったシステムが、ビジネスを成功へと押し上げたのです。完成した見本を用い、顧客にゴールをイメージしてもらいながら、パーツを選択してもらうようにすべきです。

適度な選択肢を用意しよう!

人間は人それぞれ違うのだということに気づいた瞬間、自分がカスタマイゼーションを求めていることに気づくはずです。それ以外の考え方はできません。(ダン・アリエリー)

行動経済学者のダン・アリエリーも、企業がカスタマイゼーションをうまくやれば、顧客との強力な感情的つながりがつくれると述べています。

ダンは以下のような調査をすることで、カスタマイズの優位性を説明しています。人に折り紙のカエルやレゴのヘリコプターなどを作らせ、自分の作品が他人の作品と比べ、どれだけ出来がよいと思うかを評価させました。その結果、自分の折り紙と他人の折り紙を比べた場合、自分の作品のほうが格段に見た目がよいと感じていました。それだけでなく、自分の作品のほうには、ずっと高い価値があると考えていたのです。

ある実験では、被験者を2つのループに分け、最初のグループには、各人がすでに組み立ててあるイケアの収納ボックスを渡しました。2つ目のグループには部品と説明書が渡され、同じボックスを組み立てるよう指示されました。こちらの箱が出来上がった後、この箱を持ち帰るのにいくら払う気があるかをすべての被験者に聞くと、自分の労力を使って箱を作り上げたグループは平均78セント払う気があるとし、作らなかったほうは、48セントしか払う意思がありませんでした。

折り紙の鳥やカエルという、よりクリエイティブな作業を被験者に与えると、自作のグループが作品につけた値段と、もう一方の(自分で折らなかった)グループがつけた値段の差が大きく広がりました。自作グループが自分の折り紙作品を持ち帰るために払ってもいいという値段は23セントで、対照群が同じ折り紙につけた値段はわずか5セントでした。自分の手で作らなかった人たちは、この素人の工作をほとんど価値のない紙くずと見なしましたが、自作した人たちは、自分の折り紙に価値を感じたのです。

ウィーン経済経営大学で起業とイノベーションを教えるニコラウス・フラケは、オンラインでスキー板を自分でデザインした場合、どのような価値評価がなされるのかを調べました。実験では、被験者が2つのグループに分けられ、1つ目のグループは、オンラインで、与えられた図柄から好きなものを選んで無地のスキー板をデザインする機会を与えられ、もう一つのグループは、プロによってすでにデザインされた何種類かスキー板の中から好きなものを選ぶ機会が与えられました。両者に価値評価をさせると、自分の好きなデザインを施したグループは、既成のデザインから選んだグループの倍近い値段を払う意思を示したのです。

著者達は、自分がカスタマイズに関わった商品には、「自己満足」効果が生まれると指摘します。

この裏にある心理現象は、「自己満足」効果と呼ばれることもあるが、簡単に言うと、親ばかのような現象だ。よく新米の親が、自分の赤ん坊の一挙手一投足について際限なく話をするが、たとえ他人にはつまらない話でも、本人たちは、限りなく面白く、途方もなくすばらしいものだと心から信じているのだ。子育てに奮闘していると、自分の子どもが地球上で一番かわいく、魅力的で、愛くるしい人間に見え、他人もそう感じるに違いないと思い込んでしまうのである。

カスタマイズは子育てのようなものだと考えましょう。顧客に究極の価値を感じてもらうためには、手間をかけてもらう必要があります。選択肢が多く面倒な注文作業をすることと引き換えに、自分が本当に納得できるものを作れるということを顧客が理解できるようにするのです。完成品をイメージさせ、顧客を疲れさせない程度に選択肢を与え、夢中にさせることができれば、顧客はより多くのお金を支払ってくれるのです。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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