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ダブルハーベスト 勝ち続ける仕組みをつくるAI時代の戦略デザイン
著者:堀田創, 尾原和啓
出版社:ダイヤモンド社
本書の要約
AIで何を実現したいのか?を徹底的に議論し、どのAIを使い、どんなデータを集めるかを決めましょう。AIのデータが蓄積することで、新たなマーケットの可能性が見えてきます。AIを複合的に活用することで、UVP(Unique Value Proposition)を強化でき、企業はより大きな果実を手に入れられます。
AI時代の戦略デザイン「ダブルハーベスト」とは?
デジタルがリアルを包み込むアフターデジタルの世界においては、人々のリアルな体験=UX(User Experience:ユーザー体験)さえも、すべてデジタルによって再構築できてしまいます。 そして、それが実現すれば、UXを通じて人々の行動データが集まってくるようになります。 そのときこそAIの出番です。 行動データをAIによって解析すれば、人々の行動をなめらかにサポートできるようになるからです。 日本の企業はこのような移行を見据えないわけにいきません。(尾原和啓)
AIを使うか?使わないか?の議論は終わりを告げ、複合的にAIを活用する企業が勝利を得ています。AIのループを二重、三重に回すことで、他社に勝つだけではなく、勝ち続ける仕組みを実現できるとAIのスペシャリストである堀田創と尾原和啓は指摘します。今日は2人が提唱する「ダブルハーベスト」と言うコンセプトを紹介します。
「1回収穫して終わり」ではなく、AIを組み込んだ戦略を正しくデザインし、自走する仕組み(ループ構造)をつくる「ダブルハーベスト」によって、DXで遅れをとる日本企業もGAFAとも戦えるようになると著者たちは言います。ダブルハーベストによって、二重、三重に実りを収穫することで、他社に優位性を発揮できるだけでなく、顧客からの支持も受けられます。
AIがコモディティ化すれば、競合も同じようにAIを採用します。必要なのは、競争力の源泉を1つのループをつくるだけでなく、二重、三重のループをつくって、複数の競争優位を築くことです。「ダブルハーベスト」の狙いは、AIの多重ループをつくり、圧倒的な優位性をはかることなのです。企業はAIをツールとしてではなく、戦略ベースで捉える必要があります。
ウィズコロナのタイミングで、以下の4大インフラが一斉に普及期に突入し、これらのテクノロジーを活用した企業が勝ち組になってきます。
①高速大容量で低遅延、多数のデバイスを同時接続できる「5G」の整備。
②あらゆるものがインターネットに接続される「IoT」が実現。
③遅延のない環境でバーチャルなやりとりを加速する「VR」が開花。
④あらゆる活動がオンライン化されたことで発生する膨大なデータを取り込んで「AI」がますます賢くなる。
コロナショックで既存ビジネスが破壊されたタイミングで、5G+IoT+VR+AIという4つの革命が同時進行していけば、これから数年~10年以内に、新しいメガプレイヤーが出てくる可能性が高まります。この10年で「次のGAFAM」が登場するはずです。
ダブルハーベストでUVP(Unique Value Proposition)を強化しよう!
価値を提供する→顧客が増える→売上が上がる→データが増える→価値が上がるといったハーベストループをAIで回すことで、新たなビジネス領域が見つかります。ループを複数回すこと=ダブルハーベストを実践することで、圧倒的な存在になれます。
モービルアイ(Mobileye)は、何重ものループを連ねることで、強靭なビジネス構造をつくり上げています。1つのデータの精度が上がれば、別のデータが取れるようになります。そのデータをもとにさらにAIの精度を上げていくことで、他社が簡単には追いつけない競争優位性を獲得できるようになります。
自動運転車に搭載した各種センサーから入ってくるリアルタイムデータが事故を予測するときの前提となります。公道を走れば、道路標識や路面状況、車の位置関係などの画像データが、刻々と入ってきます。 車載カメラによるモービルアイは道路画像という独自データを収穫し続けることで、自前でAIの精度を上げるだけでなく、リアルタイムマップと連動させて、ライバルに対する強力な防護壁を築けるようになります。
運転データを取得することで、リスクコントロールも可能になります。AIのループを回すことで、新たな保険商品の開発や、投資・融資の判断基準もつくれます。結果、モービルアイは、保険商品や投資商品というフィンテックがらみのループも回せるようになります。
データを与える限りずっと学習し続けるAIは、一見すると、ガソリン(燃料)を与える限り回り続けるエンジン(内燃機関)と同じに見えるかもしれない。だが、両者は根本的に違う。エンジンは同じことを繰り返すだけなのに対して、AIは学習を重ねれば精度が上がっていくからだ。
AIを複合的に活用することで、UVP(Unique Value Proposition)を強化でき、企業はより大きな果実を手に入れられます。
最終価値を明確にし、そこから最初のAIのループを設計し、データを蓄積ながら、次のループを回すようにします。AIで何を実現したいのか?を徹底的に議論し、どのAIを使い、どんなデータを集めるかを決めましょう。AIのデータが蓄積することで、新たなマーケットの可能性が見えてきます。
ハーベストループがいったん回り出せば、AIがどんどん賢くなり、そのこと自体が駆動力となって、ずっと回り続けるから強力なのだ。 成長するAIを駆動力とするハーベストループは、あえて人間が止めない限り、最適化への道をひた走る。そして、最初のループが原動力となって、もうーつ別のループが回り出す。これが「ダブルハーベストループ」の正体である。
AIの成長を駆動力とするダブルハーベストループは、データを与える限り、回り続ける半永久機関として機能します。AIを組み込んだ戦略を正しくデザインし、自走する仕組み(ループ構造)をつくることで、企業はいくつもの果実を手に入れられます。AIを二重、三重に活用し、複合的なビジネスを生み出しましょう!
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