起業家の思考法――「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法(平尾丈)の書評

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起業家の思考法――「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法
平尾丈
ダイヤモンド社

本書の要約

起業家の思考法は、①発見力 ②別解力 ③実現力 ④失敗力 ⑤成長力の5つの力で成り立っています。特に別解力が重要で、この力を鍛えることでイノベーションを起こせるようになります。「自分らしいやり方」「優れたやり方」「別のやり方」を融合することで、他者には真似できない圧倒的な「別解」を見出せます。

起業家に共通する5つの力

現代は変化が激しく不確実性が高い「正解がない時代」と言われます。過去に結果が出たやり方や、他人の成功パターンはすぐに陳腐化し、通用しなくなる。上司や先輩が推奨するアイデアも、環境が変化し、彼らが経験してきた状況とは異なっているので、成功の保証は何もありません。(平尾丈)

不確実性が高まり、変化が激しい時代には、今までの常識が通用しなくなります。他社のプロダクトを模倣をしていればよかった時代とは異なり、「正解がない」と言われる現代では、自分たちで課題を発見し、自ら考え、それを解決することが求められています。

他人に左右されず、自分の頭で考えるためには、圧倒的な成果を出している起業家の思考力や行動力を取り入れていくべきだと平尾丈氏は言います。じげんを創業し、一部上場企業に成長させた平尾氏は起業家の思考法は、次の「5つの力」で成り立っていると指摘します。
①発見力
目標を達成するために、解くべき問題を「発見」する力

②別解力
「自分らしく」「優れた」「別の」やり方を組み合わせ、他の誰も思いつかない「別解」を生む力

③実現力
別解を絵に描いた餅に終わらせず、「実現」する力

④失敗力
「失敗」を最小限に抑え、糧にする力

⑤成長力
ビジネスパーソンとして自らを鍛え「成長」し続ける力

この5つの中で最も重要な力が②の別解力です。課題に対し、「他の人が思いつく方法(=正解」を仮定したうえで、それを上回る答えを起業家は探しています。

不確実性が高い時代のビジネスパーソンは、サラリーマン的に思考する会社の上司をベンチマークにするのをやめ、自分の頭で考え、意思決定し、リスクを負って仕事を行っている「起業家の思考法」を身につけるべきです。

別解力からイノベーションが生まれる!

イノベーションは多様性から生まれます。みんなが同じことをやっても絶対に進化はしません。それぞれが個々の観点に基づいて問題を発見し、答えを考えたほうが突然変異が生まれる確率ははるかに高くなります。つまり、イノベーションは別解から生まれるわけです。

個々のメンバーが、別解力を活用し、常識を打ち破るアイデアを生み出すことで、世の中は変わり始めます。
不確実性の高い時代、新たな課題を発見し、それを解決するために、さまざまなアプローチを考えることで、別解が見つかります。

「自分らしいやり方」「優れたやり方」「別のやり方」という3つのアプローチで思考をスタートし、その全てを融合させるようにします。
■自分らしいやり方→自分の経験、知見、強み、夢中になれること、価値観などを反映した自分ならではのやり方。

■優れたやり方→大きい、多い、早い、安い、高いなど、世の中に受け入れられるやり方。

■別のやり方→優れたやり方の正反対をやってみる、自分の強みや価値観を無視してみるなど、固定観念を脱するやり方。

これら3つの力のすべてを満たす部分が別解に相当します。3つの要素をすべて組み合わせたとき、はじめて別解が生まれ、他の人には真似のできない圧倒的な成果が生まれるのです。

優れたやり方(ベストプラクティス)×自分らしさを実践すれば、成功が手に入ります。しかし、そこに安住すると他者に模倣され、すぐコモディティ化してしまいます。多様な人たちのアイデアを掛け合わせる“別解”を活用することで、成長を続けられます。

当然、チャレンジすれば、失敗がつきものですが、何度も同じ失敗をするのは意味がありません。「失敗」を最小限に抑え、糧にする力を鍛えることで、より早く成功に近づけます。

失敗からの学びが大きいと言っても、失敗してもいいとは思いません。私は、失敗するより早く成功を積んだほうが成長すると考えています。ただ、失敗したときに落ち込むのではなく、失敗はあるものだというマインドで平常心を保つ。失敗したら失敗リストに入れて回避する。これを機械的にやることが大事だと思っています。

失敗する経験は未来の自分の自分のための糧になりますが、回避できる失敗は回避した方がよいに決まっています。失敗を成功に変え、行動を続け、周りの人の信頼を取り戻すことで、次の成長につなげます。

優れたやり方と自分らしいやり方と別のやり方を融合させれば、これまでにない成果が得られるます。組織に別解力を取り入れることで、正しい課題を設定でき、そこからイノベーションを起こせるようになります。



この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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