組織のパフォーマンスを高めるために必要なこと。

three men sitting on chair beside tables

NINE LIES ABOUT WORK 仕事に関する9つの嘘
マーカス・バッキンガム, アシュリー・グッドール
サンマーク出版

本書の要約

人はフィードバックを求めているのではなく、自分が最も能力を発揮できることへの注目を求めています。メンバー1人ひとりの強みを見つけ、それを引き出すフィードバックを行うことで、従業員のエンゲージメントを高められます。彼らのやる気を引き出し、それらを組み合わせることで、組織の生産性が一気にアップするのです。

お互いの強みを組み合わせるとパフォーマンスがアップする理由

喜びのない仕事には誇りを感じられない。最高の仕事は、喜びに満ちた仕事なんだ。(スティービー・ワンダー)

好きな人と好きな仕事をするようになってから、私の幸福度はアップし、仕事へのモチベーションが高まりました。以前の私は苦手なことや嫌いな仕事に時間を使っていましたが、これが自分のパフォーマンスを下げていると気づいてからは、自分の得意なことに集中し、仕事をチームで行うようになりました。

WHO NOT HOW 「どうやるか」ではなく「誰とやるか」書評でも書きましたが、他者の力と自分の得意分野を組み合わせた方が、はるかにパフォーマンスが高まります。

「自分の仕事に愛を感じるとき、人はすばらしい仕事をする」と著者たちも指摘していますが、自分の強みを伸ばすことで、私たちは他者から感謝される存在になれ、生産性をアップできるのです。他者への貢献という喜びを感じることで、私たちのやる気が高まり、組織に良い影響を及ぼします。

高業績チームを特徴づけるチームにはある要因があることがわかりました。メンバー1人ひとりの「仕事で『強みを発揮する機会』が毎日ある」という感覚を持っているチームのパフォーマンスが高いことが明らかになったのです。日々の仕事で喜びを感じているメンバーが多ければ多いほど、チームの生産性が高くなるのですから、リーダーはメンバーの強みを引き出すようにすべきです。

ここで重要なことは「毎日」という時間軸です。毎日、強みを発揮できなければ、メンバーの数とチームの業績との相関関係は消えてしまいます。自分の強みが仕事に役立っているという「日常的な感覚」こそが、高業績の必須条件だったのです。

最高のチームでは、チームリーダーがメンバー1人ひとりの強みを把握し、かつ仕事で強みを発揮することを毎日求められているとメンバーに感じさせるように、各メンバーの職務と責任を調整しているように思われる。チームリーダーにこれができているとき、ほかのすべての項目認められているという感覚、使命感、期待の明確さなどの高業績への寄与度が高まる。(マーカス・バッキンガム, アシュリー・グッドール)

しかし、実際の会社では「最高の人材はオールラウンダーである」というウソの上に成り立っています。 卓越した人材は全員が同じ能力を兼ね備えているという古い考えを脱し、それぞれの人の少数の優れた能力を組み合わせた方が良いにも関わらず、多くのリーダーはこの事実に気づいていません。

リーダーは、チームとメンバーに求める成果を明確に伝え、各メンバーの強みを上手に組み合わせ、日々感謝の気持ちを伝えるようにすることで、パフォーマンスを高められます。

多様性は優れたチームをつくる妨げになるどころか、優れたチームの必須条件である。もしも誰もがみな同じだったら、誰にもできないことや、もちろんチームにもできないことが出てくる。一人ひとりが単独でもっている以上の能力が要求される成果を達成するには、人と違う強み変わった点や尖った点をもつ人たちと組むことが欠かせない。

お互いの強みを最も有効に活かすために、他人の強みを理解し、認め、目的についてお互いの理解を深めるようにしましょう。リーダーは心理的安全性を確保し、お互いが信頼し合える環境をつくることを意識すべきです。多様な能力を持ったメンバーを集め、彼らの強みを引き出し、それを組み合わせるようにしましょう。

部下の強みを見つけ、それを伸ばすフィードバックを行おう!

ギャラップ・オーガニゼーションは職場でのエンゲージメントに関する調査を行っています。エンゲージメントを左右するのは、フィードバックの有無とその質であることがわかりました。

上司が部下にまったく注目を払わず、ポジティブかネガティブかを問わず、フィードバックを一切与えなければ、チームのエンゲージメントは急低下し、エンゲージメントの高いチームメンバー1人に対し、エンゲージメントの低いチームメンバーが20人という比率になります。

チームリーダーのアプローチとして、ネガティブなフィードバックを与えることは、部下を無視するよりも40倍も効果が高いことがわかりました。修正すべき点に注目しがちなリーダーの下で働く労働者の場合、高エンゲージメント対低エンゲージメントの比率は2対1でした。

しかし、この比率はもっと高められます。リーダーがポイティブなフィードバックを行うことで、エンゲージメントの数字は一気に高まったのです。主にポジティブな注目を与えられた従業員ー自分が一番うまくできたことや、自分のなかで最高にうまくいっている点に注目された従業員では、高エンゲージメント対低エンゲージメントの比率が60対1にも上ったのです。

チームの高業績を生み出すうえで、ポジティブな注目はネガティブな注目の30倍も効果があるのです。ときには部下がパフォーマンスの障害になっている欠点を改善する手助けをする必要があるとしても、ポジティブなフィードバックがなければ、効果が高まりません。

人はフィードバックを求めているのではなく、自分が最も能力を発揮できることへの注目を求めているのです。彼らの強みを見つけ、それを引き出すフィードバックを行うことで、従業員のエンゲージメントを高め、結果、組織の生産性もアップできるのです。

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この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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