世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー(ジョン・マッキー)の書評

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世界でいちばん大切にしたい会社 コンシャス・カンパニー
ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア
翔泳社

本書の要約

経営者が社員、コミュニティー、株主、顧客、サプライヤー、自社の6つのステークホールダーすべてが幸せになることを目指すことで、企業はコンシャス・カンパニーに生まれ変わります。企業が存在目的とコアバリューを明らかにし、価値をステークホールダーに提供することで、ステークホールダーが企業を熱狂的に応援してくれるようになります。

コンシャス・カンパニーとは何か?

高い利益を上げることは、ホールフーズの最も重要な使命を実現するための手段なのだ。(ジョン・マッキー、ラジェンドラ・シソーディア)

あのアマゾンに企業価値を評価されM&Aされた「ホールフーズ・マーケット」の経営者であるジョン・マッキーが、30年以上にわたって実践し大成功を収めている経営スタイルがあります。彼らが目指す「意識の高い資本主義」(コンシャス・キャピタリズム)を採用することで、経営者は自社の企業力をアップできます。

株主価値を最大化することのみを追求するのではなく、顧客や従業員、投資家、コミュニティ、サプライヤー、環境に利益を与える組織を作り上げることが、コンシャス・キャピタリズムです。

優良で栄養価の高い食品を通じて地球に住む人々の健康と福利を改善したいとマッキーは述べています。このミッションを実現するためには、顧客から支持され、高収益を上げ続ける必要があります。利益なしでは企業は存続不可能で、顧客に価値を提供できないのです。コンシャス・カンパニー(意識の高い高収益企業)になることで、さまざまなステークホルダーにより貢献できるようになります。

ホールフーズに社名を変えて間もないころ、運悪く大きな洪水が起こり、店舗は大きな被害を受けます。保険にも加入していなかった彼らは、破産寸前な状態に追い込まれます。しかし、日頃の彼らの地域への貢献がこの危機を救います。顧客、社員、サプライヤー、銀行、 投資家といった主なステークホルダー全員がホールフーズをつぶさず、店を再開できるように支援を申し出てくれたのです。そのため、洪水後わずか28日後に店を再開できたのです。

どのステークホルダーも私たちと本気で付き合い、心配し、関わろうとしてくれていることが実感できました。社員同士の距離も縮まり、お客様との関係が大いに深まったと言います。この時ホールフーズ・マーケットが実際に人々の生活に大きな貢献し、必要とされていることがわかりました。

コンシャス・カンパニーには以下の3つの要素が欠かせません。
①主要ステークホルダー全員と同じ立場に立ち、全員の利益のために奉仕するという高い志に駆り立てられる。
②自社の目的、関わる人々、そして地球に 奉仕するために存在する意識の高いリーダー(コンシャス・リーダー)を頂く。
③そこで働くことが大きな喜びや達成感の源となるような活発で思いやりのある文化がある。

コンシャス・カンパニーが増えれば、だれにとっても素晴らしい世界が生み出されます。意識の高いビジネスリーダー(コンシャス・リーダー)が力を合わせれば、資本主義の問題を克服でき、環境にもやさしい新たな繁栄を手に入れられます。

コンシャス・カンパニーの社員は顧客に奉仕すること、顧客の生活を向上させることに喜びを見出します。自分の顧客や社員に対するのと同様の愛情と配慮をもって地域のコミュニティに接する企業は、地元の振興に真剣に取り組み、愛情を注ぐ企業市民として、市民生活の向上に力を尽くします。優れた製品やサービスを開発、提供することで、力ーボンニュートラルにも良い影響を及ぼします。

自社の存在目的の達成にこだわり、純粋な思いやりに満ちあふれ、人々に対する影響力がありながら押しつけがましいところがなく、平等主義が徹底し、高度なサービスや製品の提供に本格的に取り組み、信頼でき、透明性が高く、称賛され周りの手本となり、愛され、尊敬される。

主なコンシャス・カンパニー
ザ・コンテナ・ストア、パタゴニア、イートン、夕夕・グループ、グーグル、パネラ・ブレッド、サウスウエスト航空、ブライト・ホライズンズ、スターバックス、UPS、ホールフーズ・マーケットなど。

今後、こうした企業が増えることで、世界を変革し、人類を情緒的、精神的な幸福、身体的な活力、そして物質的な豊かさの新たな高みへと導いてくれると著者は指摘します。

コンシャス・キャピタリズムの4つの柱

コンシャス・キャピタリズムとは、あらゆるステークホルダーにとっての幸福と、金銭、知性、物質、環境、社会、文化、情緒、道徳、あるいは精神的な意味でのあらゆる種類の価値を同時に創り出すような、進化を続けるビジネスパラダイムのことだ。

コンシャス・キャピタリズムには4つの柱があります。
①存在目的
②ステークホルダーの統合
③コンシャス・リーダーシップ
④コンシャス・カルチャー/マネジメント
この4つとの柱は互いに結びつき、相互に強化し合っています。

経営者は自社がなぜ存在しているのか?なぜ存在する必要があるのか?を繰り返し考えるべきです。どのようなコアバリューが企業を活性化させ、すべてのステークホルダーを一体化するのか? を考え、それを実践することで、企業が顧客やパートナーから支持されるようになります。

存在目的と共有されたコアバリューがあれば企業は一つになり、モチベーション、パフォーマンス、道徳的なコミットメントも高い水準へと押し上げられのです。存在目的とコアバリューはコンシャス・カンパニーの中核を成すもので、その他の柱はこの基本的な考え方と相互につながっています。

社員、コミュニティー、株主、顧客、サプライヤー、自社の6つの全てが、Win-Win-Win-Win-Win-Winになること(Winの6乗)で企業は圧倒的な強さを発揮できるようになります。ステークホルダーとWin-Winの関係を作ることで、世の中から欠かせぬ企業になれるのです。

コンシャス・カンパニーはコンシャス・リーダーシップ、つまり意識の高いリーダーなしでは成立しません。自社の存在目的を達成したい、そしてあらゆるステークホルダーのために価値を創造したいという気持ちをリーダーが持つことで、企業が良い方向に変わり始めます。

コンシャス・リーダーには、高い分析的知能、情緒的知能、精神的知能に加え、高度に発達したシステム知能が備わっています。互いに依存し合うすべてのステークホルダー同士の関係を理解し、それをまとめる能力を高めることで、その企業は世の中にとって不可欠な存在になります。

コンシャス・カンパニーの文化は企業にとって偉大な力と安定の源であり、その目的とコアバリューは時間が経過し、リーダーが変わっても生き続ける。意識の高い企業文化(コンシャス・カルチャー)は、存在目的、ステークホルダーの相互依存関係、そしてコンシャス・リーダーシップに対する企業の本格的な取り組みから自然と醸成されてくる。

コンシャス・カンパニーは、自社のカルチャーを大切に守りつつ、機能の分散化、権限委譲、協力をベースとする手法で経営されます。結果、イノベーションを継続してステークホルダー全員のためにさまざまな種類の価値を創り出す組織力が拡大します。

企業はコンシャス・キャピタリズムを受け入れることで、社会全体の利益と密接に調和し、人類が経験してきた進化的変化に協調できます。

また、コンシャス・カンパニーは株価でも他者を圧倒し、長期にわたって驚くほどの高パフォーマンスも達成しています。代表的なコンシャス・カンパニー数社の株価は、過去15年間1600%以上のトータルリターンを上げています。同じ期間の株式市場全体のパフォーマンスは150%を上回る程度でしかありません。

本書は10年前に書かれた本ですが、内容は全く古くなっておらず、今のパーパス経営の隆盛を予見するものになっています。経営者は収益性と社会的良心のバランスを保たなければ、ステークホルダーから支持されず、存続が厳しくなっています。本書に書かれている内容を実践することで、自社をコンシャス・カンパニーに変えられます。


 

この記事を書いた人

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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