残酷すぎる人間法則(エリック・バーカー)の書評

person reaching black heart cutout paper

残酷すぎる人間法則
エリック・バーカー
飛鳥新社

本書の要約

人間関係を改善することは、幸福度を向上させるために非常に重要です。過度に第一印象に頼ることを避け、自分の確証バイアスに気づくことが相手との良好な関係を築くために不可欠です。相手の長所を探し出し、それを自分の強みと結びつけることで、相手との関係性を改善し、より良いコミュニケーションを図ることができます。

人間関係がうまくいかない理由

あなたにとって最も幸せな瞬間を思い浮かべれば、それは必ず人と関わっている。最も辛い瞬間も、やはり人に関わることだ。人生を築くのも、壊すのも、すべて人との関係なのだ。(エリック・バーカー)

人との関係は、私たちの幸福度に大きな影響を与えます。多くの場合、私たちの人生で起こる良いことや悪いことは、他人との関係性によって決定されることがあります。それにもかかわらず、多くの人間関係のアドバイスが存在するにもかかわらず、私たちは依然として正しい答えを見つけることが困難な場合があります。

良好な人間関係を築くためには、お互いのコミュニケーションを改善し、相手の気持ちや立場に理解を示すことが重要です。

著者のエリック・バーカーは、人間関係にはさまざまな嘘があることを本書で明らかにしています。そのため、社会にあふれる多くの人間関係のアドバイスや常識に対して、私たちは慎重になる必要があると言えます。

このブログでは、人間関係において「傾聴」が効果的であることを何度も強調してきましたが、夫婦関係ではこの方法が適用できない場合があることが明らかになっています。

特に長期間一緒に過ごしたカップルが口論をした場合、まずはパートナーの怒りの原因を特定し、素早く問題に取り組むことが重要です。そのため、問題をエスカレートさせることなく、喧嘩の原因をすぐに取り除くようにすべきです。

私たちは、自分たちが人の心を読む能力に自信を持っている一方、現実は異なっています。パートナーの自尊心を評価するように依頼したところ、44%しか正しく理解できませんでした。一方、私たちは自信を持って自分たちの判断が正しいと信じており、82%の確率で正しいと考えていました。さらに、パートナーと過ごす時間が長ければ長いほど、私たちの自信は高まる傾向があります。

しかし、正確さに関しては改善されることはなく、自信だけが高まっていく傾向にあることが分かりました。私達は自己中心バイアス(自分の頭の中のストーリー)によって、相手を理解できていると思いこんでしまうのです。

相手の心が読めたと思う場合でも、自分の能力のおかげではないと考えたほうがよさそうです。もし人の心を読むことができたとしたら、それは読み手自身の高い能力のためではなく、相手の人の表情の豊かさに大きく依存すると言えます。人間関係においては、自分の力を過信しないようにしましょう。

第一印象の精度は最大で70%でしかない!

いったん誰かの人物像についてストーリーができてしまうと、それをアップデートするのは至難の業だ。このことが、第一印象の「諸刃の剣」に関する基本的な洞察をもたらす。これを第一印象のパラドックスTMと呼ぶことにする。 第一印象はおおむね正確である。しかし、一度定まった印象を改めるのはきわめて難しい。

第一印象によって、人を判断することがありますが、そのうち3割は間違っている可能性が高いと著者は指摘します。第一印象に過度に頼りすぎると、自分にとって価値のある人との人間関係を築けないというマイナス効果をもたらします。

初めの印象は、記憶に深く刻まれるため、人間関係に大きな影響を与えることがあります。一度形成された印象は、簡単に変えられないため、慎重に扱う必要があります。

たとえ確固たる証拠が提示され、相手に対する明確な印象が変化したとしても、潜在的な印象は変わらないことがあります。つまり、合理的で証拠に基づいた見解が変わるかもしれませんが、心の奥底でのその人への感情は変わらない場合があると言えます。

第一印象は非常に強く印象に残り、簡単に変えることができません。しかし、コミュニケーションスタイルを変え、確証バイアスを避けることで、第一印象に過度に依存しなくなることができます。そのために以下の3つのステップでコミュニケーションをするとよいでしょう。

1、説明責任を果たす
心理学者アリー・クルーグランスキーの研究によれば、自分自身に高い要求水準を課すことで説明責任を果たし、証拠を徹底的に再検討することで、相手への判断を柔軟に変えられます。

2、判断する前に距離を取る 
心理的距離を取ることによって、より合理的で客観的な判断ができるようになります。

3、反対の立場から考えてみる
自分の個人的なバイアスをもっとよく理解することで、判断を改善できます。

第一印象に頼りすぎないために、「人には2度めのチャンスをあたえる」ことを意識しましょう。第一印象の精度は最大で70%だと考えれば、3割に人とは人間関係を築けずにいるのです。これはとてももったいないことです。

コーネル大学のトーマス・ギロビッチは、人の気分がその日の印象に大きな影響を与えると主張しています。たとえば、初対面の相手が本来素晴らしい人物であっても、たまたま最悪の一日を過ごしている場合、その人に対する第一印象は悪くなってしまいます。その後、その印象を払拭するための機会を与えなければ、自分自身が損を被ることになります。

第一印象に頼ることを避け、自分の確証バイアスに気づくことは、相手との良好な関係を築くために非常に重要です。相手の長所を探し出し、それを自分の強みと結びつけることで、お互いの関係性をより良いものにすることができます。このように相手との共通点を見出し、それをうまく活用することで、相手との信頼関係を構築し、より良いコミュニケーションを図ることができます。

この本で学ぶ人間関係のアドバイスにより、自分の選択肢が広がります。新しいアイデアを取り入れることで、より良い人生を送ることができます。今回は、第一印象を改善する方法を紹介しましたが、今後も本書のエッセンス数回に分けてお届けしていきたいと思います。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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