得点力を鍛える―「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術(牧田幸裕)の書評

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得点力を鍛える―「やらないこと」を決めて努力を最適化する技術
牧田幸裕
東洋経済新報社

本書の要約

自分勝手な解釈を避け、相手が求めているものを正確に把握することと、自分自身の価値を信じ、自信と信念と覚悟を持って提供することは、自分自身の競争イシューを明らかにできます。自己分析を行うで、自分がやるべきことが明確になり、問題解決に集中できるようになります。結果、ビジネスがうまくいくようになるのです。

短期間で結果を出すために必要なスキルとは?

目標を達成するのに何をしなければならないのか、何は必要ないのか、何をしないのかを明らかにする。これらを考え、意思決定をする時間を最初にきちんととる。頑張るのは、何をするのか、何をしないのかを決めた後だ。(牧田幸裕)

世の中には短時間で結果を出す人がいますが、彼らにはやらないことを明確にするという共通点があります。結果を出すためにもっとも重要なタスクは何かを明らかにし、そこに戦力を集中することで彼らは結果を出しているのです。

「やらなければならないこと」を適切に仕分ける力を持つことで、望む結果を得るために必要な努力を大幅に軽減できます。やらないことを決めることが、「得点力」(成果を最大化する)をアップさせるための基本原則になります。

問題解決のためには、プロジェクトを開始する際に、理想的な状態と現状との間のギャップを洞察します。冷静かつ客観的な現状分析を行い、自社が置かれている状況を正確に把握することが重要です。その際、強みだけでなく、弱みも明確にしましょう。

逆に「現状」を過信したり、甘く見ることで、「目標」を達成するために必要なタスクが網羅されず=全体像が把握できず、「目標」の高さ=レベルを正しく認識できず、「目標」を達成できないことは多い。MECEに問題を構造化できないからだ。「目標」をリアルに設定し、「現状」を冷徹に把握できたとしても、「現状」から「目標」に至るために必要なタスクを抜け漏れなく設定できなければ、「目標」を達成することはできない。

プロジェクトプランニングとは「目標」=ゴールを達成するために必要なタスクを設定する計画になります。タスクは「目標」をMECEに分解し、設定しなければならないのです。

MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)は戦略コンサルには欠かせぬスキルで、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味します。

MECEは、「相互に排他的な項目」による「完全な全体集合」を意味します。つまり、タスクを整理する際に、抜け漏れがなく、重複がないように、目標を達成するための中項目、さらに小項目に分解することが必要です。これにより、目標をMECEに構造化することができます。

得点力を高めるために3C分析が重要な理由

「目標」をMECEに分解し、タスクを設定したら、リアルに難易度、ボリュームを判断し、プロジェクト計画を策定します。

全てのタスクは同じ重要度を持つわけではありません。重要なタスクとは、「目標」達成に強い影響を与える必要不可欠なタスクであり、最も優先すべきタスクだと言えます。一方で、重要性が低いタスクも存在し、「目標」達成にほとんど影響を与えないため、「どうでもいいタスク」になります。タスクをしっかりと仕分けし、重要なタスクに時間と戦力を集中すべきです。

プロジェクトを進めるうちに想定外のことが起こることがありますが、その際、3Cのフレームワークを活用することでリスクを軽減できます。

■3C
・市場や顧客を意味する「Customer」
・競合を意味する「Competitor」
・自社を意味する「Company」

「3C」の「分析」には、以下の2種類の分析があります。
1、「市場」の変化、「競合企業」の変化を明らかにすること
2、それらの変化に対し、うまく対処している事例を参照し、「自社」の問題点を明らかにすること

また、PEST分析を同時に行うことで、未来の変化に対応できるようになります。
・P:Politics(政治)
・E:Economy(経済)
・S:Society(社会)
・T:Technology(技術)

プロジェクトマネージャーにとって重要なのは、リスクを予測し、適切な準備をすることです。将来予測が外れる場合は、仮説を再構築することも必要です。リスクを見過ごすことは許されません。そのため、市場や競合の変化を把握するために「3C分析」や「PEST分析」を活用することが重要です。将来のリスクを予測することで、自分なりの対策を考えることができます。

大切なことは「世の中の変化」を見抜いて、「自分への影響=リスク」を予見することだ。「世の中の変化」はもちろん膨大な数の変化があるが、それを全部ピックアップしようとは考えなくてよい。あくまでも「自分に」「自社に」影響がある変化だけをピックアップすればよい。

「得点力」を高めるためには、市場に対して価値を提供し、競合ではなく自社を選択してもらうことです。したがって、「3C分析」は、プロジェクトマネージャーにとって非常に有用であり、自社の「得点力」を高めるために活用すべきスキルの一つと言えます。

自分勝手な解釈を避け、相手が求めているものを正確に把握することと、自分自身の価値を信じ、自信と信念と覚悟を持って提供することは、自分自身の競争イシューを明らかにできます。自己分析を行うで、自分がやるべきことが明確になり、問題解決に集中できるようになります。結果、ビジネスがうまくいくようになるのです。


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