保有効果で無駄使いをしない方法 イェール大学集中講義 思考の穴の書評

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イェール大学集中講義 思考の穴――わかっていても間違える全人類のための思考法
アン・ウーキョン
ダイヤモンド社

本書の要約

保有効果とは、私たちが所有するものへの過度な執着を指す心理的現象です。単純に「これは私のもの」という感覚から、同じような他のアイテムよりもその価値を高く感じ取ることがあります。この感覚は、私たちの日常の意思決定や取引にも影響をもたらしますので、無駄な出費をしないように注意を払いましょう。

保有効果によって、私たちが無駄遣いする理由

保有効果は、自分の保有物だというだけで、実際以上の価値を見出してしまう心理 だ。この効果を利用したマーケティング戦略に、人は簡単に引っかかってしまう。(アン・ウーキョン)

保有効果は、私たちの所有物に対する過剰な愛着を示す心理的傾向です。単に「自分のもの」であるだけで、その価値を他の同等のアイテムよりも高く感じるのです。この現象は日常生活での取引や判断においても影響を及ぼしており、マーケティングの分野では、消費者の行動を誘導するための戦略として利用されています。

無料のトライアルやサンプルを提供することで、消費者に一時的な所有感を味わわせると、その製品やサービスに価値を感じやすくなります。この初期の所有感は、購入意欲を高め、最終的な購入を促進する可能性があります。 また、返金保証は、購入時のリスクを低減するだけでなく、商品への所有感を強化します。この保証があると、消費者は安心して購入を決定し、一度商品を手にすると、保有効果のために返品のハードルが上がることが多いのです。

さらに、広告やセールス文面で、商品を所有した時の生活の向上や満足感を強調することで、消費者の心に鮮明なイメージを植え付けることができます。これにより、商品を手に入れることの価値を高く感じ、購入の確率が高まるのです。

30日間無料トライアルという言葉は、消費者にとって魅力的に感じられるものです。一度無料でサービスや製品を利用し始めると、人はそれが日常の一部として組み込まれることが多いです。特に、サービスが日常のルーチンや作業の効率化に貢献している場合、そのサービスがなくなることを想像するだけで不安になることもあります。

無料体験期間中にサービスや製品の良さを感じると、その後の価格設定やコストに対する感じ方も変わってきます。無料期間が終わると、そのサービスの価値に対する料金を支払うことが妥当と感じるようになるのです。 しかし、こういった感情や心理的要素に流されず、本当にそのサービスや製品が自分の生活や仕事にとって必要かどうかを冷静に判断することが必要です。無料体験期間が終了する前には、しっかりと自分のニーズや利用頻度、予算などを考慮し、最終的な判断を下すことが大切です。

ディズニープラスやネットフリックスは、現在のテレビや映画の視聴スタイルに革命をもたらしています。これらの動画配信サービスは、利用者に対して魅力的なコンテンツを提供するだけでなく、無料トライアルを通じて顧客を増やしています。

利用者は、一定期間内にサービスを無料で利用できるため、自分に合ったコンテンツや使い勝手を確認することができます。この無料トライアルによって、顧客は保有効果を感じ、契約を続けてしまうのです。

その際、行動経済学でいうところの「現状維持バイアス」も働きます。作品を視聴を続けることで現状を維持したいという心理が働き、次々とエピソードを見ることが当たり前の状態になります。このような状態になると、延々と配信サービスを使い続けることになるのです。

保有効果を活用した販売戦略は、消費者の購入の敷居を下げる効果があります。「返品無料」は、消費者が商品を手に取るリスクを軽減するものであり、それによって購入に対するハードルが下がるのです。

「返品無料」を提供することで、消費者は気軽に商品を購入することができます。もし商品が自分の期待に応えなかった場合や、サイズが合わなかった場合でも、返品することで全額が返ってくると知っていると、安心して商品を注文することができます。

商品を手元に持つことで、その商品に対する所有感や愛着が生まれ、結果的に返品することを避ける傾向になるのです。 この戦略は、消費者が商品を「自分のもの」と感じるまでの時間を与えるものです。そして、その間に消費者の心に商品の価値をしっかりと刻み込むことで、最終的に商品を手放すことを選ばないように導いているのです。

無駄なサービスを継続しているなら、保有効果を疑い、そのサービスを新たに契約するかどうかを考えるとよいと言います。私もオンラインの教育プログラムを保有効果で継続していることを思い出し、使っていないサブスクを棚卸しをしています。

クローゼットを綺麗にするための方法とは?

クローゼットが衣類であふれる背後の原因として、心理的な要因「保有効果」と「損失回避」が大きく影響しています。私たちがクローゼットを開けると、何年も前から着ていない衣類がたくさんあることに驚くかもしれません。これらの衣類をなかなか手放せないのは、保有効果が働いているからです。一度手に入れたものに対して、強い愛着や所有の喜びが生まれ、それが手放す行為を難しくしてしまいます。

さらに、「損失回避」は、失うことの痛みが同じ価値の利得よりも強く感じられる心理的特性を指します。したがって、不要な衣類を処分する際、何かを失うという感覚が先行し、結果としてクローゼットは古い服でいっぱいになってしまいます。

このように、心理的要因が複合的に作用することで、時間が経つにつれて私たちのクローゼットは衣類であふれてしまいます。すっきりとしたクローゼットを維持するためには、定期的に衣類を整理し、保有効果や損失回避の感情に意識的に立ち向かうことが大切です。

近藤麻理恵さんのベストセラー『人生がときめく片づけの魔法』では、片づけのプロである彼女が、物を整理することで人生をより良くする方法を伝授しています。近藤さんによれば、物の整理をすることで心も整理できるとされています。彼女が特に取り上げているのは「損失回避」という心理的な側面です。 私たちは、大切にしている物を手放すことをためらうことが多いです。

しかし、近藤さんの方法では、整理を始める際に、すべての衣類を一か所に出すというアプローチを提案しています。 彼女のアドバイスに従い、ハンガーにかかっている服や、引き出しや下駄箱の中にある物をすべて床に出すのです。一度床に出された物は、その時点で自分のものでなくなるという感覚が生まれます。これは、保有効果が薄れ、ものを失う感覚が和らぐからです。私たちの考え方は「失う」という視点から「得る」という視点へとシフトします。

アン・ウーキョンはこの方法を取り入れることで、物を整理し、手放すことができたと言います。保有効果と損失回避を疑い、自分への問いかけをを行うことで、真に必要なものだけを選び取ることができ、心の中もスッキリと整理されます。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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