経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについて
山崎元
Gakken
経済評論家の父から息子への手紙 お金と人生と幸せについての要約
著者は資本主義社会においてリスクを取らない労働者は搾取されると言い、若者世代は適度にリスクをとることが重要だと指摘します。具体的には、起業や世界の株式市場に投資するETFへの投資を提案する一方で、知識やスキルの向上など自己への投資の大切さも強調しています。
リスクを取ることで、人生が豊かになる理由
経済の世界は、リスクを取ってもいいと思う人が、リスクを取りたくない人から、利益を吸い上げるようにできている。このことが、今はよりはっきりと現れつつあり、現在、その気づきの効果が大きい。
経済評論家の山崎元氏の遺作として多くの注目を集めるこの書籍は、息子宛ての手紙を書籍向けに書き換えたもので、お金、人生、そして幸せに関する深遠なメッセージが込められています。山崎氏は大学に合格した息子にリスクを取ることの重要性を教えています。
著者は、資本主義社会においてリスクを取らない労働者は搾取されると考えて、適度にリスクをとることが重要であると主張しています。
若い世代にとって、将来の経済的な安定を確保するうえで投資は欠かせない要素です。この観点から、著者は若者たちに2つの投資戦略を提案しています。
①起業
起業は高いリスクを伴いますが、成功した場合には大きな収入を得る可能性があります。あるいは創業期にベンチャーに参加し、ストックオプションの権利を取ることも価値があります。
②世界株式投資型のETFへの投資
グローバルな企業の成長に投資することを可能にする、世界株式投資型のETFへの投資です。たとえば、「オルカン」のようなETFに投資することで、世界中の様々な企業の成長から利益を得ることができます。
これらの戦略は、若者が資産を形成し、将来的に経済的な安定と豊かな生活を手に入れるための重要な手段です。ただし、アクティブファンドや個別株への投資は、高い手数料がかかることがあり、長期的な視点で全世界を対象としたインデックスファンドに投資する方が、多くの場合、有利になると考えられます。
お金は、目的ではなく手段に過ぎない。必要なだけあれば、それでいい。大金持ちを目指してもいいし、目指さなくてもいい。そこは、それぞれの勝手でいい。 ただ、お金の稼ぎ方、増やし方で、「不利な側」には回ってほしくない。
現代の若い世代には、従来の「時間に基づく労働」の枠を超え、自らの才能と能力をフルに活かす新しい働き方が求められています。この動きは、自分自身のスキルや価値を市場に提供することによって実現されるものです。
副業やプロジェクト型の柔軟な働き方は、個人のスキルアップに貢献するだけでなく、企業の効率性と生産性を向上させることにも繋がります。 このような新しい働き方を成功させるには、新しい挑戦を恐れず、既成概念にとらわれない柔軟な思考が必要です。
これらの働き方は、個人が自らの可能性を最大限に引き出し、社会や組織に新鮮な価値を提供することを促します。 この進歩的なアプローチは、社会全体にとっても利益をもたらし、将来的にはより多様で革新的な働き方が普及することで、より良い社会の発展に貢献すると期待されています。この変化は、若い世代にとってだけでなく、働くすべての人々にとってのポジティブな変化を意味しています。
幸せになるために重要なこととは?
稼いだお金はおおらかに使うといい。特に自分への投資を渋ると将来の自分が貧相になってしまう。自己投資の中身は、①知識、②スキル、③経験、④人間関係、⑤時間、だ。
お金を稼ぐことの重要性は誰もが認識していますが、その稼いだお金の使い道もまた、同じくらい重要なポイントです。特に、自分自身への投資は決して怠らないようにしましょう。自己投資を怠った結果、成長の機会を逃し、人生のある段階で停滞する可能性があります。
自己投資とは、自分の成長やスキル向上のために資源を割くことを意味します。読書や学び、新しい経験の追求、価値ある人間関係の構築、そして自分自身との対話の時間などに投資しましょう。これらの要素をうまく組み合わせることで、個人の成長を加速させ、より充実した人生を送ることができます。
私はお金の使い方において、本に投資したり、海外や国内の旅行を楽しんだり、人間関係に時間を割くことを大切にしています。
本からは新しい知識や視野を広げることができ、これが自分の成長に直結します。異なる視点や情報を吸収することで、日々の生活に刺激を与え、成長の機会を拡げてくれます。
旅行によって未知の文化や環境に触れ合うことは、自分自身の考え方や感性を深め、人生に対する新たな見方を考える機会をもたらします。日常とは異なる経験をすることで、自己成長を促し、洞察力を養うことができます。旅行中に得た経験や一次情報は、自分の中に新しいアイデアを生み出すための貴重な資源となります。
人間関係の構築に注力することも私にとって重要です。様々なバックグラウンドを持つ人々との関わりは、心を豊かにし、新しい価値観に触れる機会を提供します。互いの理解と支え合いを通じて、自分自身の認識を深め、人生の目標に向かって前進する力を育んでいます。
このような理由から、お金を使う際には、知識を深める本への投資、新しい体験を提供する旅行、そして人との繋がりを深める人間関係への投資の3つを、適切にバランスを取りながら組み合わせることを意識しています。これらを通じて、より充実した人生を実現するための基盤を築いていきたいと考えています。
45歳くらいから、高齢期の働き方を見据えた「セカンドキャリア」の準備が必要だ。準備が遅れると、できることの範囲やスケールが小さくなる。準備として必要なのは、仕事に必要な「能力」と、自分の仕事を買ってくれる「顧客」の2つだ。いずれも獲得には時間が必要だ。準備は早くから始める方がいい。
私自身も44歳でアルコールを断ち、人生を再スタートさせた経験があるため、この著者の主張には深く共感しています。読書や自己投資、そして人的資本の充実を通じて、サラリーマンをやめ、著者や社外取締役、大学教授になれたのですが、今はその時の自分に感謝しています。
著者は幸せになるためには、「1日1日を大切にすること」だと言います。命の終わりが近づいていた彼にとって、限られた時間こそが最も価値のある資産だったと言えるでしょう。
幸せを実感するためには、自分自身と深く向き合い、真に求めるものを見極めることが必須です。時間を価値あるものとして扱うことで、後悔のない人生を歩むことができます。
アルコールを断った経験から、私も自己成長と新しい可能性を発見することができました。毎日の小さな積み重ねが、最終的には幸福感につながると信じています。
幸せは他人との比較ではなく、自分自身との対話から生まれます。過去の自分に感謝し、現在の自分を大切にしながら、未来に向けて進むことが幸せな人生の秘訣です。内面に耳を傾け、本当に望む幸福を追求することが大切です。日々の小さな喜びや感謝の積み重ねが、充実した人生を築く基盤となります。
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