BtoBマーケティング“打ち手”大全 広告運用で受注を勝ち取る 最強の戦略 88の書評

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BtoBマーケティング“打ち手”大全 広告運用で受注を勝ち取る 最強の戦略 88
二平燎平, 仙波勇太
インプレス

BtoBマーケティング“打ち手”大全の要約

BtoBマーケティングでは、企業が直面する課題の解決に焦点を当てることが一層重要視されています。ビジネス顧客が抱えるニーズや課題を正確に把握することは、適切な解決策を提案するための基盤です。顧客とのインタビューを積極的に行い、解像度を高めた上で戦略を練ることが、BtoBマーケティング成功の鍵となります。

BtoBマーケティングにおいて、顧客解像度を高めることが重要な理由

認知を広げるより、課題を抱えている人にアプローチするという考えがBtoBマーケティングでは重要です。(二平燎平, 仙波勇太)

BtoBマーケティングの世界では、顧客の課題解決への注力がますます求められています。ビジネス顧客の特定のニーズや課題(ペイン)を深く理解することは、正しい解決策を導くための出発点になります。

顧客の抱える問題に焦点を当てたコンテンツや適切なアクションを提供することで、強固な顧客関係の構築が可能になります。具体的には、オンライン広告、コンテンツマーケティングやメディア露出(PR)を通じて顧客の「問題の認識」から「情報探索」という購買プロセスの初期段階にアプローチすることが重要です。

たとえば、「問題の認識」段階においては、SNSやディスプレイ広告を利用してユーザーの注意を惹きます。これにより、彼らが直面している課題に対する意識が高まります。次いで、「情報探索」段階での検索広告の使用によって、必要な情報がユーザーの手に容易に届くようにします。

この段階的なアプローチにより、BtoB企業はターゲット顧客に適切な時期に適切な情報を提供し、その結果、購入へと導くことが可能となります。 このような課題中心のアプローチとマーケティング・ミックスの実施は、BtoBマーケティングにおける成功のために不可欠な戦略です。

顧客解像度がアイデアを左右する。

BtoBマーケティングでは、顧客に対する深い理解、つまり顧客解像度を高めることが非常に重要です。この解像度とは、顧客の業種や企業規模、抱えている問題や環境、関連する担当者や意思決定者の情報を精緻に把握することを指します。詳細な顧客情報が揃っているほど、サイトのコンテンツや広告クリエイティブで効果的なアイデアを生み出すことが可能になります。

BtoBビジネスでは、提供する製品やサービスが顧客の具体的な業務の課題解決に寄与します。例えばSaaS製品の場合、様々な業務プロセスをサポートするサービスがありますが、それらの業務内容を正確に理解していないと、顧客との意義ある対話を築くことができません。

さらに、BtoB取引では、購買プロセスに複数の担当者やDMU(Decision Making Unit=意思決定者の集団)が、関わることが多く、顧客企業の組織構造や個々の役割まで理解する必要があります。購入に影響力のある担当や実際に決裁権のある人たちと交渉しなければ、時間の無駄になることを忘れないようにしましょう。

ですから、より良いマーケティング戦略を策定するためには、まず営業担当者へのインタビューなどを通じて顧客解像度を高めることが不可欠です。顧客情報の詳細を把握することが、効果的なBtoBマーケティングを実現する基盤となるのです。

DMUとの交渉が成否を分ける!

DMUの立場によってアプローチ方法を変えるべき。DMUとは、購入の意思決定者や意思決定関与者の集団を指します。集団の中には、実際に現場で製品・サービスを使用する人や決裁権を持つ人、助言をする人などが含まれ、それぞれの立場によって検討時に気にするポイントが異なっています。

BtoC市場では、自動車や住宅のような高価格商品の購入に家族が意思決定を共有することがありますが、多くの場合、決定者は一人です。しかし、BtoBマーケティングでは、商品やサービスに関して多数の意思決定者がいることが一般的です。この意思決定単位(DMU)を構成するメンバーを理解し、彼らの役割に応じたマーケティング戦略を立てることが不可欠です。

DMUは典型的には以下の6つの役割に分けられます。
①ユーザー 実際に製品やサービスを使用する人々。
②起案者 製品やサービスの導入を提案する人。
③購入者 購入プロセスを管理し、ベンダーと交渉する人。
④決定者 最終的な購買決定を下す人。
⑤インフルエンサー 意思決定に影響を与える、権威ある意見の持ち主。
⑥チェッカー 提案や決定に対する承認や監査を行う人。

BtoBマーケティングでは、これらの役割ごとに異なるニーズと意思決定のポイントを理解し、顧客に合わせたメッセージを伝えることが求められます。選定基準という論理的な側面と同時に、信頼という感情的な要素も大きな役割を果たします。

常に、個々の人物に対する理解を深め、信頼を築くことが大切です。 質の高いコンテンツを提供することで、顧客や市場からの信頼を高めることができます。そして、タイムリーな情報提供は顧客の購入タイミングを捉える助けとなります。BtoBマーケティングは複雑で多角的なアプローチが求められる分野であり、顧客の理解を深めることで成功につながります。

BtoBマーケティングでは、製品が自動的に売れることは少なく、顧客との直接的な関わりが成功の鍵を握ります。マーケティング担当者が実行すべき主なアクションは以下の6点です。
・特定の顧客へのインタビュー
直接顧客と話すことで、具体的なニーズや期待を理解します。

・自社営業の同行や営業担当者へのインタビュー
営業プロセスを観察し、どのようなアプローチが効果的かを学びます。

・自社製品・サービスの体験
製品やサービスの実際の使用感を知ることで、顧客視点を養います。

・既存顧客へのアンケート
顧客の満足度や改善点を収集します。

・レビューサイトの分析
公開された顧客の声から製品・サービスの評価を把握します。

・業界有識者へのインタビュー
業界の深い洞察を得て、市場の動向を理解します。

これらのアクションにより、顧客解像度を高め、次のような重要な質問に答えられるようになります。
・受注に成功する企業の特徴や受注の決め手は何か。
・受注が難しい企業の特徴は何か。
・顧客が製品を検討し始めるきっかけとなった課題は何か。
・製品がどのような点で評価され、競合と比較されているか。
・失注の主な理由は何か。

この情報をもとに、顧客に響くメッセージを広告やランディングページに反映させ、ペルソナやカスタマージャーニーを精緻化することができます。これらのアクションと質問は、マーケティング施策を向上させるために重要です。

BtoBで鉄板の3つの訴求とは?

BtoBマーケティングにおいて、効果的な広告やランディングページ(LP)のためには、特に以下の3つの鉄板訴求を明確に提示することが重要です。
①売上向上
自社の製品やサービスが顧客の売上をいかに伸ばすことができるかを示す。

②コスト削減
提供する商材が顧客のコストダウンにどのように貢献するかをアピールする。

③業務必須性
自社の商材がなければ顧客の業務がスムーズに回らないという必要性を強調する。

これらの点は、具体的な数値や事例を用いて訴求すると、より説得力が増します。また上記以外にも時短や生産性アップなどの訴求ポイントがあるので、自社の機能的価値と情緒的価値からメッセージを開発しましょう。当然。顧客やDMUに刺さるメッセージやアプローチは異なるので、広告やPR、コンテンツマーケティングやクライアントの事例を組み合わせるようにしましょう。

さらに、時短や生産性アップなどの訴求ポイントも重要であり、自社の機能的価値と情緒的価値からメッセージを開発する必要があります。当然、DMUにごとに異なるメッセージやアプローチ開発が必要なため、広告やPR、コンテンツマーケティングを組み合わせることが有効です。

LPにおいては、ファーストビューが非常に重要です。顧客の問題解決方法とターゲット層を迅速に伝えることが必要です。BtoBの顧客は課題解決を求めており、競合製品と比較して自社製品を選んでもらうためには、LPでのメッセージがクリアで魅力的であることが重要です。

LP設計において、ユーザビリティやコンテンツの質も考慮することで、顧客の興味を引きつけることができます。最終的には、LPを訪れた顧客がコンバージョンしやすい環境を整えることが重要です。

BtoBマーケティングは、企業間取引を強化するために不可欠な戦略です。この分野の基本から応用までを本書で学び、広告媒体を効果的に活用してリード獲得を最適化することは、ビジネス成功への道を築きます。また、施策の優先順位を正確に設定し、リードの質を高めることで、商談単価や受注単価の向上につなげることが可能になります。

著者らのアドバイスや実際の成功事例から学びながら、自社のマーケティング戦略を再構築し、効果的な施策を実施することが大切です。広告だけでなくPR、コンテンツマーケティングなどのBtoBマーケティングの基礎をしっかりと理解し、それを応用していくことで、企業間のビジネス拡大に寄与できるはずです。


この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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