定年いたしません!~「ジョブ型」時代の生き方・稼ぎ方~
梅森浩一
光文社
定年いたしません! (梅森浩一)の要約
現代社会における「定年」は、人生の終わりではなく新たな始まりです。40代からの計画的な準備と、柔軟な思考で人生後半戦に臨むことで、悔いのない人生を築くことができるのです。自分らしい生き方を模索し、社会との繋がりを保ちながら、学び続ける姿勢こそが、この時代における真の「幸福な老い」につながりそうです。
人生後半戦をより良くするための働き方とは?
次のキャリアでは、より幸せな思いを多くするためにも、「自分は本心では、いったい何を大切にする人間なのか」ということを、真剣に振り返っておくことが大切です。(梅森浩一)
元外資系人事部長で「クビ!」論で有名な梅森浩一氏。その梅本氏がジョブ型をテーマに、定年後の働き方を提案したのが、本書定年いたしません!になります。
著者は、従来の「年功序列」や「終身雇用」といった日本的雇用慣行から、個人の能力や職務内容に基づく「ジョブ型」雇用への移行を背景に、定年後の生き方や稼ぎ方について深く掘り下げています。梅森氏は、定年を人生の終わりではなく、新たな挑戦の始まりとして捉え直すことの重要性を説いています。
「ジョブ型」雇用の浸透により、年齢に関係なく個人の能力や経験が評価される機会が増えています。これは中高年にとって、長年培ってきたスキルや知識を活かす新たなチャンスとなります。本書では、このような環境下で自身の強みを見極め、それを活かすキャリア戦略の立て方が詳しく解説されています。
定年後から平均余命の80代までの人生後半戦は、新たな挑戦と成長の時期です。この時期を充実させるには、自分のやりたいことで収入を得ることが鍵となります。趣味や特技を活かして収益化したり、長年の職業経験を活かしてコンサルティング活動を行ったりすることで、楽しみながら経済的基盤を築けます。年金だけに頼ることはほぼ不可能だと考え、早めに準備を行うことが必要です。
重要なのは、自分のペースとライフスタイルに合った働き方を選ぶことです。同時に、新しいスキルを学び続けることで、変化する社会のニーズに対応し、新たな収入源を見出すことができます。 この時期は単なる余生ではありません。自分らしさを活かしながら、社会とつながり、学び続けることで、充実した人生後半戦を送ることができるのです。
人生の転換期において、自己の内面を深く見つめ直すことは、次なるキャリアの方向性を決める上で極めて重要です。著者が提唱する「15の価値観テーマ」は、この自己探求の過程で私たちを導く羅針盤のような役割を果たします。 これらのテーマは、人生の多様な側面を網羅しており、個人の価値観を体系的に整理する助けとなります。
・出世
・競争
・愛
・創造性
・安定
・名声
・家族
・自由
・健康
・誠実
・つながり
・知識
・快楽
・信仰
・富(お金)
自分の価値観を明確に認識することで、それに沿った目標設定や意思決定が可能になります。これは、キャリアの選択だけでなく、日々の生活や人間関係においても大きな影響を与えるでしょう。 また、これらの価値観テーマは固定的なものではありません。人生の異なる段階で、私たちの価値観の優先順位は変化する可能性があります。
若い頃は「出世」や「競争」を重視していた人が、年を重ねるにつれて「健康」や「つながり」をより大切にするようになるかもしれません。したがって、定期的に自己の価値観を見直し、再評価することも重要です。 さらに、これらの価値観テーマは、他者とのコミュニケーションや相互理解を深める上でも有用なツールとなります
自分の価値観を明確に理解し、表現できることで、周囲の人々との価値観の違いや共通点を認識し、より良い人間関係を築くことができるでしょう。 次のキャリアを考える際、あるいは人生の岐路に立った時、これらのテーマを通じて自己を見つめ直すことで、より自分らしい、幸福度の高い選択ができるのです。
定年後のライフデザインを考える際に重要な魔法の計算式
定年後の生活の要諦とは、「身の丈にあった生活ができるか否か」なのですから、問題はその「身の丈」を調節するだけのことです。その一つの調節方法が、「サラリーパーソンを長く続ける」だとしたら、やらない手はないでしょう。
定年後の人生設計において、経済的な側面は避けて通れない重要な要素です。人生の終盤を見据えた財務計画は、多くの人々にとって重要な課題です。
このブログでもおなじみのDIE WITH ZEROの「魔法の計算式」は、この複雑な問題に対する一つの興味深いアプローチを提供しています。(DIE WITH ZEROの関連記事)
「死ぬまでに必要なお金」=(1年間の生活費①)×(人生の残り年数②)×0・7③
この計算式は、「死ぬまでに必要なお金」を算出するための簡潔な方法を示しています。1年間の生活費に人生の残り年数を掛け、さらにそれに0.7を掛けるという単純な構造ながら、その背後には深い洞察があります。 まず、1年間の生活費の見積もりは、個人の価値観や生活スタイルを直接反映します。
定年直前の1年間の生活費を基準にすることは、現実的な出発点となります。しかし、これはあくまでも出発点に過ぎません。退職後の生活は、働いていた時とは大きく異なる可能性があるため、慎重な検討が必要です。
人生の残り年数の推定は、平均余命を参考にしつつも、個人の健康状態や家族の歴史を考慮して行う必要があります。ここでは楽観的過ぎず、かといって悲観的過ぎずのバランスが重要です。
高齢になるにつれて、旅行や外食などの活動が減り、全体的な生活費が下がっていくという現実的な見方を示しています。 しかし、この計算式はあくまでも一般化されたモデルであり、個人の状況によって調整が必要です。例えば、退職後に大きな夢を実現したい場合は、より多くの資金が必要になります。
逆に、シンプルな生活を望む人にとっては、計算結果が過大になる可能性もあります。 また、この計算式は静的なモデルであり、インフレーションや投資収益、予期せぬ出来事などの変動要因を直接考慮していません。したがって、定期的に再計算し、状況の変化に応じて調整を行うことが重要です。
さらに、この計算式は純粋に財務的な側面に焦点を当てていますが、退職後の生活の質も同様に重要です。お金は手段であって目的ではないという視点を忘れてはいけません。充実した人生を送るためには、経済的な準備と同時に、生きがいや社会とのつながりなど、非金銭的な側面にも注意を払う必要があります。 結局のところ、「死ぬまでに必要なお金」を考えることは、自分の人生観や価値観を深く見つめ直す機会でもあります。
何を大切にし、どのような人生を送りたいのか。そのビジョンを明確にすることで、より的確な財務計画を立てることができるでしょう。 他人の基準や一般的な指標に頼るのではなく、自分自身の内なる声に耳を傾け、真摯に向き合うことが重要です。
「悔いのない人生」を送るためには、経済面だけでなく、精神的な充足も重要です。社会貢献活動や、長年叶えられなかった夢の追求、新たな人間関係の構築など、多様な経験を通じて自己実現を図ることが大切です。また、健康管理にも十分な注意を払い、活動的な生活を維持することで、より豊かな人生後半戦を過ごすことができるようになります。
このように、現代社会における「定年」は、人生の終わりではなく新たな始まりとして捉えるべきです。40代からの計画的な準備と、柔軟な思考で人生後半戦に臨むことで、より充実した、悔いのない人生を築くことができるのです。
自分らしい生き方を模索し、社会との繋がりを保ちながら、学び続ける姿勢こそが、この時代における真の「幸福な老い」につながりそうです。
私も40代後半から定年後のライフプランを考え始め、51の時に独立を選択しましたが、早めに準備をすることで、61歳になった今も働き続けています。
自分の好きなことを仕事にし、ベンチャー企業のサポートを行い、若い世代とのつながりを強化することで、若さを維持できています。彼らの課題を明らかにし、自分のスキルを高めることで、刺激ある時間を過ごせるようになったのです。
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