「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問 (権藤悠)の書評

person holding black camera lens

「解像度が高い人」がすべてを手に入れる 「仕事ができる人」になる思考力クイズ51問
権藤悠
SBクリエイティブ

「解像度が高い人」がすべてを手に入れる (権藤悠)の要約

解像度を高めるためには、具体化思考力、抽象化思考力、具体抽象思考力をバランスよく養うことが欠かせません。これらの思考力によって、正しく課題を定義し、解決策を見つける能力が向上します。解像度を高めることで、より良い結果を生み出すことができるようになるのです。

なぜ、解像度が高い人が優秀なのか?

「解像度が高い人」は、物事が「細かく見えている」。「鋭い洞察」を持ち合わせている。それでいて難しい話も、「わかりやすく伝えられる」。(権藤悠)

「仕事ができる人は解像度が高い人だと」と著者の権藤悠氏は指摘します。 著者は、高い解像度で物事を捉え、抽象的な概念を具体化する能力が重要であると述べています。

同じものを見ていても、解像度が異なれば、〝見ている世界〟も全く異なるものになります。つまり、「仕事ができる人」とそうでない人が〝見ている世界〟は、「解像度の高さ」によって決まってくるのです。したがって、自分の能力や視点を高めることは、成功に向けて重要な要素になります。

解像度が高い人のポイントを抽出すると、以下の3つの特徴が浮かび上がってきます。
特徴①99%の人には見えない所まで、物事が細かく見えている。
彼らは微細な部分まで気づき、徹底的に分析する能力を持っています。

特徴②99%の人には見えないユニークで鋭い洞察を得ている。
彼らは他の人が見逃すような視点で物事を捉え、新しい発見やアイデアを生み出します。

特徴③99%の人にも見えるよう物事をわかりやすく伝えられる。
彼らは複雑な概念を簡潔に説明し、他者に理解を促す力を持っています。

具体化思考力は細部に注目し、具体的な情報を整理する能力を指します。一方、抽象化思考力は複雑な概念を抽象化して捉える力を指します。抽象化思考力を高めるためには、「違うもの同士の共通点を問う」というアプローチが重要です。さらに、具体抽象思考力は具体と抽象の両方を組み合わせて問題を解決する能力を指します。

これらの思考力をバランスよく養うことで、正しく課題を定義し、解決策を見つける能力が向上します。具体化思考力、抽象化思考力、具体抽象思考力を磨き、日々の課題に対処する中で、より良い結果を生み出すことができるようになります。

5W1HというフレームとMECEを使い倒す!

例えば、YouTubeの視聴者とTVの視聴者の違いを挙げる問題や、さえない喫茶店がさえない原因を考える問題などをケースに解像度の高い人の思考法を学べます。これらの問題を通じて、読者は自らの思考力を鍛え、より良い判断や行動をするための準備を整えることができるようになります。

YouTubeとテレビの違いを5つ挙げるという問いには、5W1Hのフレームワークを使うと簡単に整理できます。▪️How
YouTube・・・視聴者が能動的にコンテンツを選択する。
テレビ・・・視聴者が受動的に提供されたコンテンツを視聴する。

▪️Where/When
・YouTube・・・スマートフォンでどこでもいつでも視聴可能。
・テレビ・・・テレビのある特定の場所や限られた時間での視聴が可能。

▪️Whom
・YouTube・・・身近なヒーロー・ヒロインに視聴者が共感する。
・テレビ・・・芸能人や有名人が中心となる。

▪️What
・YouTube・・・ニッチな内容が主流。
・テレビ・・・マスの視聴者向けのコンテンツが主流。

▪️Who
・YouTube・・・主に個人の視聴が多く、一人で視聴する傾向がある。
・テレビ・・・家族や友人と集まって視聴することが多い。

「堅実で積み上げ型のサポータータイプ」と「チームを引っ張るリーダータイプ」の5違いを明らかにせよという問いには、性格や行動などのフレームを使うことで他者にわかりやすく説明可能です。
▪️性格
・サポータータイプ・・・冷静
・リーダータイプ・・・情熱

▪️行動特性
・サポータータイプ・・・安定
・リーダータイプ・・・リスク

▪️共感する内容
・サポータータイプ・・・数字に共感
・リーダータイプ・・・思いに共感

▪️イベントの好み
・サポータータイプ・・・勉強会
・リーダータイプ・・・飲み会

▪️好きな色
・サポータータイプ・・・青色
・リーダータイプ・・・赤色

「さえない喫茶店」がさえない原因を5段階に分解せよという問いには、MECEを使います。まず、「収益」を頂点とし、「売上」と「コスト」に分解します。その後、「売上」をさらに「新規顧客」と「既存顧客」に分解し、「新規顧客」を「集客」と「販売」に細分化します。

さらに「集客」を「認知」と「行動」に分解します。同様に、「既存顧客」からの「集客」も「再認知」と「行動」に分解します。次に、「コスト」を「固定費」と「変動費」に分解し、「固定費」を「人件費」と「設備費」、「変動費」を「消耗品費」と「外注費」に細分化します。こうして収益の具体的なピラミッドを構築し、各要素を検証して「さえない」原因を特定していきます。

「売上1億円 を達成できなかった原因を5段階に分解せよという問いにもMECEとピラミッドストラクチャーを活用できます。

売上1億円を達成できなかった原因を5段階に分解します。まず、新規事業の売上目標1億円未達の営業手法を分析します。具体的には、顧客獲得から始め、「集客」「認知」を掘り下げ、それぞれ「オンライン広告」「オフライン広告」などの手段に分解します。

次に、「行動」を細分化し、「Webページ」「問い合わせ」などの要素を検討します。そして、「初回商談」「最終商談」などを分析し、問題点を特定します。

結果として、5段階目である「認知」「行動」の不足が浮かび上がります。具体的には、「オンライン広告へのアクセス不足」「クリック率低下」「オフライン広告の効果不足」などが考えられます。また、「Webページへの訪問不足」「問い合わせページへの遷移不足」なども問題として挙げられます。

この本を通じて、具体的な事象や概念を抽象化し、逆に抽象的な概念を具体化する能力を身につけることができます。この能力はビジネスの現場だけでなく、日常生活でも非常に重要です。読み終わった後には、自分自身が具体と抽象をどう見るべきか、考えるべきかが明確になり、より深い思考力を身につけることができるでしょう。

また、大学でフレームワークとクリティカル・シンキングを教えている私の立場からも、わかりやすい一冊として学生やビジネスパーソンにおすすめしたい良書です。


Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました