人生・キャリアのモヤモヤから自由になれる 大人の「非認知能力」を鍛える25の質問
ボーク重子
ディスカヴァー・トゥエンティワン
大人の「非認知能力」を鍛える25の質問(ボーク重子)の要約
非認知能力とは、自己肯定感、自分軸、成功体質、主体性、オープンマインド、共感力などからなる、目には見えない「生きる力」「人間力」とも呼べるものです。この6つの力にプランド・ハップンスタンス理論に感謝の心をf付加することで、より豊かな人生を送れるようになります。
非認知能力を武器にする!
激変の時代、何があるかわからないけれど、何があろうとも道を切り拓いていける自分になるということです。 そのためには、新しい社会で必要とされる武器を身につけることが肝要です。(ボーク重子)
テクノロジーの進化やグローバル化、多様化する価値観、さらには予測不可能な出来事が次々と起こる現代では、未来を正確に見通すことはますます困難になっています。しかし、どんな状況に直面しても自らの力で道を切り拓ける自分になることが重要です。そのためには、新しい社会で求められる力を身につけることが不可欠です。
この困難な時代を生き抜くためには、柔軟性や主体性、そして困難に立ち向かう回復力が求められますが、ボーク重子氏が提唱する「非認知能力」は、まさにそのような時代に求められる新しい武器として注目されています。
非認知能力とは、目に見えない能力の総称であり、人がより良く生きるために必要な力を指します。これは、学業や仕事の成果を超えて、人生全体の幸福や成功に深く関わるものです。例えば、困難に直面しても立ち直る力や、自分を肯定する姿勢、他者と健全な関係を築く能力などが含まれます。
非認知能力を育むための実践的な方法として、著者は「BYBSコーチング」を提唱しています。このコーチングは、「自分史上最高の自分」を目指すことを目的とし、個人の内面的な成長をサポートします。その対象は多岐にわたり、子育て、キャリア構築、企業のダイバーシティ推進など、幅広い分野で活用されていると言います。
本書では、非認知能力を鍛えるための7つの武器が紹介されています。これらは、それぞれの力を具体的に磨き上げるためのヒントを提供しており、どれも現代を生き抜くために欠かせないものです。
第1の武器は「自己肯定感」です。これは、ありのままの自分を受け入れ、自分の価値を認める力です。他人の評価に依存せず、自分自身を信じる姿勢が、心の安定と自信をもたらします。
次に「自分軸」です。他者の意見や社会の評価に左右されず、自分の価値観や信念を大切にする力がここに含まれます。自分軸を持つことで、どのような環境でもブレない判断が可能になります。
「成功体質」も重要な要素です。これは「できる」という自己効力感と、失敗を恐れない自己信頼感から成り立っています。挑戦を繰り返すことで、成功への道を切り開く力が育まれます。
さらに、「主体性」も欠かせません。自ら行動を起こす力、つまり主体性は、失敗からの回復力や粘り強さを支える基盤となります。自分で決断し行動することで、他者に依存しない強さが身につきます。
「オープンマインド」は、多様性が尊重される社会で必要不可欠です。柔軟な考え方と新しい視点を取り入れる力は、問題解決やイノベーションを促進します。
そして、「共感力」です。他者の立場や気持ちを理解し、共感することで信頼関係を築く力が高まります。共感力がある人は、周囲の協力を得やすく、より多くの可能性を引き寄せます。
最後にこのブログでもおなじみのJ・D・クランボルツ教授の「プランドハップンスタンス(計画的偶発性)理論」が第7の力として紹介されています。これは偶然の出来事を計画的に活用する力で、変化の激しい時代においてキャリアや人生の方向性を柔軟に構築する方法論です。 これらの能力を身につけることで、現代の激動する社会をしなやかに生き抜く力が得られます。
非認知能力は、これからの人生において、単なる成功のための手段ではなく、真の幸福を追求するための重要な基盤になるのです。
自己主張のためのアサーティブ・コミュニケーション
「自己主張・自己決定」を新習慣にして、人生の主導権を握る。
アサーティブ・コミュニケーションは、自己主張と他者への配慮を両立させるための重要なスキルです。その中でも、特に実践的な手法として注目されているのが「DESC法」です。これは、自分の意見や感情を適切に伝えつつ、相手との対話をスムーズに進めるためのフレームワークです。
DESC法は以下の4つのステップから成り立っています。
1. Describe(事実を伝える)
最初のステップでは、主観を交えず、冷静に状況や事実を伝えることが求められます。この段階では、自分の感情や意見を挟まず、あくまで客観的な事実を提示することが重要です。
2. Explain(説明する、共感)
次に、自分の感じていることや、その状況がどのように影響を及ぼしているかを説明します。このとき、相手の立場や気持ちにも配慮し、共感を示すことが大切です。 説明と共感を組み合わせることで、相手との信頼関係を保ちながら、自分の立場を伝えることが可能になります。
3. Specify(具体的な提案)
次に、具体的な提案を行います。このステップでは、相手に期待する行動や改善策を具体的に示すことがポイントです。抽象的な要求ではなく、相手が何をすればよいのかを明確にすることで、相手が行動しやすくなります。
4. Choose(選択)
最後のステップは、提案の中から相手が選択できる余地を残すことです。相手に提案がある場合には傾聴し、それによって代替案をつくります。これは相手に主体性を持たせるために重要な要素です。
DESC法の大きなメリットは、対立を避けつつ、自分の意見や要求をしっかりと伝えられる点にあります。感情に流されず、建設的なコミュニケーションを促すことで、相手との関係を維持しながら問題を解決することができます。
また、この手法は職場だけでなく、家庭や友人関係など、さまざまな場面で活用できる汎用性の高いスキルです。 アサーティブ・コミュニケーションを実践するためには、相手に対するリスペクトと自分の意見をバランスよく表現することが求められます。DESC法は、そのための具体的な道筋を示してくれる非常に有用なツールと言えるでしょう。
非認知能力の共感力が重要な理由
あなたに巻き込まれていく多くの人が、あなたのキャリアをつくっていく。あなたがつくり上げるたくさんの点をつないで、あなたというキャリアをより大きなものにしていくのはそんな人たちです。私はそう考えています。
キャリアは一人で築き上げるものではありません。あなたの周りには、多くの人が自然と集まり、影響を与え合いながら一つの流れをつくっていきます。その流れの中で、他者とのつながりが、あなた自身のキャリアを大きく発展させていくのです。
著者は、キャリアとは自分の内面だけで完結するものではなく、社会との関わりの中で育まれるものだと言います。人生100年時代と呼ばれる今、キャリア構築は従来のような個人の成功だけを追い求める方法では成り立ちません。自分自身の成長や幸福を追求することはもちろん大切ですが、それだけではなく、社会とのつながりやコミュニティの中での役割を意識することが求められます。
自分が誰かの役に立っている、あるいは社会に貢献していると実感できる生き方こそが、真の幸福感をもたらすのです。 そこで欠かせないのが「利己」と「利他」の視点です。自分の目標や願望に忠実であること、すなわち「利己」の視点は、キャリア構築においてエネルギーの源となります。
しかし、それだけでは道半ばで停滞してしまうこともあるでしょう。他者の存在や協力なしには、大きな成果や深い満足感を得ることは難しいのです。だからこそ、「利他」の視点が必要になります。これは、他者の立場やニーズを理解し、支援や協力を惜しまない姿勢を指します。 利他の視点を支える力が「共感力」です。
この力があれば、相手の立場に立って考え、行動を起こすことができます。共感力の高い人は、他者の困難やニーズに敏感であり、自分に何ができるかをすぐに考えます。「自分がこうしたら、相手は助かるのではないか」「もっと良い形にできるのではないか」といった思いやりの気持ちが自然と生まれるのです。
そして、その行動が周囲に好影響を及ぼし、次第に多くの人々を巻き込んでいきます。 キャリアを築く中で、この巻き込む力は非常に重要です。自分一人ではなく、他者と協力しながら目標に向かって進むことで、より大きな成果を生み出せます。
さらに、共感力を持つ人は、困難な状況でも周囲のサポートを得やすく、逆境を乗り越えるための強力なネットワークを築くことができます。 共感力は、キャリア構築のための新たな視点を提供してくれます。それは、自分の目標達成だけでなく、他者とともに成長し、社会全体に貢献するキャリアの在り方を示しているのです。
この視点を持つことで、あなたのキャリアはより深く、豊かなものへと進化していくでしょう。そして、その過程で得られる幸福感や満足感は、他には代えがたいものとなるのです。
プランドハップンスタンス理論に感謝の心を付け加える!
プランド・ハップンスタンスは「5つの能力+1」で鍛える。それは、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心、そして「感謝する心」 「やりたいこと」が明確である必要はなく、「何となく」の方向性があれ ばいい。
人生のキャリア構築において、すべてを計画通りに進めることはほとんど不可能です。むしろ、偶然の出来事や予期せぬ出会いが大きな転機となることが多いものです。この考え方を体系化したのが、クランボルツの「プランド・ハップンスタンス理論」です。
この理論では、偶然を計画的に活用することで、自分らしいキャリアを築くことを目指します。 プランド・ハップンスタンス理論は、「5つの能力+1」を鍛えることで実現するとボーク重子氏は、クランボルツの理論を発展させています。
・クランボルツの5つの能力
①好奇心
たえず新しい学習の機会を模索し続けること 新しい知識やスキルを身につけることで、自分自身を成長させることができます。新しい分野や業界の情報を収集し、ネットワークを拡大することで、新しいアイデアやビジネスチャンスに出会うことができます。
②持続性
失敗に屈せず、努力し続けること 成功するためには、失敗を恐れずに、継続的に努力することが重要です。継続的な努力は、新しいアイデアやビジネスチャンスを発見するために必要なスキルや洞察力を養うことにもつながります。
③楽観性
新しい機会は必ず実現する、可能になるとポジティブに考えること 楽観的な考え方は、新しいビジネスチャンスを発見するために欠かせません。新しいアイデアやビジネスチャンスが自分自身にもたらされる可能性を信じるようにしましょう。
④柔軟性
こだわりを捨て、信念、概念、態度、行動を変えること 過去の成功体験にこだわることが、新しいアイデアやビジネスチャンスを逃す原因になることがあります。新しいアイデアやビジネスチャンスに対して、柔軟に対応することが重要です。
⑤冒険心
結果が不確実でも、リスクを取って行動を起こすこと 冒険心を持つことで、自分自身が新しいアイデアやビジネスチャンスを探索することができます。新しい分野や市場に挑戦し、リスクを取って新しいビジネスアイデアを実践することが、成功への道を切り拓くことにつながることがあります。過去の成功体験にこだわることなく、新しいことに挑戦し、リスクを恐れずに行動することが大切です。
ボーク重子氏はこの5つの要素に、「感謝する心」を加えることで、人生がよりうまくいくようになると述べています。これまでの努力や支えてくれた人々に感謝することで、自分の歩みを振り返り、新たなステージへのエネルギーを得るためのものです。
この「5つの能力+1」を活かすためには、以下の実践的なサイクルが求められます。次のような実践的なサイクルを意識することが求められます。
最初のステップは「意図的インプット」です。これは、自分自身が必要とする情報や知識を積極的に取り入れることを意味します。新しい視点や考え方、これまで触れたことのない分野の知識を取り入れることで、自分の可能性を広げることができます。新たなアイデアや機会は、日常のちょっとしたインプットから生まれることが多いのです。
次に、「意図的アウトプット」が続きます。得た知識や経験を実際の行動や表現に移すことで、自分の価値を外に示します。アウトプットすることで、自分の考えを整理するだけでなく、周囲の反応を得てさらなる成長につなげることができます。ここでのポイントは、完璧を求めるのではなく、行動に移すこと自体を大切にすることです。 また、
定期的な「アップデート」も欠かせません。これは、自分の目標やビジョンを見直し、環境の変化や自分の成長に応じて柔軟に修正を加えるプロセスです。キャリアや人生の方向性は一度決めたら終わりではなく、常に変化し続けるものです。この見直し作業を怠らないことで、常に自分にとって最適な道を歩むことができます。
さらに、「リーチアウト(出会い)」の重要性も強調されています。新しい人々とのつながりを意識的に作ることで、そこから思いがけないチャンスやインスピレーションを得ることができます。人との出会いは、自分一人では気づけない可能性を広げる鍵となります。 これらのプロセスすべてを支えるのが「持続性」です。
一時的な努力ではなく、長期的に続けていくことが成功の秘訣です。コツコツと続けることで、少しずつ大きな成果へとつながっていきます。
そして最後に、「感謝」がこのサイクルを支える土台となります。自分の成長に対する感謝、支えてくれる人々への感謝を持つことで、心が豊かになり、次のステージへの意欲が湧いてきます。感謝する気持ちは、自分の行動に意味を与え、人生の充実感を深める力を持っています。
プランド・ハップンスタンス理論の本質は、偶然をただ待つのではなく、積極的に取り入れて活かすことにあります。自分の成長に合わせてビジョンも進化し続け、そのプロセスで得られるのは、意図的に偶然を引き寄せ、自らの道を切り拓いていくという最高にエキサイティングな人生です。そんな人生を歩む自分自身に感謝し、その道のりを支えてくれる人々に感謝することで、人生はさらに豊かで意義深いものとなるのです。
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