仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣 (大村信夫)の書評

person holding pencil near laptop computer

仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣
大村信夫
明日香出版

仕事の「整理ができる人」と「できない人」の習慣 (大村信夫)の要約

多くの人は、探し物に時間を浪費しています。生産性を向上させるためには、具体的な目標を設定し、時間を確保し、仕事の計画を立てることが重要です。仕事の環境を整え、集中力を高めると同時に、効果的なフレームワークと習慣を身につけることで、最大限のパフォーマンスを引き出せます。

虫の目、鳥の目、魚の目、コウモリの目という4つの視点の重要性

探しモノは全く意味のないムダな時間です。このムダな時間を少しでも減らし、実質的に増えた時間で、「本当にすべきこと」「本当にやりたいこと」に時間を使っていただきたいと思って書いています。(大村信夫)

生産性を高めるには、まず自分が本当にやりたいことを明確にし、そのために時間を使うことが重要です。しかし、驚くべきことに、多くの人が年間150時間を「モノを探す」ことに費やしているというデータがあります。この無駄な時間をなくすだけで、仕事のスピードと質を大幅に向上させることができます。

つまり、大切なのはただ長時間働くことではなく、成果を出すための環境を整えることです。そのためには、単なる片付けや整理整頓を超えた「仕事の整理術」を習慣化することが必要です。この習慣を身につければ、業務をスムーズに進めることができ、自分のやりたいことに集中するための時間をしっかり確保できるようになります。

整理整頓のプロフェッショナルである大村信夫氏は、仕事ができる人とできない人の習慣を50の項目にわたって対比し、最適な整理術を提示しています。

同氏の提唱する片付け術は、単にデスクやファイルを整理することだけではありません。時間の使い方、優先順位のつけ方、さらには考え方の整理まで網羅しています。これらを実践することで、仕事の効率が向上するだけでなく、目標達成に向けた道筋がより明確になります。 たとえば、必要な資料がすぐに見つかる状態を維持できれば、その分だけ仕事に集中する時間が増えます。

また、優先順位を整理し、何をしたいかを明確にすることで、無駄な業務を減らし、本当に重要なタスクに全力を注ぐことが可能になります。

大村氏が提案する整理術は、単なる片付けにとどまらず、思考の整理、時間管理、タスク管理、コミュニケーション術といったビジネスパーソンに不可欠なスキルを総合的に高めるための方法論です。 この整理術を身につければ、業務の効率化だけでなく、ビジネスにおける成果を確実に上げる力が養われます。生産性の向上を目指すすべての人にとって、大村氏の片付け術は強力な武器となるはずです。

その中から今日は、「虫の目」「鳥の目」「魚の目」、そして「コウモリの目」という4つの視点と「4つのあ」という考え方を紹介します。

仕事の整理ができる人は4つの目で考え、できない人は一つの視点で考える。

これらの視点を取り入れることで、新たなアイデアを生み出せたり、イノベーションを起こせるようになります。
・虫の目
細部を見渡す洞察力 「虫の目」とは、細部に注意を払い、さまざまな角度から物事を観察する視点を指します。仕事の進捗や問題点は、細かい部分に隠れていることが多いため、この視点を活用することで、見落としを防ぎ、正確な判断が可能になります。細部への意識が、結果的に大きなミスを未然に防ぐのです。

・鳥の目
広い視野で全体を俯瞰する 一方で、「鳥の目」は、高い位置から全体像を把握する視点です。個々のタスクやプロジェクトがどのように組み合わさり、組織全体の目標にどう影響を与えるのかを考える力が求められます。これにより、優先順位を見極め、重要なタスクにリソースを集中させることができます。

・魚の目
流れを読む力 「魚の目」は、時系列的な変化や習慣、トレンドを捉える視点です。仕事は静的なものではなく、絶えず変化しています。その変化の中で、どのように適応し、次の行動を取るべきかを見極める力が重要です。この視点を活用すれば、先を見越した計画が立てられ、タイミングを逃さない行動が可能になります。

・コウモリの目
発想を転換する そして最後に、現代の変化の激しいビジネス環境で特に重要なのが「コウモリの目」です。コウモリは、天井にぶら下がる独特の視点から世界を見ています。この視点を仕事に応用すると、常識や固定観念にとらわれない新しい発想が生まれます。

たとえば、これまで問題だと思われていたことが実はチャンスであることに気付いたり、異なる業界の手法を自分の業務に取り入れることでイノベーションを起こしたりすることが可能になります。

このアプローチは、多くの成功事例で活用されています。 例えば、製品設計の革新では、従来のアプローチを反転させることでユニークな製品が生まれています。ダイソンの掃除機は、従来の「紙パック式」という常識を廃止し、「サイクロン方式」を採用することで吸引力の低下を防ぐという新たな価値を提供しました。

他には、顧客視点を反転させるアプローチもあります。例えばIKEAの自己組み立て家具は、完成品を売るのではなく、顧客が自分で組み立てる家具を提供することでコストを削減し、価格競争力を高めると同時に顧客体験を豊かにしています。

今まで考えていた前提条件や既存のプロセスをリストアップし、それを逆にして考えることで新たな発見が得られます。例えば、「高品質な製品は高価である」という前提を疑い、「高品質でありながら低価格な製品を作るにはどうするか?」といった発想に転換することができます。

また、問題を逆に考えることで、例えば「顧客満足を低下させるためにはどうすればいいか?」といった視点から不満要因を排除する施策を見つけ出すことができます。 このように逆さまの視点を採用すると、新たな創造力や問題解決力が高まります。

このように既存のルールや構造を無視することで、新しい可能性に気付き、視点を変えることで今まで見えなかった課題や機会を発見できます。また、思考の柔軟性が高まり、複雑な問題にも適応しやすくなります。 逆さまの発想を促進する企業文化を構築することも重要です。

多様なバックグラウンドや視点を持つ人々をチームに加え、異なる視点や反対意見を積極的に取り入れる文化を醸成することで、組織全体のイノベーション力を向上させることができます。また、新しいアイデアを試すことを奨励し、失敗を成長の糧とする風土を育てることも重要です。

4つの「あ」を意識し、ビジネスで結果を出そう!

人の助けをあてにせず、できることをやる。

仕事において成果を上げる人とそうでない人の違いは、能力や知識だけではありません。その違いは日々の姿勢や心構えに現れます。特に、仕事ができる人は自分の行動をコントロールし、状況に応じて適切に対処する力を持っています。この力を養う鍵となるのが「4つのあ」だと大村氏は指摘します。

・あせらず
・あわてず
・あきらめず
・あてにせず

このうち最初の3つの「あ」は、経営の神様と称される松下幸之助氏が提唱した考え方に基づいています。これらを意識することで、自立した働き方が身につき、周囲からの信頼も厚くなります。

「あせらず」は、どのような状況でも冷静さを保つことの重要性を強調しています。ビジネスの現場では、予期せぬトラブルや急な依頼が発生することは日常茶飯事です。そのようなとき、焦りからくる判断ミスはさらなる混乱を招きます。

たとえば、プレゼンテーションの直前に資料の一部に誤りを発見した場合、慌てて修正を行うと新たなミスを引き起こす可能性があります。しかし、冷静さを保ちながら迅速に状況を整理し、必要な対応をとることで、最小限の修正で問題を解決できるのです。このような冷静な対応ができる人は、上司や同僚からの信頼も厚くなります。

「あわてず」は、計画的に動くことを意味します。日々の業務において、準備不足から来るミスや遅れは避けたいものです。たとえば、プロジェクトの進行において締め切りが迫っている場合でも、しっかりとした計画を立てて進めれば、タスクの優先順位を見極め、限られた時間内で成果を出すことが可能です。準備が整っていれば、どのような事態にも動揺することなく対応できます。

完璧を追求するよりも、早い段階でチームメンバーとアウトプットを共有することが重要です。これにより、アイデアの抜け漏れや方向性の誤りを防げます。

「あきらめず」は、困難に直面しても粘り強く目標に向かう姿勢を示します。仕事において、問題が一度で解決するとは限りません。たとえば、新しい製品を開発する過程で何度も試作と失敗を繰り返すことは珍しくありません。しかし、そこで諦めてしまえば、成果を得ることはできません。

粘り強く試行錯誤を続けることで、最終的に市場で評価される製品が完成します。この姿勢は、特に長期的なプロジェクトやイノベーションを伴う業務において非常に重要です。松下幸之助氏の経営哲学にも、成功への道のりには多くの困難が伴うが、それを乗り越えることで真の成果が得られるという信念が反映されています。

さらに、「あてにせず」という考え方は、極度に他人に依存することがリスクであることを教えてくれます。他人に頼ることを前提にしていると、自分で解決すべき問題に対する責任感が薄れてしまいます。たとえば、ある業務が滞った際に「誰かが手伝ってくれるだろう」と思っていると、自分の成長機会を失いかねません。

一方で、自分の力で問題を解決しようとする姿勢を持つことで、解決策を探し出す能力が磨かれます。さらに、他人の助けを必要とする場面でも、自ら動いて状況を改善する姿勢が見られれば、周囲からの協力も得やすくなります。そして、助けを受けた際には、その恩に対して感謝の気持ちをしっかりと伝えることが重要です。

感謝の心を持つことで、信頼関係が深まり、チーム内での連携が一層強化されます。 これらの視点と心構えを日常業務に取り入れることで、これまで見えなかった解決策や新しいアイデアが次々と浮かび上がってきます。

たとえば、プロジェクトの進行が停滞しているときに、視点を変えて状況を分析することで、新たなアプローチが見つかることがあります。また、自立した姿勢と粘り強さを持つことで、困難な課題にも立ち向かう力が養われます。整理術を超えた視点の活用と心構えを持つことで、ビジネスの新たな可能性を切り開き、持続的な成長を実現できるようになります。

他にもこのブログでもおなじみの「時間管理のマトリックス」「POC(概念実証)」「目標設定のSMART」「if-thenルール」のフレームワークが紹介されています。ぜひ、本書のノウハウを実践し、仕事のパフォーマンスを高めてください。

最強Appleフレームワーク

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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