「40歳の壁」を越える人生戦略 一生「お金・つながり・健康」を維持できるキャリアデザイン
尾石晴
ディスカヴァー・トゥエンティワン
「40歳の壁」を越える人生戦略 (尾石晴)の要約
尾石晴氏は「お金」「つながり」「健康」を満たしながら、やりがいを持って取り組める仕事を「自分業」と定義します。変化は小さな一歩から始まり、インプットとアウトプットを通じて自分業を見つけることを提案しています。違和感を大切にし、その原因を探り、行動することで、4年後には新たな自分を見出せると説きます。
キャリア転機の際に、アウトプットが重要な理由
人生100年時代となれば、40歳でもここからあと60年くらい生きなければなりません。誰もがどこかでキャリアの転機を迎えます。(尾石晴)
私は今年62歳になりますが、今から20年前、40代前半の頃はアルコール依存に苦しみ、常に不安を抱えていました。このままでは人生が破綻すると何度も断酒を決意しましたが、なかなかお酒をやめることができませんでした。そんな中、周囲の仲間たちが次々と亡くなり、「次は自分の番かもしれない」と強く感じました。
そこで、理想とする自分の姿を思い描き、本気でお酒を断つことを決意します。ついに成功したのが、44歳の6月30日のことで、それ以来この20年間一滴もお酒を飲んでいません。今も当時の自分の決断に感謝しています。それがなければ、私の人生ははるかにつまらないものになっていたはずです。
著者の尾石晴氏は、40代でキャリアを変えたければ、アウトプットをすべきだと言います。私も断酒後、会社員をしながら、定期的なアウトプットを心がけ、その実践を通じて自己理解を深めていきました。コーチのアドバイスを受けながら、著者になることを決め、そのためのインプット&アウトプットを重ねました。
「何かを考える→言葉にする→外に出す(書く、話すなど)」の流れで、自分の考えを客観視し、分解できるようになるからです(メタ認知)。アウトプットによって、自分の考えがぼんやりしたものから、輪郭がはっきりしたものに変わっていきます。
転機となったのは、2016年のリンダ・グラットンのライフシフトとの出会いでした。この本のメッセージによって、マルチキャリアの可能性に目覚め、複数の領域で活躍することを人生の目標として定めました。(リンダ・グラットンの関連記事)
社外取締役やビジネスアドバイザーとしての活動、企業の上場支援、そして大学教授としての教育活動など、具体的なキャリアの方向性を描くことができました。 継続的なアウトプットは、思いもよらない機会との出会いをもたらしました。毎日の読書と思考、そしてそれらを言葉として表現し続けることで、新たなつながりが生まれ、様々な可能性が開かれていったのです。
その結果、50代後半を迎えた頃には、40代の時に思い描いた目標のすべてが現実のものとなっていました。 このような経験を通じて、アウトプットの持つ力を実感しています。それは単なる情報発信にとどまらず、自己理解を深め、目標を明確化し、その実現へと導く羅針盤としての役割を果たすものでした。
定期的なインプット&アウトプットは、個人の成長と目標達成の両面において、かけがえのない重要性を持っているのです。 思考を言葉として表現し、それを継続的に発信していくことは、自分自身の変化と成長を促すだけでなく、新たな可能性との出会いをもたらします。
毎朝の書評ブログ執筆という習慣が、私の人生に確かな道筋を示してくれたように、アウトプットは私たち一人一人の可能性を広げ、望む未来への扉を開く鍵となるのです。
自分業が人生後半戦を明るくしてくれる!
「お金」「つながり」「健康」の3つの要素を満たすことができ、かつやりがいを持って取り組め る「仕事」のことを、この本では「自分業」と呼びます。
著者は、生涯を通じて持続可能な働き方として「自分業」という概念を提示しています。これは単なる仕事以上のもので、「お金」「つながり」「健康」という三つの要素を満たしながら、やりがいを持って取り組める活動を指します。
私たちの人生において、これらの要素をバランスよく維持できる働き方を見つけることが、長期的な幸せにつながるのです。
変化は常に小さな一歩から始まります。その一歩は、まるで雪だるまが坂道を転がるように、徐々に大きな力となって成長していきます。気がつけば、「40歳の壁」といった人生の転機も、自然な流れの中で乗り越えることができるようになると著者は言います。
この過程で積み重ねる試行錯誤の経験は、将来直面するであろう様々な「壁」に対しても、必ず私たちを支える力となってくれるはずです。
自分業を見つけ出すためには、インプットとアウトプットの継続的な実践が重要です。まずは日常の中で、小さな変化を起こすことから始めてみましょう。今までとは少し異なることを一つ、新たな習慣として取り入れてみることです。
このまま、気づかないふりをして日常を過ごしていくこともできます。でも、少しでも、その違和感を大事にする気持ちがあるなら、思考停止せずに、今の状況がどこからきているのか考えてみてください。どうやったらその違和感を脱することができるのか考えたら、まずは小さなことから動いてみてください。そうすれば、あなたは必ず4年後、今とは違う場所にいるから。
確かに、現状に違和感を感じながらも、それを無視して従来通りの日常を過ごすことは容易です。 しかし、もしその違和感を大切に思う気持ちがあるのなら、思考を止めることなく、その感覚の源を探ってみることが大切です。その違和感は、あなたの内側から発せられる大切なメッセージかもしれません。それを解消するために何ができるのか、じっくりと考え、勇気を出して、小さな一歩を踏み出すことです。
このような小さな変化の積み重ねは、必ず未来に実を結びます。私が断酒後数年後で人生を変えられたように、小さな行動を継続することで、自分の可能性を広げられます。行動することでネットワークが広がり、そこからチャンスが舞い込んでくるようになります。
人生における大きな変化は、こうした日々の小さな気づきと行動の積み重ねによって、着実に形作られていきます。それは遠回りに見えるかもしれませんが、確実に自分らしい道を切り開いていく過程となります。 私たちの人生は、一つひとつの選択と行動によって形作られています。
今この瞬間から、自分らしい変化への第一歩を踏み出してみましょう。それが将来、かけがえのない経験として、あなたの人生を支える力となっていくはずです。
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