道ばたの石ころどうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法(野呂エイシロウ)の書評

closeup photo of two gray stones on sand

道ばたの石ころどうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法
野呂エイシロウ
アスコム

道ばたの石ころどうやって売るか? (野呂エイシロウ)の要約

PRコンサルタントの野呂エイシロウ氏は、視点を柔軟に変えることこそが本当の「頭の良さ」であり、課題解決や新たな価値創出に不可欠であると説きます。視点を変えることで、既存の枠にとらわれない発想が可能となり、ビジネスや日常の問題にも応用できると強調します。大量のインプットとアウトプットを習慣化し、自らの興味を信じて行動することが、最終的な成果や成功へとつながるのです。

視点を変えれば、課題を解決できる!

世間一般で頭がいい人といえば、理詰めで物事を考える人というイメージがあると思いますが、それだけが「頭の良さ」でしょうか。私は、視点を変えられる人は、かなり頭がいいんじゃないかと思います。なぜなら視点を変えれば、身の回りのいろんな課題を解決できるからです。(野呂エイシロウ)

PRコンサルタントである野呂エイシロウ氏は、常にユニークなアイデアを発信し、その場を刺激的な空間に変える達人です。私自身も、これまでに何度か著者と食事を共にする機会がありましたが、そのたびに、彼の発想の豊かさと柔軟な思考に感銘を受けました。

著者は、何も思いつかない、良い考えが浮かばない原因は「頭が悪いから」でも「才能がないから」でもなく、「視点が固定されているからだ」と指摘しています。視点を変えることで、これまで見過ごしていた価値や可能性に気づくことができるのです。

本書のテーマである「一見何の価値もない石ころをどう売るか」という問いは、誰もが直面する思考の壁を象徴しています。石ころ自体はただの石に過ぎませんが、その価値を生み出すのは、視点や物の見方であるというメッセージが込められています。自分視点から他者視点に視点をずらすことで、さまざまなアイデアが浮かんできます。
石をアートにしたり、有名人のサインを入れることで、新たな価値が生まれます。

メルカリでは、視点を変えることで、ワインのコルクやアイスの棒といった、通常は廃棄されるはずの品が売買されています。たとえば、ワインのコルクは「DIY素材」や「ハンドメイド用パーツ」として需要があり、クラフト作品やインテリア雑貨の材料として活用されます。同様に、アイスの棒も「工作素材」として人気があり、学校の課題制作や趣味の工作に重宝されています。

これらは一見すると無価値に見えるものですが、「素材」という新たな視点を与えることで市場価値が生まれるのです。つまり、モノそのものの本質的価値ではなく、「どう使われるか」という用途の再定義が重要なのです。 この事例は、固定概念を打破し、ニーズを掘り起こす発想の重要性を教えてくれます。

この考え方は、ビジネスにおける問題解決や、日常生活の課題にも十分応用可能です。少しでも思考の自由度が高ければ、前提や思い込みにとらわれず、新たな価値を見いだせるはずです。一般に「頭の良い人」とは、理詰めで物事を考える人を指すことが多いですが、それだけが知性の指標でしょうか?

著者の野呂氏は、視点を柔軟に変えられる人こそ、本当に頭の良い人だと言います。なぜなら、視点を変えることで、身の回りの多くの課題を解決できるからです。

たとえば、タピオカブームによって、かつては全国各地に無数のタピオカ店が存在しましたが、次々と閉店していきました。現在では、日本からタピオカの店舗がほとんど消えたように感じます。しかし、「ゴンチャ」だけは生き残りました。そこには「視点を変える」戦略があったと野呂氏は指摘します。

「タピオカ」という言葉はすでに消費者に飽きられていましたが、「アジアンティー」と再定義することで、新たな市場を開拓する余地が生まれたのです。もともとタピオカは、ミルクティーなどのドリンクに添えられるトッピングの一つでした。それならば、「タピオカドリンク」ではなく「アジアンティー」という広い枠組みで商品を再定義すればよい、という発想で、彼らは顧客から支持されたのです。

視点を変えるとは、失敗を恐れないことでもあります。「いいアイデアを出そう」と肩肘張るよりも、「ダメなアイデアをたくさん出してみよう」と考える方がよいと野呂氏は提案します。できれば、常識外れの、ぶっ飛んだ案を次々と出していきたいものです。

100のアイデアを量産することで、良いアイデアが浮かんできます。どうせ100個考えるのであれば、「やんちゃな」「型破りな」「あり得ない」アイデアも積極的に出していきましょう。そもそも100ものアイデアを絞り出すとなれば、「正解」だけでは到底足りません。

自然と型にはまらない発想が求められるようになるのです。大切なのは、誰もが感心する「正解」を目指すのではなく、間違えてもよいから「数」を意識して出すことが重要です。

アウトプットのためには、インプットを徹底的に増やそう!

「自分の意見をうまくアウトプットできないと悩む人もいるが、それはたんにインプットしている情報が足りていないだけだ。インプットの量とスピードを増やせば、自然とアウトプットの量やスピードも増え、自分なりの考察が自然と湧き出てくるようになる。

インプットの量とスピードを増大させれば、アウトプットの量や質も自然と向上し、自らの解決策を生み出す力が高まります。 日々情報をインプットし続けることで、脳内では徐々に情報のネットワークが形成され、新たなアイデアが自然と湧き上がるようになります。

つまり、情報の「しきい値」を超えたとき、脳内で自発的なネットワーク構築が始まり、結果として自然なアウトプットが生成されるのです。 インプットの積み重ねによる経験は、あらゆる問題に直面した際に、「どうすれば解決できるか」を自然に考え始める思考パターンを作り出します。

その際、脳内の「知識の引き出し」から多様な情報を自在に取り出せるようになることで、異なる要素同士が結びつき、独創的なアイデアを量産できるようになります。

さらに、多様な分野からのインプットは、自らを「周囲とは異なる視点を持つ存在」として明確に位置づける力を育みます。この特性が新たな機会を自然に引き寄せ、結果として自身のポジショニングを高め、人脈の拡大や、他者からの尊敬の獲得へとつながっていくのです。

「点と点をつなぐ(Connecting the dots)」という発想は、短期的な利益を目的とせず、長期的視野に立った思考法を意味します。

スティーブ・ジョブズのエピソードが、これを象徴しています。彼はスタンフォード大学中退後、興味に従ってカリグラフィの講義に出席しました。当時は役立つかどうか分からなかったものの、後にMacを開発する際、美しいフォントデザインを可能にしたのは、カリグラフィの知識だったと語っています。 即時的な利益にはつながらなくとも、継続的なインプットによって蓄積された「点」は、ある日突然、大きな結実をもたらします。

著者は、「自分の知らない世界を知ること」こそが、真のインプットであると説きます。世間の評価や短期的な利益に左右されることなく、自らの興味と直感を信じて行動することが、独自の視点を築くための鍵となるのです。 したがって、インプットそれ自体を目的とし、日々努力を積み重ねることが重要です。

大量のインプットとアウトプットを習慣化することで、最終的には大きな成果や金銭的成功へと結びついていきます。 インプット量を増やし、知識の引き出しを豊かにすることで、要素と要素の結合は飛躍的に多様化し、思考の自由度は格段に高まります。

私自身も書籍や新聞、会員制メディア、旅といった多様なインプットに時間を惜しまず投資し続けていますが、これがアウトプットの量と質を向上させてくれています。 この習慣のおかげで、私の人生は格段に面白さを増し、ビジネスにも良い影響を及ぼしています。

本書は、斬新かつ刺激的な内容に満ちており、類書には見られない独自のオリジナリティを放っています。メールをできるだけ短くすることを推奨する著者は、自身のメールでも「何卒よろしくお願いします」を「何卒」だけに短縮して送ってくることがあり、本書もその言葉で締めくくられていて、思わず笑ってしまいました。

さらに、心理的安全性やポジショニングなど、ビジネスにおける最新の理論やフレームワークが、自然かつ分かりやすく盛り込まれており、読者に無理なく理解させる工夫が施されています。

中でも、クライアントを喜ばせるための具体的なアイデアは極めて実践的であり、私自身もぜひ取り入れていきたいと強く感じました。特に、「会議はデートである」というメッセージは印象的であり、今後もこの視点を忘れず、顧客体験の向上に努めていきたいと考えています。

最強Appleフレームワーク


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