1人起業家マインドセット 「好き」を「稼ぎ」に変えるすごい働き方 (與良だいち)の書評

gray computer monitor

1人起業家マインドセット 「好き」を「稼ぎ」に変えるすごい働き方
與良だいち
明日香出版社

1人起業家マインドセット 「好き」を「稼ぎ」に変えるすごい働き方 (與良だいち)の要約

連続起業家の與良だいち氏は、自らの経験をもとに、自分のビジョンや価値観を出発点に人生を再設計する「1人起業家」という新しい生き方を提案します。「仮決めで動く」「好きで稼ぐ自己洗脳」「他力を活かす」など、1人起業家の7つのマインドセットを軸に、ビジョンとコンセプトを具体化し、ニッチでも価値を創出する方法を丁寧に解説しています。

1人起業家マインドセットを身につけよう!

私は1人起業家を、
・好きなことをベースにして働き・仕事のゴール(ビジョン・目的)に向かって・自分を輝かせながら幸せに生きる人と定義しています。(與良だいち)

「好きなことを仕事にしたい」。それは、多くの人が一度は心に抱いた願いではないでしょうか?しかし現実には、「好きなことだけでは稼げない」「そんな働き方は一部の才能ある人だけの特権だ」と諦めてしまう声が後を絶ちません。日々の生活や家族の事情に追われながら、自分の本当の想いを封じ込めて生きる。そんな違和感を抱えながら日々を過ごしている方は、決して少なくないと思います。

私たちは、もっと自由で、自分らしい生き方をしてもよいのです。むしろ、自分の「好き」や「得意」を活かすことこそが、他者にとっても社会にとっても有益な価値をもたらす——本書1人起業家マインドセット 「好き」を「稼ぎ」に変えるすごい働き方は、まさにそのような世界観を私たちに示してくれます。

著者の與良だいち氏は、伊藤忠商事やアクセンチュア戦略グループでのビジネス経験を経て、2013年にクラウドベンチャー企業を創業。その後も発達障がい児支援やスピリチュアル眼鏡、仏教ジュエリーといった多彩な事業を展開し、「社会性」と「独創性」の両立を追求してきた人物です。彼の歩んできた軌跡には、単なるキャリアの成功を超えた、深い自己変革と未来創造の姿勢が貫かれています。

本書の主題である「1人起業家」とは、他人や組織に依存せず、自らの内にあるビジョンや価値観を起点に、小さく始めて大きく育てていく生き方です。ここで著者は、1人起業家を「好きなことをベースにして働き、仕事のゴール(ビジョン・目的)に向かって、自分を輝かせながら幸せに生きる人」と定義しています。この定義は、単なる職業的自立を超えて、自分自身の在り方そのものを再設計する試みであることを明確に示しています。

この生き方を実現するための実践的なマインドセットが、以下の7つです。
① 「仮決め」で軽やかに行動し、圧倒する
② 「好きな仕事で稼げる」と自己洗脳する
③ 「マイ辞書思考」で常識からはみ出す
④ 「圧倒的なビジョン」を生きるエネルギーにする
⑤ 「行動大好き主義」——やって、楽しんで、感じて、考えて、またやる
⑥ 「他力」を活かして共に幸せになる
⑦ 「バットを振り続ける勇気」を持ち続ける

これらは単なる精神論ではありません。すべて、著者自身の失敗も含むさまざまな体験に基づいた「未来を現実に変えるための型」であり、読者が日々の中で何度でも立ち返ることのできる指針です。特に、「仮決めで動く」「自己洗脳」「マイ辞書思考」のように、自分自身の意識と言葉を更新していくことが、未来を変える起点になると強調されています。

ビジョンとコンセプトもまた、本書の中核を成すテーマです。共感される起業家になるためには、単なる商品やサービスの設計にとどまらず、「どんな未来を創りたいのか」というビジョンと、「どんな視点からその未来を形にするのか」というコンセプトの両方を強く打ち出す必要があります。

その際、著者は「尖ったコンセプト」や「複数のアイディアを掛け合わせる」発想の重要性を説いています。ただの思いつきではなく、構造ある創造が人の心を動かすのです。

そして、このビジョンとコンセプトを社会実装していくためのプロセスとして、次の7つのステップが提案されています。
1、商品・サービスを「仮置き」する
2、ビジョンを「上にずらして」仮決めする
3、コンセプトを「横にずらして」仮決めする
4、商品・サービスを仮決めし直す
5、情報発信メディアを選ぶ
6、セールス・マーケティングの設計図を描く
7、集客して感動を届ける

このプロセスは、特に起業初期にありがちな「迷い」や「手詰まり」を解消するための、非常に具体的かつ柔軟な方法論です。完璧を求めるのではなく、仮の状態でよいからまず動いてみる。動く中でコンセプトを調整し、ビジョンを更新していく。そうした行動の積み重ねこそが、結果として唯一無二の事業と人生を形づくるのです。

また、本書では「ずらし戦略」や「ニッチスター戦略」といったユニークな考え方も提示されています。自分のビジョンを少し上にずらし、コンセプトを横にずらすことで、激しい競争を避けながらも、共感を呼ぶ独自のポジションを築く。そのアプローチは、マーケットにおいても人生においても、極めて実践的です。目立とうとするのではなく、ニッチな領域にあえて、はみ出すことで自然と目立ってしまう状態をつくり出すのです。

しかし、こうした変化を起こすためには、まず過去への執着を手放す必要があると著者は言います。私たちは起業を考えるとき、つい過去の失敗や挫折を振り返りがちです。「あの時うまくいかなかったから、今回も無理に違いない」といった無意識の思考パターンが、前に進む力を奪ってしまうのです。

著者は、「時間=命」であると断言します。限られた人生の時間を過去の問題解決に使うのではなく、未来の創造に使うべきだと強調しているのです。

1人起業家はビジョンを積極的に発信しよう!

1人起業家は、ビジョンに向かって未来を創造する生き方です。起業しようとするとき、僕たちはつい過去にばかり目を向けてしまいがちです。もちろん過去の経験や挫折を振り返ることは、気づきや学びを与えてくれます。

未来を創るうえで欠かせないのが、「他者とのつながり」です。本書では、1人起業家であっても、他人と協力することの重要性が繰り返し説かれます。自分の強みだけでビジネスを成立させるのではなく、弱みを補い合える関係性を築くこと。それが結果として、持続可能な成長と自由をもたらします。

そのときに鍵を握るのが、「かわいがられる人間になること」です。著者は、能力や実績以前に、応援される人格が大切だと説きます。素直であること、感謝を忘れないこと、そして子どものような無邪気さを持ち続けること。この3つがあれば、周りの人は自然とあなたを助けたいと思うようになるのです。

私自身も、ビジョンを発信することの力を体験してきました。断酒をきっかけに、さまざまな場所で「著者になります」と公言しました。そのとき、多くの人は冷ややかな反応を示しました。

しかし、私は発信をやめませんでした。繰り返し自分のビジョンを語り続けた結果、現実として出版のオファーが届いたのです。 この経験を通して、私は「肩書きは先に名乗ってよい」「自己成就宣言を繰り返すことが未来を引き寄せる」という確信を得ました。

それ以降、私は「社外取締役」や「大学教授」などのポジションも、先に言葉に出してから現実化してきました。発信は未来を創るための手段であり、宣言は自己変容のトリガーとなるのです。

多くの人は、「発信が苦手だ」と感じています。けれどもそれは、語るべきビジョンがまだ明確でないだけなのかもしれません。魂の底から湧き上がるような圧倒的なビジョンがあれば、情報発信は苦行ではなく、喜びとなると著者は指摘します。人は、自分の強い想いを届けたくて仕方がないとき、自然と発信を始めるものです。

ビジョンを発信することで、その想いに共鳴する人が必ず現れます。たとえニッチな領域であっても、「あなたの存在が必要だ」と感じてくれる人がいれば、そこには確かな価値が生まれます。提供しているサービスや想いに対して、「それに対価を払いたい」と思ってくれる人が1人でもいるなら、それはすでに立派なビジネスの始まりです。

誰かと同じである必要はありません。むしろ、自分だけの視点や経験、歩んできた道のりこそが、他者にとっての希少な価値になります。あなたにとっては当たり前のように感じることでも、それを必要とする人にとっては唯一無二のヒントや励ましになるのです。

しかも、1人起業家には、多くの人を雇ったり、大きな固定費を抱えたりする必要がありません。ある程度の収入が得られれば、ビジネスとしては十分に成立します。むしろ身軽であることが、柔軟なチャレンジと継続を可能にします。

そして、最初は小さな一歩でも、失敗や試行錯誤を通じて学びながら行動を続けることで、少しずつ応援してくれる人たちが現れます。共感は、誠実な発信と継続する勇気から生まれます。自分を信じて動き続ける限り、あなたのビジョンは、必ず誰かの人生と交差し、力になるはずです。あなたの「好き」は、誰かにとっての「価値」であることを忘れないようにしましょう。

本書は、単なる起業ノウハウを超えた「生き方の哲学」を提示しています。会社員でも、主婦でも、学生でも、年齢や性別を問わず、「好き」から始めて人生を変える道は、誰にでも開かれているのです。自分の人生に「何かが違う」と感じている方にこそ、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

そして何よりも重要なのは、まず一歩を踏み出すことです。行動の先にしか、新しい出会いも、成長も、ビジョンの実現も存在しません。あなたの内にある「好き」は、単なる趣味ではなく、社会に必要とされる価値へと進化する可能性を秘めています。

最強Appleフレームワーク

 

Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました