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明日の幸せを科学する
著者:ダニエル・ギルバート
出版社:早川書房
本書の要約
私たちは自分を独自の存在、つまり、ほかの人とはちがう精神の持ち主と考えているため、ほかの人の経験が教えてくれるはずの教訓をちょくちょく却下してしまうのです。他者の幸せな体験をもっと信じるられるようになれば、未来の予測もあたり、もっと幸せに生きられるようになります。
なぜ、未来の自分の幸せを予測できないのか?
唯一、人間という動物だけが未来について考える。(ダニエル・ギルバート)
なぜ私たちは未来の自分の幸せを正確に予測できないのでしょうか?その背景には、脳の錯覚や妄想があり、これらが私たちの予測を難しくしているとハーバード大学の社会心理学教授のダニエル・ギルバートは指摘します。
私たちの脳には未来を予想しているときは幸せを感じ、実際に経験すると満足できないという特性があるのです。
人は、未来を空想するとき、挫折した自分や失敗した自分より、やりとげた自分や成功した自分を思い浮かべる傾向がある。それだけじゃない。未来について考えるのがあまりに心地よいため、われわれは現実にそこへ行き着くより、それについてただ考えるほうを好むことさえある。
人はコントロールすることが好きで、コントロールする能力を失うと惨めな気分になり、途方にくれてしまうと言います。私たちは未来をコントロールできると考えると心地よくなれるのです。
そして、私たちの周りには様々な経験をした人がいて、彼らの話を信じれば、未来をコントロールでき明るくできるはずです。
コンサルタント、人生の手本となる人、グル、指導者(メンター)、おせっかい焼き、詮索好きな親戚がこれだけいれば、住む場所や就く職業や結婚する相手など、人生でとくに重要な選択と決断をするときに失敗することはなさそうなものだ。
しかし、平均的なアメリカ人は、7回以上引っ越し、10回以上職を替え、2回以上結婚しています。つまり、人は何度もまずい選択をしているのです。
他者の幸せな体験をなぜ信じられないのか?
人類全体が生きた図書館で、あらゆる物事を体験したときの気持ちが所蔵されているとすれば、図書力ードを持った人たちがまずい決断をいくつもするのはなぜなのでしょうか?著者は以下の2つの可能性を指摘します。
1、受けとるたくさんの助言がまずい助言で、人はおろかにもそれに従ってしまうから。
2、人が受けとるたくさんの助言はいい助言なのに、私たちがおろかにもそれを拒絶してしまうから。
私たちは人の話に耳を貸しすぎるのでしょうか?それとも、耳を貸す熱心さがたりないのでしょうか?
著者は本書の中で、想像には3つの欠点があることを明らかにしてきました。
■想像の欠点1・・・未来の出来事のあらゆる特徴や成りゆきを想像できる人はいないため、われわれは一部を検討し、ほかの部分は検討しません。問題は、検討しなかった特徴や成りゆきが重要な場合が少なくないことです。
■想像の欠点2・・・私たちは現在を未来に投影しガチです。想像が未来の絵を描くとき、多くの細部はどうしても欠けてしまい、この問題を解決するために、想像は現在から借りた細部で隙間を埋めます。
■想像の欠点3 物事がいったん起こると、思っていたのとちがって見えるようになるのに、前もってそれに気づかないことです。とくに、それが悪いことだと、はるかにいいことに思えてきます。
想像するのに必要な情報を奪われ、他者を代理人として立てざるをえなくなると、未来の感情について驚くほど正確な予測ができるようになります。
自分のあすの感情を予測する最良の方法は、ほかの人がきょう、どう感じているか見ることだとわかる。この単純な方法の鮮やかな力を知れば、だれもが努めてこの方法を使うと考えていいはずだ。ところがそうではない。
その理由は、自分が人より優れていると考えるからです。他者の選択を信じようとしないのは、その人の好みが反映されていると捉え、自分を特別な人と信じているからです。
私たちは自分を独自の存在、つまり、ほかの人とはちがう精神の持ち主と考えているため、ほかの人の経験が教えてくれるはずの教訓をちょくちょく却下してしまうのです。他者の幸せな体験をもっと信じるられるようになれば、未来の予測もあたり、もっと幸せに生きられるようになります。本書の豊富なケーススタディを知ることで、なぜ、人間が未来をうまく予測できないかを理解し、自分の行動を修正できるようになります。
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