リベラルアーツの学び方(瀬木比呂志)の書評

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リベラルアーツの学び方

瀬木比呂志
ディスカヴァー・トゥエンティワン

本書の要約

リベラルアーツを学ぶことで、人生のさまざまな時点における新たな選択肢が広がります。変化が激しい時代には、どんな領域の仕事であっても、日々成長することが欠かせなくなっています。リベラルアーツによって理解する力、思考する力、課題を発見する力が養えます。

なぜ、今リベラルアーツが必要なのか?

実践的な意味における生きた教養を身につけ、自分のものとして消化する、そして、それらを横断的に結び付けることによって広い視野や独自の視点を獲得し、そこから得た発想を生かして新たな仕事や企画にチャレンジし、また、みずからの人生をより深く意義のあるものにする、そうしたことのために学ぶべき事柄を、広く「リベラルアーツ」と呼んでよいと思います。そのような意味におけるりベラルアーツは、自然・社会・人文科学のみならず、広い意味での思想、批評、ノンフィクション、そして各種の芸術までをも含むでしょう。(瀬木比呂志)

ギリシア・ローマ時代から、人は精神を自由にする学問である「リベラルアーツ」を学んできました。当時のインテリは、自由七科(文法、論理、修辞、算術、幾何、天文、音楽)を幅広く学び、自由人として生きることを楽しんでいたのです。

日本の教育は明治以来の富国強兵政策を実現するためのプログラムの延長線上にあり、自分で考える力を育むことが難しくなっています。解答が一つの時代にはこの教育でも良かったのですが、課題を発見し、それを解決することが求められる時代には、このプログラムはそぐいません。答えのない現代のようなVUCAの時代の今こそ、リベラルアーツが価値を持つようになってきたのです。

多様性が当たり前になり、海外でのビジネスが増える中、人との関係がとても重要になります。その際、知識だけではコミュニケーションがうまくいくわけがありません。多様な知恵と経験が人間力を高め、相手との信頼関係を築けるようになります。

人間は、日々の生活のルーティーンの中で、惰性に従い、新たな学びをやめてしまいます。自分の狭い世界における「方法」、すなわちものの見方、考え方、感じ方を唯一絶対のものとしてしまうことで、自分の可能性を閉じてしまいます。 思考形態や方法意識において進歩がなければ、思考や感性を硬直し、やがては変化する世界との溝を広げてしまいます。

考える方法や感じる方法の生きた蓄積であるりベラルアーツは、私たちが発想し、自分の道を切り開いてゆくための基盤になります。

獲得してきた知識や情報を断片的な形にとどめず、横断的で幅広い思考の基般皿とすることができたなら、また、それらの知識をより深みと広がりのあるものにするための思考の方法や枠組み、発想の方法を知ることができたなら、①パースペクティヴ、すなわち広がりと奥行きのあるものの見方と、②ヴィジョン、すなわち洞察力と直感により本質をつかむものの見方(これらは僕自身の定義です)、その双方を獲得することができ、その結果、もっている能力を存分に生かすことが可能になるでしょう。

リベラルアーツは知識、生きた、実践的な教養です。独自のパースペクティヴ、ヴィジョン、価値観、人生観、世界観、人間知の 基盤となるような教養だと著者は指摘します。
・人のいうことを正確に理解する力
・自分で考える力
・新たな重要課題、すなわちアジェンダを設定する力
などがリベラルアーツの蓄積によって、育まれます。

リベラルアーツが自分の可能性を高めてくれる!

リベラルアーツを学び続けることは、人生に新たな局面を切り開くための最も有効な投資ともなりえます。そして、何よりも重要なのは、リベラルアーツを学ぶことで、僕たちが僕たち自身の人生をより充実した意味深いものにしてゆくのが可能になることでしょう。

リベラルアーツを学ぶことで、パースペクティヴ(広がりと奥行きのあるものの見方)とヴィジョン(洞察力と直感により本質をつかむものの見方)の双方を身につけることができ、 物事や世界をみる眼が深くなり、新たな発想や独自のひらめきを得られるようになります。

最強の武器(リベラルアーツ)を手にすることで、著者は多くのメリットを享受したと言います。
①生きる力
リベラルアーツから学んだ力によって、私たちはGRIT(あきらめない力)を育め、自分の人生の可能性を広げられるようになります。

私も多くの著者の書籍を読むことで、GRITを育くめました。失敗を繰り返しても、人はあきらめないことで多くの果実を得られます。さまざまな著者の思考や体験を書籍から吸収し、それを自分ごと化することで、私は生きる力を得られました。

②生きる楽しみ、考え、感じる喜び

人生を生きることには、現実の人生を生きることと、書物や作品の受容、創造(受容には、受容する人間による創造的 な働きかけの側面も含まれます)といういわば心の中の人生を生きることとがあると思いますが、リベラルアーツに接することは、後者の世界を充実させることであり、そこで、現実の人生から受け取ることのできる価値とは異なった価値を受け取ることです。

著者は本を読む、音楽を聴く、映画を見るといった行為は、友人との充実した時間を過ごすのと同じような価値があると言います。人生の中で、文化的な体験を重ねることで、自分の可能性を広げてくれます。生きることが楽しきなり、人生をよりエンジョイできるようになります。

裁判官である著者は研究と執筆によって、転職の機会を得たと言います。執筆などの副業や転職によって、人生の後半戦の可能性が広がります。私も本を出版し、SNSやブログで情報発信を重ねたことで、サラリーマンを辞め、社外取締役やアドバイザーに転身するきっかけをもらえました。リベラルアーツに接する時間を増やすことで、アンテナが広がり、新たなチャンスが見つかるようになります。

アメリカでもリベラルアーツの重要性が再認識されています。アメリカの政財界やスタートアップ・ベンチャーの成功者には、少人数でリベラルアーツを深く学ばせることを目的としたリベラルアーツカレッジで学んだ人々が非常に多くなってきていると言います。リベラルアーツカレッジは、学生数が数千人程度の小規模規模校がほとんどで、卒業生数はアメリカ全体の大学卒業生数の3%でしかありません。しかし、全米企業のCEOに占めるリベラルアーツ・カレッジの卒業生は8%にアップし、彼らの能力の高さを示しています。

結局は大学を出た後も、学び続ける姿勢を持つことが重要で、それが個性を育み、自分を唯一無二の存在にしてくれます。リベラルアーツを一生涯学ぶことが、自分という存在を強化してくれるのです。

リベラルアーツを学ぶことで、人生のさまざまな時点における新たな選択肢が広がります。変化が激しい時代には、どんな領域の仕事であっても、日々成長することが欠かせなくなっています。リベラルアーツによって理解する力、思考する力、課題を発見する力が養えます。

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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