最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM(山田悠史)の書評

white dog walking on forest trail

最高の老後 「死ぬまで元気」を実現する5つのM
山田悠史
講談社

本書の要約

Mobility、Mind、Medications、Multicomplexity、Matters Most to Meという5つのMのレンズを通せば、健康寿命を伸ばすための最善の「選択」ができます。歩くこと、栄養に気を使うこと、睡眠の質を高めること、生活習慣をよくすること、いきがいを持つことで、最高な老後を過ごせます。

高齢者は5つのMを意識すべき!

5つのMのレンズを通せば、元気に生きるための最善の「選択」をしてきたのだということが見えてきます。もちろん、最終的にはあなたらしい生き方こそが「最高の老後」を導くと思います。そして、それはあなたにしかできないことだとも思います。(山田悠史)

病気にならずに健康な最期を無かるために、どう生きればよいのでしょうか?健康寿命を伸ばし、最後の10年を人の助けを借りずに、健康に暮らすためには、「5つのM」を意識すべきだと述べています。
・Mobility からだ(身体機能)
・Mind こころ(認知機能、精神状態)
・Medications くすり (ポリファーマシー)
・Multicomplexity よぼう(多様な疾患)
・Matters Most to Me いきがい(人生の優先順位)

Mobility(身体機能)を維持することが、健康の第一歩になります。健康寿命を伸ばすためには、運動を習慣化するとよいことがわかっています。運動は死亡、心血管疾患、高血圧などのリスクを低下させます。肺がん、乳がん、膵臓がんなど、少なくとも8種類のがんのリスク低下との関連も示唆されているのです。

また、座っている時間が長いほどがんのリスクが増加するという関連性が示されています。座り続けることが、病気のリスクを高めるのですから、健康になりたければ、積極的に歩くことを選択すべきです。

運動は病気のリスクを下げるだけではなく、認知機能や生活の質、睡眠の質を改善してくれる効果も期待できます。

イギリスで行われた研究では、40歳以上の約万3000人を対象として、まったく運動をしない人、週に150分未満の運動をしている人、週末にだけ、合計最低150分程度の運動をしている人、そして週に3回以上の頻度で合計150分以上の運動をしている人に分けられました。(※ウォーキング軽い水泳、芝刈りといった軽い運動も含む)

まったく運動をしていない人と比較したときに、週に150分未満の運動をしている人や、週末にだけ運動をしている人でも死亡リスクが約6~7割に減少するという相関が見られました。  

40歳以上の人を対象に、歩数と死亡率の関連を検討した研究によると、1日あたりの歩数が2000歩から4000歩、6000歩と増えるにつれて、死亡率が低下していくことが明らかになりました。年を重ねても、1日1万歩を目標に歩き続けることで、健康寿命を伸ばせるのです。足は高齢者の健康に大きな影響を与えます。足を使う=歩くことを習慣化して、健康寿命を伸ばしましょう。

当然、食生活も健康に影響を及ぼします。適切な運動と適切な栄養を組み合わせることで、体の機能、健康が維持されます。

最高の老後を目指すために必要なこと

2021年4月に報告された睡眠と認知症に関する研究は、8000人ものデータを集めたため、とても精度が高くなっています。被験者を50歳のときから25年間追いかけ、睡眠時間の長さによって認知症の発症について検証したのです。

平均の睡眠時間が6時間以下の人をショートスリーパー(短時間の睡眠)、7時間の人をノーマルスリーパー(通常の睡眠)、8時間以上をロングスリーパー(長時間の睡眠)としました。中高年の時期にノーマルスリーパーの人はショートスリーパーの人よりも認知症のリスクが低下しました。

また、平均の睡眠時間が4時間、5時間、6時間と延びるにつれて認知症のリスクが低下していく負の相関関係が7時間まで見られました。7時間より睡眠時間が短いほど、認知症を発症するリスクが増えていくと考えれますから、7時間の睡眠時間を確保しましょう。

高齢者になると多様な疾患を抱える人が増加します(Multicomplexity)。米国からの報告では、65歳以上の8割の人に少なくとも一つ以上の慢性疾患が、5割の人に二つ以上の慢性疾患があるとされています。

加齢とともに体や心の不調になり、社会的なサポートを必要とすることが多くなります。Multicomplexityになると行動が制限されますから、老後を楽しく生きるために、病にならないための予防を実践することが重要になります。

脳卒中、がん、心疾患、肺炎などが、入院したり命を落としたりする理由になっています。これらの病気を予防するれば、健康寿命を伸ばせます。

これらの病気の多くは要因が明らかになっていて、生活習慣にも密接に関連するものです。すなわち、高血圧、糖尿病、コレステロール、喫煙のような問題をしっかり予防、治療し、がん検診でしっかりとがんを早期発見し、ワクチンで感染を予防する。このような対応により、多くの病気から体を守ることができそうだということが見えてくるのではないでしょうか。

本書の「5つのM」を意識し、病気にならず、いつまでも自分で歩ける「最高の老後」を目指しましょう。老年医学のスペシャリストのエビデンスに基づいたアドバイスは、健康情報が巷に溢れる中、とても参考になりました。

 


この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
徳本昌大 Amazonページ >
 

徳本昌大をフォローする
習慣化食事書評生産性向上その他ウォーキングライフハック健康睡眠運動
スポンサーリンク
徳本昌大をフォローする
Loading Facebook Comments ...

コメント

タイトルとURLをコピーしました