ブレイクスルーブランディング(長田敏希)の書評

black and white wall art

ブレイクスルーブランディング
長田敏希
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

本書の要約

ブレイクスルーブランディングは、企業が直面するさまざまな問題を解決し、経営的に成功するための手法です。その基本的なアプローチは、経営者や従業員との対話を通じて、企業の創業の思いやビジョンを共有し、具現化していくことです。結果、共感する顧客がファンとなり、応援してくれることで、売上・利益がアップします。

ブレイクスルーブランディングとは何か?

ブレイクスルーブランディングとは「ブランドの持つリソースや価値を集約させることで、今まで解決できなかった課題や問題の壁を突破し、成長を加速させていくこと」だと私たちは定義しています。(長田敏希)

「ブレイクスルーブランディング」とは、小さな会社や老舗企業が業界から注目を集め、成長を遂げるための新しいブランディングの手法です。この手法を活用することで、理解者、共感者(ファン)を増やすことができます。実際、街のお米屋や老舗のうどん店が売上を伸ばしていると言います。

ブランドコンサルタントである長田敏希氏は、小規模企業や中小企業に対して、ブレイクスルーブランディングのアプローチを提案しています。広告会社のデザイナーだった著者は経営を学ぶためにスクールに通い、ブランド・マネージャー認定協会の講座を受講し、1級資格を取得するなど、幅広い知識と経験を得ながら、独自の手法を作り上げていきます。

ブレイクスルーブランディングの特徴は、従来のブランディング手法とは異なり、小さな予算や限られたリソースでも効果的にブランドの成長を実現することができる点です。そのため、中小企業にとっては非常に魅力的な手法と言えます。

この手法の成功の鍵は、顧客の心に響くストーリーテリングや独自性のあるアイデンティティの構築にあります。ブレイクスルーブランディングでは、企業が持つ独自の強みや特徴を最大限に活かし、競合他社との差別化を図ります。 また、デジタルマーケティングやソーシャルメディアの活用も重要な要素です。

私たちのブランディングは、丁寧な対話を積み重ねながら自社の本質的な魅力を見つけ、それを揺るぎない軸作りにつなげていきます。特に大切にしているのは、現地の様子や、現場で働いている人の声を一つひとつ集めていくことです。

ブレイクスルーブランディングの基本は「対話」です。経営者の創業の思いや今後どうありたいかなどを対話によって見つけ出し、それを具現化する過程が重要であると強調されています。

ブレイクスルーブランディングは、企業が直面するさまざまな問題を解決し、経営的に成功するための手法です。その基本的なアプローチは、経営者や従業員との対話を通じて、企業の創業の思いやビジョンを共有し、具現化していくことです。 対話を通じて、経営者の創業の思いや今後のビジョンを明確にすることは、ブレイクスルーブランディングの重要なステップです。

経営者が自身の思いを率直に語り、従業員とのコミュニケーションを通じて共有することで、企業の方向性や目標が明確化されます。 また、対話を通じて従業員の意見やアイデアを取り入れることも重要です。従業員は現場での経験や知識を持ち、企業の課題や改善点を見つけることができます。そのため、彼らの意見やアイデアを積極的に受け入れ、共創的な対話を行うことがブレイクスルーブランディングの成功につながります。

中小企業は、限られた予算の中で効果的な広告やプロモーションを展開する必要がありますが、インターネットの普及により、低コストかつ広範なターゲット層にアプローチすることが可能になりました。

継続的にブランディングを行うことで、理解者、共感者が増え、SNSでも注目されるようになります。やがてはメディアに取り上げられ、ブランド価値が高まっていくのです。SEOでも効果が出ることで、検索順位も上がり、サイトへの来訪者が増え、結果、売り上げがアップするのです。

ブレイクスルーブランディングの5つのステップ

皆で「本気でやりたい」ことを言語化すると、業界初や自社初といったチャレンジが生まれてきます。このチャレンジの積み重ねが、独自の道につながるのです。最初に立ちはだかる「社内の壁」が、「常識の壁」「組織の壁」。ブランド・アイデンティティを制作する過程で、これらを壊せると自社や自分に対する社員の認識が変わります。

経営者が本気でやりたいことを言語化し、社内や関係者で共有することで、独自のブランドストーリーや新たな商品が生まれてきます。さまざまな壁を乗り越えることで、独自のブランディングがスタートします。

自社の思いを戦略に変える中で必要なことは、「機能的価値」だけでなく、「情緒的価値」の表現です。「情緒的価値」とは、お客様のポジティブな感情を喚起する、さまざまな特質のことです。 「見たことない!」「新しい!」という魅力的な情報をストーリーとして発信することで、コンセプトへの共感が得られ、新たな顧客が生まれます。

ブランディングは、こうした魅力的な付加価値を実現して「高くても、ほかにはないから買おう」「高いお金を支払う価値がある」「価格は気にならない」という顧客の認識を創り出します。

ブレイクスルーブランディングの5つのステップ
ステツプ1 情熱の深掘り
理念、経営者、社員の志の深掘り

ステツプ2 価値観・判断基軸の言語化
・チーム選定/チームでの共通言語をつくる
・市場機会の発見(情緒的な価値×機能的な価値)
・見込み客の選定
・独自ポジション
・ブランド・アイデンティティ(判断軸)

ステツプ3 具現化
・ブランドメッセージ(魅力を文章化)
・ブランド要素の見直し
・ブランド体験(お客様をファンにさせる仕組みづくり)

ステツプ4 ブレイクスルー商品・サービスの開発
・メイン商品選定(売上・利益を生み出す)
・サポート商品選定(売上・利益をサポートする)
・ブレイクスルー商品・サービスの開発(ブランドの価値観を強く体現し、市場にインパクトを生む商品やサービス)

ステップ5 社内外への発信 ・理念、経営者、社員の志の深掘り
・社内発表&社内浸透
・プレスリリース(メディアへの発信)

ブランディングにおける顧客との接点は、企業や自治体が顧客とどのようなコミュニケーションを取るかを考える上で非常に重要です。顧客はいくつかの顧客接点を経て商品やサービスの購入に至ります。これらの接点は多様であり、公式ホームページ、プログ、SNS、広告、パブリシティ、ECサイト、実店舗、購入後のステップメール、展示会やショールーム、セミナーやイベントなどがあります。

顧客接点の中で、顧客から信頼と愛着を獲得するためには、丁寧に顧客体験を設計する必要があります。顧客はそれぞれの接点で企業や自治体のブランドを認識し、その体験や情報を通じてブランドに対する感情や評価を形成します。

すべての接点でコミュニケーションを行おうとすると、膨大な予算や人的リソースがかかります。そのため、ブランド・アイデンティティを指標にして、優先順位を考えることでリソースを集中させる必要があります。

企業や自治体は自身のブランドイメージを明確にし、顧客がどの接点でどのような体験や情報を求めているのかを把握することが重要です。顧客のニーズや行動パターンに合わせて、有効な接点を選択し、顧客がブランドに対してポジティブな感情や評価を持つような体験を提供することがブランディングの目的です。

本書には、ブレイクスルーブランディングを活用した小さな会社の成功事例が紹介されています。彼らは、独自のブランドストーリーやデザイン、コンテンツを通じて顧客の共感を得ることに成功し、業界内で注目を浴びることとなりました。彼らは顧客のために自社の強みを磨き、ブランディングを変える決断を行い、さまざまな壁を乗り越えていったのです。

ブレイクスルーブランディングは中小企業にとって大きな成長のチャンスをもたらす手法です。限られた予算やリソースを最大限に活用し、独自性を追求することで、競争力を高めることができます。中小企業経営者は、ブレイクスルーブランディングの考え方を取り入れ、自社のブランドを成長させるための戦略を練ることが重要です。

この記事を書いた人
徳本

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数
iU 情報経営イノベーション専門職大学 特任教授 

■著書
「最強Appleフレームワーク」(時事通信)
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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