エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール (今瀧健登)の書評

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エモ消費 世代を超えたヒットの新ルール
今瀧健登
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)

本書の要約

Z世代はSNSやインターネットを積極的に利用して情報を伝えたり共有したりする傾向があります。彼らに対して効果的な広告やキャンペーンを展開することで、彼らが情報を広めることで他の世代にも広がっていく可能性が高まります。ハッピーな共感=エモ消費を意識し、マーケティングに取り入れることで、Z世代を味方にできます。

Z世代を動かすエモ消費とは何か?

Z世代を入り口にマーケティングを行うことで、全世代に向けた発信ができる。(今瀧健登

Z世代は現在、社会で大きな存在感を示しており、その消費力や影響力がますます注目されています。そのため、企業やブランドはZ世代をターゲットにしたマーケティング戦略を展開することが求められています。 Z世代を入り口にマーケティングを行うことで、全世代に向けた発信ができるというメリットがあると「Z世代の企画屋」の今瀧健登氏は指摘します。

Z世代はテクノロジーに精通しており、SNSやインターネットを積極的に利用して情報を発信し、共有する傾向があります。そのため、Z世代に対して効果的な広告やキャンペーンを展開することで、彼らが情報を拡散し、他の世代にも広がっていく可能性が高まるからです。

また、Z世代はマーケティングに対して非常に敏感であり、個性や体験に価値を置く傾向があります。彼らは単なる商品の購入だけでなく、ブランドのメッセージや理念に共感し、ブランドとの関わりを求めることが多いです。そのため、Z世代に対しては単なる広告ではなく、ストーリーテリングや体験を通じたマーケティングが重要となります。

さらに、Z世代は社会的な問題や環境に対しても関心を持ち、持続可能性や社会貢献を重視する傾向があります。企業が持つ社会的な価値や取り組みに共感することができれば、彼らはそのブランドに忠誠心を持ち、支持をする可能性が高まります。

Z世代はどんなことをシェアの基準にするかというと、「エモ」です。 エモとは、ひと言で表せば「ハッピーな共感」です。 商品やサービスそのものではなく、それらを消費することで小さな幸せを得ることができる。そうしたメッセージへの共感が彼らにとっての「買う理由」になり、多くの人へとシェアする動機となります。

現代のような物が豊富な時代において、商品の価格や機能だけを前面に出しても、Z世代の心を捉えるのは難し久那ています。Z世代は単に商品を所有するだけでなく、その商品に共感し、幸せを感じたいと考えています。瞬く間に変わるトレンドの中で、一つの大きなヒットの要因は「エモ」、つまり「ハッピーな共感」だと著者は述べています。

Z世代は、自己表現やアイデンティティの形成に重きを置いています。彼らは他の人と差別化し、自分自身を他者にアピールしたいという欲求を持っています。そのため、彼らが「この商品を持っていれば幸せを感じる」という感情を持たせるアプローチが、購入の決め手となるのです。

「エモ消費」とは、商品やブランドが顧客の感情や共感を喚起することを指します。この消費行動は、若年層の間で特に注目されています。例えば、商品のデザインやパッケージングにこだわり、個性や感性に合わせたアイテムを提供することが重要です。また、商品の使用方法や体験において、顧客が楽しみや喜びを感じられるような工夫が求められます。

エモ消費を促す方法とは?

著者は本書でマーケティングにおけるZ世代の重要性を明らかにしています。
・Z世代はこれからの消費の中心となる層で、強い拡散力を持つ
・Z世代に刺さる発信ができれば、全世代に拡散する
・Z世代は広告が嫌い
・Z世代は自分にとっての「買う理由」を探している
・小さな流行が多発する時代に合わせて、マーケティングも分散すべき  

実際、私も大学の講義でZ世代と日々コミュニケーションをしていますが、彼らは他の世代と異なる感性を持っています。特に、彼らにはマスメディアでの広告が効かないことを日々実感しています。

この課題をすべて解決し、Z世代を動かす秘策が「エモマーケティング」だと著者は言います

エモマーケティングは、エモを感じるシチュエーションを伝えるものであり、商品の魅力を伝えるものではありません。ということは、エモは商品を選びません。直接的にエモを生み出しやすい商品とそうではない商品もありますが、最低限の機能を備えていれば、商品でもサービスでも、店舗ビジネスでも、基本的にはどんなものでも応用できます。

エモーショナルマーケティングは、お客様の心に響くストーリーテリングや感情的な要素を取り入れることで、商品やサービスの魅力を高め、購買行動を促進します。ただし、エモーショナルマーケティングは単なるトレンドや流行ではなく、お客様の本当のニーズや欲求に応えることが重要です。お客様の心をつかむためには、彼らの感情に寄り添い、真の価値や意味を提供することが必要です。

・エモが生まれる3つの条件
①経験があること
②ハッピーを感じること
③コミュニケーションがあること

著者はエモを考えるために以下の3つのステップを踏むとよいと言います。
①ターゲットグループにヒアリングして、どんなときにエモを感じるかを探る
②ヒアリングした内容などから、商品にひも付くエモシチュエーションを考える
③考えたエモシチュエーションをターゲットグループにぶつけて、反応を確かめる

エモシチュエーションを取り入れるためには、以下の3つのアプローチから考えるとよいでしょう。
①商品そのものを感情と結びつける
・機能的な特長を感情的な価値に変換する
・気軽なハッピーなコミュニケーションを付加する

②ターゲットのエモシチュエーションをベースにする
・ターゲットが感じるエモシチュエーションを商品とどのように結びつけるか考察する
・まずは様々な案を出し、実用性は後から評価する

③商品とターゲットの関係性から探る
・商品に対するターゲットの思い出や感情を探る
・「経験」「喜び」「コミュニケーション」というキーワードを中心に、具体的な背景やエピソードを深堀りする

これら3つのアプローチを通じて、商品とターゲットとの強い結びつきを生み出すことができます。

エモ消費においては、単なるトレンド追いや若者向けの商品開発に終始するのではなく、顧客の本当のニーズや価値観に寄り添った提案が求められます。商品やブランドが持つストーリーやメッセージが、顧客との共感を生み出し、長期的な関係を築くことが重要です。

「エモ消費」は、顧客の感情や共感を重視し、商品やブランドが提供する価値を通じて顧客の心を捉える消費行動です。現代のZ世代にとって、単なる商品の価格や機能だけではなく、商品とのエモーショナルなつながりを求める傾向があります。そのため、マーケティング戦略においては、顧客のニーズとマッチするようなアプローチを取り入れることが重要です。


 

この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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