丹羽真理氏のパーパス・マネジメント―社員の幸せを大切にする経営の書評

習慣化

仕事をする中で、喜びを感じられれば幸せです。喜んで仕事ができれば、いい結果につながりやすいでしょう。それは自分のためであり、会社のためにもなります。仕事をするのも他の何かをするのも、「自分の幸せのため」というのが基本ではないでしょうか。どんなことも、どうせやるのなら、少しでも愉しめたり喜べたりしたほうがいいでしょう。そのためには、「愉しむ工夫をする」「喜んでやる」というようなことと、「心のゆとり」「ちょっと力を抜く」「遊び心」というようなものが大切なのではないでしょうか。(本田宗一郎)

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社員の幸福度が直接業績に比例する?

丹羽真理氏のパーパス・マネジメント――社員の幸せを大切にする経営の最終章に本田宗一郎の言葉が紹介されていました。本田宗一郎は仕事の中に喜びや幸せを見つけることが重要だと喝破していたのです。現代のCHO(Chief Happiness Officer)が語っているようなことを何十年も前に宗一郎が指摘していたことに私は驚きを感じました。

私たちは幸せに働くことで、生産性を高めることができますし、会社を成長させられるのです。著者は会社のPurposeと個人のPurposeが一致すると社員は幸せになり、会社の業績が上がると述べています。宗一郎が世界のHONDAを目指していた時に、社員もそのための技術を高める努力を重ねていました。全社員がPurposeを持ち、幸せだったからホンダは世界のブランドになれたのです。

会社組織のPurposeとそこで働く個人のPurposeが一致していると、社員はいきいきと幸せに働くことができます。社員が幸せだと、会社の業績は間違いなく上がるのです。ですから、わたしは会社を発展させていく上では社員の幸せが、最も重要ではないかと考えています。(丹羽真理)

丹羽氏は「働き方改革」の本質は、誰もが幸せに働くこと=「幸せ改革」にあると考えています。 企業活動を発展させたいというときに、一番大事なのは、社員が仕事にやりがいを見いだしたり、楽しいと思えたり、会社が好きと思えるような熱意を持って仕事をしているかが問われます。社員が会社に「幸せ」を感じられなければ、会社は成長できなくなっているのです。 

社員の幸福度が上がると、イノベーションを生みだす力が大きくなります。イノベーションが生まれれば、他社との競争にも優位に立てますし、利潤が大きくなり、賃金などの付加価値も上がり、結果的に生産性が高くなるのです。

デンマークのWoohoo社は幸せが会社を強くすると考え、「幸せを測る質問項目」で企業をコンサルしています。
口どのくらい幸せに働くことができましたか?
口どれくらいの熱意を持って働くことができましたか?
口仕事を行う際にどの程度自分の強みを活かせましたか?
ロー緒に働いている人にはどんな気持ちで向き合えましたか?
口直属の上司にはどんな気持ちで向き合えましたか?
口お互いに心配りをすることができましたか?
口感謝されたり認められたりしましたか?
口心身の状態は良好でしたか?
同社のクライアントは、こういった問いを毎週継続的に行い、集計し、改善を図っていきました。クライアントの社員の幸福度は向上し、結果的に会社の業績も上向いていくことがわかったのです。まさに社員の幸福度が直接業績に比例しているのです。

 

社員が幸福になるために4つの要素

様々な調査結果から幸せが生産性を高めることが明らかになりました。

■幸福度の高い社員の生産性は31%高く、創造性は3倍高い
■幸せな気持ちで物事に取り組んだ人は、生産性が約12%上昇する
■幸福度の高い医者は、そうでない医者と比較して平均して2倍のスピードで症状を分析し正しい診断を行う
■幸福度の高い人は、視野の広い考えやアイディアを思いつきやすくなる
■持った人は、視野が広く、情報処理能力が高くなる
■幸せな人は、健康、教育、政治、宗教などの組織で、チャリティや奉仕などのボランティアを行う傾向が高い
■仕事を行う際にポジティブな感情を示す人は、親切で同僚を助けるなど、仕事上すべきこと以上の行動をする傾向が高い
■ポジティブな感情を示す人は、他の社員を助け、組織を守る傾向が高い
■楽観的な生命保険工一ジェントは、そうでない人と比較して売上が37%高い
■人生満足度の高い従業員が働いている小売店の店舗面積利益は他店のそれより21ドル高く、小売チェーン全体では利益が3200万ドル増えている
■人生満足度の高い社員は顧客から高い評価を得る可能性が高い
■幸せなリーダーを持つサービス部門は、高いグループパフォーマンスを上げ、顧客からも高い評価を受ける
■楽観的なCEOは、パフォーマンスが高く、経営する会社への投資のリターンも大きい
■製造業においてポジティブな影響を与えるCEOがいる組織には、自分自身を幸せで健康的と評価した従業員が比較的多い
■最も幸福な従業員は、最も幸福でない従業員より、活力を感じる時間が65%増える
■幸福度の高い社員は、仕事への疲弊をあまり見せない傾向がある
■ポジティブな感情を持つ人は、そうでない人と比較して、ストレスによって生じる身体的変化(血圧や心拍の上昇)から速やかに回復する傾向がある
■ポジティブなムードで仕事をしている人は、仕事で燃え尽きにくい

これらの結果を見れば、経営者や従業員の幸福度を高めるべきだということがわかるはずです。

「努力→成功→幸せ」というのはもはや古い考え方で、「幸せ→努力→成功」である、という見方の方がより科学的であるのです。 社会的な意義も兼ね備えた組織のPurposeと個人のPurposeとに重なりが多い方が、個人も幸せで、組織の生産性が高まります。

経営者は幸せな社員を増やすことを考えた方がよく、CHOが注目されるようになったのもここに理由があるのです。

幸せな社員を増やすために、経営者、CHOが忘れてはいけない4つの要素を丹羽氏は紹介しています。
Purpose(パーパス=存在意義)
Authenticity(オーセンティシティ=自分らしさ)
Relationship(リレーションシップ=関係性)
Wellness(ウェルネス=心身の健康)

「自分が意義を感じられる仕事を、自分らしく、周囲とよい関係を築きながら、実現できること。そのための土台として心身の健康が備わっていること」を多くの社員が実践できれば、会社は強くなります、会社は社員がそうなるための手助けをすべきです。

「この仕事は自分の価値観に沿った意義のある仕事だな(Purpose)」「自分の強みを活かして工夫してみよう(Authenticity)」「自分はこのチームで大切にされているな(Relationship)」と社員が感じ、心と体の健康を保てる組織が良い会社で、そういった組織に幸せな社員が集まってくるのです。会社のPurposeが社会的に価値のあるもので、自分のPurpose と近く、自分の強みを活用できれば、組織の中で存在感を示せます。上司が部下の力を引き出し、良いチームを作れれば、社員はその組織の中に幸せを見出せます。幸せな社員が増えれば自ずと業績が上がります。幸せな社員を増やすための4つの要素を意識した経営を行いましょう。

まとめ

幸福な社員は生産性が高く、周りの社員との関係もよく、会社の成長にも欠かせません。最近では、幸せな社員が多い会社は業績が良いことがわかってきました。経営者はモチベーションを高める施策を考えるより、幸せな社員を増やすことを考えた方がよさそうです。社員がPurpose(パーパス=存在意義)、Authenticity(オーセンティシティ=自分らしさ)、Relationship(リレーションシップ=関係性)、Wellness(ウェルネス=心身の健康)の4要素を持てるようにすることが経営者の重要な仕事なのです。

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