大村大次郎氏の『お金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」』 の書評

いつの世も官僚機構というのは、年月がたてば腐っていくものである。(大村大次郎)

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役人が腐敗すると国家が滅ぶ?

最近、自分の知識を広げるために、歴史の本を読むことが増えています。特に世界史をしっかりと学びたくなり、Kindleで数冊本を仕入れました。その中の一冊が、大村大次郎氏のお金の流れでわかる世界の歴史 富、経済、権力……はこう「動いた」 でした。

元国税調査官の大村氏が5000年の国家の盛衰を調べたところ、権力者とお金の関係が明らかになってきました。特に、徴税がうまくいかなくなると、国家が破綻するという共通項を著者は見つけました。3000年も続き、盤石な国家であったエジプトも国民に重税を課したことが仇になりました。税負担に耐えられない農民が次々と逃げ出し、ナイル川の堤防も補修ができなくなったのです。洪水の被害によって、農村が疲弊し、国力がどんどん衰えていったのです。

徴税がうまくいっている間は富み栄えるが、やがて役人たちが腐敗していくと国家財政が傾く。それを立て直すために重税を課し、領民の不満が渦巻くようになる。そして国内に生まれた対抗勢力や、外国からの侵略者によって、その国の政権(王)は滅んでいくのだ。

エジプトではユダヤ人が奴隷にされ、逃げ出すほど国が荒んでいました。やがてアメン神殿に逃げ込む人が増え、エジプトの課税基盤が弱くなり、エジプトは分裂し、最終的にはマケドニアのアレクサンドロス三世に滅ぼされてしまいます。

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歴史は繰り返す!

ローマ帝国も属州に対する徴税を強化し、徴税請負会社が中間マージンを取ることで、属州の人々の税負担は跳ね上がりました。やがて、彼らが叛乱を引き起こし、それが原因で、ローマの共和制は混乱しました。その後も税収不足に悩まされたローマは通過を増発し、激しいインフレに襲われました。ローマ人の徴税も酷くなりましたが、裕福な貴族や地主は賄賂を使い、税を免れました。一部の特権階級だけが豊かになり、市民生活は破綻していきました。最終的に国家の中央集権力は弱まり、ローマは東西に分裂し、崩壊の道を歩んでいったのです。

繁栄を誇ったフランスでも同じことが起こり、王政が革命によって倒されました。革命時のフランス国王は、それほど強い権限を持たず、借金で首が回らない状態でした。商人や他の貴族たちには頭が上がらず、その結果、庶民に課税をして、借金を返済していくしかなかったのです。その課税が、国民の反発を招き、革命が勃発したのです。

あのナポレオンも経済政策を間違え、自滅していきます。実はナポレオンが強かったのは、他国に比べてフランス軍の費用が安かったからだと著者は指摘します。他のヨーロッパ諸国は、傭兵による”高額”な軍隊を使っており、それはどこの国にとっても重い財政負担になっていました。しかし、ナポレオンは、徴兵制を導入することで、大きな軍隊を動かし、領土を広げたのです。しかし当時のフランスは、前国王時代からの借金が滞っており、新たな軍資金を調達することができませんでした。そのためナポレオン軍は、長期戦には耐えきれずに、最終的に敗退してしまいました。

国の盛衰というものには、一定のパターンがある。強い国は、財政システム、徴税システムなどが、しっかりと整っている。そして国が傾くのは、富裕層が特権をつくって税金を逃れ、中間層以下にそのしわ寄せがいくときなのである。だから国を長く栄えさせようと思えば、税金を逃れる「特権階級をつくらないこと」だといえる。

現代はフランス革命前の社会に似ていると著者は言います。富がほんの一握りの富裕層に集中していますが、これ以上貧富の拡大が続くと革命が起こるかもしれません。タックスヘイブンなどの特権階級の横暴が、世界規模での革命の入り口になるとも限らないのです。なぜなら、「歴史は繰り返すもの」だからです。

まとめ

歴史はお金の流れによって決まると。戦略や組織だけでなく、経済的視点で歴史を紐解くと大村大次郎氏は指摘します。国家が崩壊するときには、富裕層が特権をつくって税金を逃れ、中間層以下にそのしわ寄せがいくという共通点があります。この視点で、現代日本の状態を見ると危機的状態であることがわかります。

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