書評 遠藤功氏の「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒント

ビジネスとは「差別化」を追求することだと私は思っています。差別化なんて言葉を使うとぎょっとする人もいるかもしれませんが、要は「ほかの人たちとは違う何か」を生み出すことができなければ、ビジネスで成功することはできません。私が訪ね歩いたお店は、ホットケーキという一見ありふれた食べ物で差別化することに成功し、多くのお客さまたちを魅了しています。(遠藤功)


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外国人まで魅了するホットケーキの魅力は何なのか?

遠藤功氏の「ホットケーキの神さまたち」に学ぶビジネスで成功する10のヒントは、ありふれたホットケーキを題材にしています。しかし、本書を軽んじてはいけません。ホットケーキという一昔前のスイーツに込められた経営者たちの戦略を読むことで、ビジネスで成功するためのヒントをもらえます。ホットケーキの名店を旅しながら、いつの間にかマーケティングのフレームワームを学べるのです。

ホットケーキの名店・ピノキオには、朝食のために世界の富裕層が集まります。4人のアメリカ人の富裕層が銀座から黒塗りのハイヤーで板橋の大山にあるピノキオまで乗り付けてしまうのです。なぜ、彼らは一流のホテルの朝食ではなく、ピノキオのホットケーキを食べるのでしょうか?

私たちが知らない間に、ホットケーキは世界を魅了していたのです。私たちが気づいていない、意識していない価値を、外国人たちは高く評価しているのです。

家では作れないホットケーキを出すためにピノキオのマスターの塩谷氏は「丸くて厚いホットケーキ」にこだわります。「いまだに100点満点のホットケーキは焼けたことがない」というマスターの求道者のような姿勢が、世界の富裕層まで魅了しているのです。

京都の老舗喫茶店・スマート喫茶店では、平日でも100~200食のホットケーキが売れています。大阪東梅田のサンシャインでは、1年間に2万7000食のホットケーキが食べられています。飲み物が付いたホットケーキセットは810円なので、ホットケーキで年間の売り上げが2000万円を超えます。ホットケーキは、街場の小さなお店の隠れたヒット商品になっています。ホットケーキの繁盛店は、それぞれ特徴を出し、世界中から顧客を取り込んでいます。

渋谷のフルーツパーラーの西村には「西村の掟」があります。西村には、変えるものと変えないものがあり、この掟を守ることで、顧客を喜ばせています。

うちには『昔ながらの味に甘んじるな』という掟があります。渋谷という街は、何も変えずに生き残れるほど甘い街ではありません。変わりつづける街だからこそ、守るためには攻めなきゃいけないと思っています。(西村元孝)

西村では、ホットケーキの味を守りながら、脇を固めるバターとシロップを美味しくしています。バターは以前は角切りでしたが、溶けやすいようにギザギザを入れた球形に変えました。メープルシロップもメープル風味は残しつつ、甘さを抑えています。変貌を続ける渋谷という街で、西村のホットケーキは静かに進化し、顧客から今も支持されています。

 

ホットケーキの名店から学ぶ10の競争戦略の視点

ビジネスで成功するうえで最も大切なことは「差別化」です。成功しているお店はホットケーキで差別化し、ファンを獲得しているのです。繁盛店のホットケーキのオーダー率は、驚くほど高いものになっています。大山のピノキオは98%、シビタスは95%と驚異的な数字をあげています。

差別化とは、ほかにはないオリジナルな価値を生み出すこと。成功している会社は、例外なく差別化された価値を生み出しています。逆に、どんなに努力しても、差別化されていないものは、お客さまから支持されず、競争に勝つことはできません。

差別化を考える際に次の2つの視点を持つようにしましょう!
1、お客さまから支持される差別化 ひとつめは、差別化がお客さまから支持されること。差別化されているかどうかを決めるのは、お客様であることを絶えず忘れないようにしましょう。
2、すぐには真似されない差別化 2つめは、差別化がすぐには真似されないことです。容易に真似できるものは、本当の差別化とはいえません。真の差別化を生み出すには、それなりの「深さ」が必要です。一度は差別化に成功したからといって、ほかの会社がすぐ真似できるような「浅い」差別化では意味がありません。こだわり、仕事の丁寧さ、見た目の美しさ、居心地の良さなど繁盛店はいくつもの差別化ポイントを組み合わせています。

私たちはホットケーキの名店から競争戦略を学べます。著者はホットケーキの中にもチャンスがあると言い、以下の10のヒントをまとめています。
[ヒント1] 一見ありふれたものにこそチャンスはある競争戦略の視点
[ヒント2] 真の差別化は「価値の複合化」から生まれる競争戦略の視点
[ヒント3] シンプルなものでもイノベーションは生み出せる現場力の視点
[ヒント4] 真の差別化を生み出すには、試行錯誤が不可欠であるマーケティングの視点
[ヒント5] お客さまの声は神の声マーケティングの視点
[ヒント6] 損して得取れマーケティングの視点
[ヒント7] ロコミは最高のマーケティングマーケティングの視点
[ヒント8] 立地の価値は「変数」である 経営理念の視点
[ヒント9] お客さま目線を忘れずに、進化を止めない経営理念の視点
[ヒント10] 本気で向き合い、心血を注ぐ

ホットケーキはありふれた商品で、自宅でも食べられます。しかし、味がありふれていなければ、売れるはずです。ホットケーキの繁盛店は、ホットケーキを「深める」努力をしています。「ホットケーキなんて誰も外で食べない」とあきらめてしまうのではなく、「どうしたらわざわざ食べに行く価値のあるホットケーキ」になるのだろうと、創意工夫を凝らしているのです。

ピーター・ドラッカーは、経営の目的を「顧客の創造」と定義していますが、 顧客とは、企業が提供する商品やサービスの価値を認め、対価を払って手に入れようとする人たちのことです。顧客は最初から存在するわけではありません。潜在顧客が「欲しい」と思うような価値を生み出し、「潜在顧客を顕在化させる」ことが経営の本質です。

ホットケーキの繁盛店は、一見ありふれているホットケーキにこだわり、その付加価値を高め、顧客を創造することに成功しているのです。

ソーシャルメディアのおかげで、よいお店の情報はあっという間に世界に広がり、繁盛店を作り出します。真に差別化された本物であれば、その情報は必ず広がり、ファンを作るきっかけになります。お店に顧客を感動させる価値があれば、顧客が勝手にお店に宣伝をしてくれます、

お客さまに喜んでいただけるものは何かを常に考え、お客さま起点の発想をすべきです。変えることをしない老舗もあれば、変えることでイノベーションを起こした繁盛店もあります。重要なのは顧客を喜ばす視点なのです。

「変える」のも「変えない」のも、その起点はすべてお客さまなのです。 繁盛店はお客さま目線をけっして忘れません。そして、新たなことに果敢に挑戦し、進化を止めることがありません。

日本の商店街は画一化が進み、同じ店、同じ味が増えています。この状態が進めば、世の中は味気ないものになり、ここだけでしか得られない体験は貴重なものになります。手づくりのホットケーキを提供するお店は、手間暇も多く、ある意味で「変なお店」です。しかし、合理性一辺倒、経済性一辺倒になりつつある世の中だからこそ、どこかぬくもりを感じるホットケーキを求める人が増えています。ホットケーキの繁盛店は、私たちに顧客との向き合い方を教えてくれます。本書の10のヒントを参考にして、繁盛店を作りましょう。

まとめ

ホットケーキの繁盛店は顧客を喜ばすために、差別化を追求しています。味、こだわり、サービス、居心地の良さなど顧客体験を高める努力を続けることで、お店は繁盛します。いくつもの差別化要因を組み合わせ、顧客を喜ばすことを行えば、商売はうまくいくようになるのです。

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