喫煙は医療費を削減する?

タバコががんなどの原因になることがわかって禁煙対策が求められるようになったわけですが、政府にできるのは、「喫煙は健康を害する」という啓発活動と、タバコの値段を上げることくらいです。啓発活動は大事ですが、喫煙者にはあまり効果がないことがわかっています。海外の研究ですが、タバコの箱に(喫煙で汚れた肺など)おどろおどろしい写真を載せると、喫煙者は不安を抑えるためによりタバコを吸いたくなるのです。(橘玲)


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健康に害を及ぼす受動喫煙をなかなか防げない日本という国

橘玲氏の事実 vs 本能 目を背けたいファクトにも理由がある書評を続けます。今回は喫煙と健康について考えてみます。まず、データを見ながらファクトをチェックしてみたいと思います。国立がん検査センターのサイトをみると、がんを予防するためには、タバコを吸わないことが最も効果的であることがわかります。日本の研究では、がんになった人のうち、男性で30%、女性で5%はタバコが原因だと考えられています。また、がんによる死亡のうち、男性で34%、女性で6%はタバコが主な原因になっています。

喫煙者は、生涯タバコを吸わない人より10年程度余命が短くなるという報告もあります。ただし、35歳より前に禁煙すれば、たばこによる死亡リスクの増加を回避できることもわかっています。喫煙によって日常生活動作の低下や認知症の発症リスクが上昇するなど、タバコは身体に影響を及ぼす悪い習慣なのです。

タバコを吸うことは、本人だけでなく、吸わない周りの人にも肺がんなどの健康被害を引き起こします。この受動喫煙防止対策が来年のオリンピックを前に紛糾しています。国際オリンピック委員会は「タバコのないオリンピック」推進を日本政府に求めてきました。それを受けて厚労省が、小規模なバーやスナックを例外として屋内を原則禁煙とする案を提示したところ、飲食店の売り上げが落ちるとして自民党議員が強く反発しました。

最近では、ファミリーレストランやカフェで禁煙化が進んでいます。私も非喫煙者なので、こういった店が増えることは大歓迎ですが、レストランや居酒屋、昔ながらの喫茶店では喫煙がまだまだ可能です。高級寿司屋でもタバコOKの店がありますが、美味しいものを食べている最中にタバコの煙を吸うのは勘弁してもらいたいです。著者の橘氏は、喫煙を放置している店に問題があると述べていますが、政府の方針は小規模な店舗を例外にしていますから、喫煙者が集う店は禁煙を選ばない可能性があります。これでは客や従業員が受動喫煙で、病気になる可能性が残ります。オリンピックイヤーに屋内禁煙が常識の国からやってきた外国人は、びっくりするはずです。

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喫煙は医療費を削減するのか?

その一方で、タバコが合法である以上、喫煙者の権利は守らなければなりません。リベラルな社会では、他人に迷惑をかけなければ(法の許すかぎり)なにをしようが自由だからです。

タバコががんなどの原因になることがわかって禁煙対策が求められるようになっていますが、禁煙の啓発活動はあまりうまくいっていません。

海外の研究ですが、タバコの箱に(喫煙で汚れた肺など)おどろおどろしい写真を載せると、喫煙者は不安を抑えるためによりタバコを吸いたくなってしまうそうです。タバコへの課税は有効ですが、タバコの値段が1箱1万円になれば、かつての禁酒法と同じで、タバコの巨大な闇市場が生まれるはずです。

「喫煙者は医療費を増やすことで社会に負担をかけている」との主張が出てきました。たしかに、がんになれば治療が必要ですから、これは一見わかりやすい理屈ですが、よく考えるとそうともいえません。タバコが死亡率を高めることは多くの研究が示していますが、死んでしまったひとには年金を払う必要もなければ、高齢者医療や介護もいらないからです。医療経済学では、こうした効果を総合すると、「喫煙は医療費を削減する」というのが定説になっています。

タバコを吸う人は早死にする可能性が高いので、医療費が削減されると言う事実が医療経済学では当たり前に語られています。

法律が強化され、外出先や店で吸えなくなったとしても、喫煙者は自宅ではタバコを思う存分吸えます。彼らは、統計的には早死にしますから、非喫煙者に比べて社会の負担にならないと言えます。健康のためにタバコをやめたい人は禁煙を選択し、吸いたい人は自己責任で人に迷惑をかけずに吸うと言うのが世の中のルールになるかもしれません。

まとめ

タバコを吸う人は早死にする可能性が高いので、医療費が削減されると言う事実が医療経済学では定説になっています。啓発活動や課税で禁煙を抑制するのは難しく、タバコを吸う場所を自宅などに限定し、長生きしたい人を受動喫煙から守ることが私たちにできることかもしれません。

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