ジェイソン・ファンの「トロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダ」の書評

肥満の対処法や予防法、インスリン抵抗性やインスリンの過剰分泌といった症状への対処法として最も効果が期待できるのは、インスリン抵抗性から起こる疾患である2型糖尿病の治療に用いられるのと同じ、「低炭水化物・高脂質の食事」である。(ジェイソン・ファン)


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遺伝子が肥満の原因の70%!

ジェイソン・ファンのトロント最高の医師が教える世界最新の太らないカラダを読むと過去のダイエットの常識がいかに非常識だったがわかります。先進国では1970年代から、肥満の人が爆発的に増加していますが、これは、多くの人が間違った常識を信じたために起こってしまった悲劇なのです。

医師たちは30年以上にもわたって、「低脂質・低力ロリーの食事療法が肥満の解消に最も効果的」だと推奨してきました。しかし、肥満は加速度的にまん延し、1985年から2011年までに、カナダにおける肥満率は6%から18%へ、実に3倍も跳ね上がってしまいました。この現象は北米大陸特有のものではなく、世界中のほとんどの国で起こっています。

本書では調査データをしっかりと検証し、肥満のメカニズムを明らかにしています。実は、太る原因の「7割」は血統にあることがわかっています。アルバート・J・スタンカード博士は1991年、別々に育てられた一卵性、二卵性の双子と、一緒に育てられた一卵性、二卵性の双子について調査しました。その結果、「肥満を決定づける要素のおよそ70%が遺伝によるもの」ということが明らかになったのです。肥満は圧倒的に遺伝の影響が大きいのですが、残りの30%の原因も存在します。しかし、多くの人は肥満の原因を取り違え、ダイエットに失敗しているのです。

人々はカロリー神話に取り憑かれ、肥満から抜け出せずにいます。摂取力ロリーを減らせば体重が減る、運動によって痩せられるというのが定説になっていますが、力ロリー制限をしたり、1回の食事量を減らしたりしても、倦怠感と空腹感を覚えるだけです。最悪なのは減った体重がすべてリバウンドで戻ってしまうのです。

「まず力ロリーを制限しましょう」「食事量を減らし、運動量を増やしましょう」そう繰り返し聞かされてきたので、それがはたして真実なのかどうか、疑ってみようともしない。 その代わりに、ダイエットの失敗の原因は自分にある、と考え、失敗を自分のせいにしてしまう。食事療法を守らなかったのがいけないのだと、心のなかで自分を非難する人もいる。

1回の食事量を減らしたり、力ロリーを制限するダイエットは、失敗するのが当たり前だと著者のジェイソン・ファンは指摘します。

 

運動や意志の強さ、摂取力ロリーは、ダイエットにあまり影響を及ぼさない?

運動する人が増えても、肥満率の減少にはまったく効果がなかったのである。私たちがオールディーズの曲に合わせて踊って汗をかいても、肥満は容赦なく増えていった。

世界中で運動する人が増えています。私の周りでも多くの人が運動していますが、肥満率が下がったようには思えません。各国の政府は、減量のための運動を奨励するのに何百万ドルという資金をつぎ込み、国民を運動させることには成功しましたが、結果が伴っていないのです。

最近実施された8か国を対象にした調査では、年間の運動日数は世界平均で112日だったところ、アメリ力人は最多の135日を運動に費やしていました。最も少ないのがオランダ人で93日。しかし、運動は、肥満率の減少につながりませんでした。年間の運動日数が少なかったオランダ人とイタリア人についていえば、ダンベルを使ってトレーニングに励んでいるアメリ力人に比べて、肥満率は3分の1にとどまっているのです。

最近の研究で遺伝以外の肥満の原因が、実はホルモンのバランスであることがわかってきました。

大きくいうと、肥満の原因は、体内のホルモンのバランスが崩れることによって体重の設定値が高くなり過ぎることだ。ホルモンは、多数の体内システムの調節を担う科学的な伝達物質で、食欲、脂肪の蓄積、血糖値の調節などを行う。

特に「インスリン」と言うホルモンが肥満との因果関係があることがわかりました。

意志の強さや摂取力ロリーはあまりダイエットに影響を及ぼしません。運動量も関係ないのです。重要なのはインスリンで、インスリンが体重の設定値を調節する重要な働きをしているのです。インスリンが多いと、設定体重も増、視床下部が「太れ」というホルモン信号を体内に発し、私たちは空腹を感じて食べ過ぎてしまうのです。

だが、何よりも大事なのは、肥満はホルモンのバランスが崩れるせいで起こるとわかれば、そのための対処をすればいい。もし、力ロリーの過剰摂取が肥満の原因だと信じていたなら、カロリーを減らしさえすればいいということになるだろう。だが、このやり方はこれまでうまくいった例しがない。インスリンの分泌量が多いことが肥満の根本原因なのだとすれば、インスリンの分泌量を抑えればいいということは明らかだ。

課題は、どうやってカロリーのバランスをとるかではなく、どうやってホルモンのバランスをとるかだったのです。そして肥満における最大の課題は、インスリンが肥満の原因であるという事実を知ることなのです。私たちは「どうやったらインスリンの分泌量を抑えられるか」を考えるべきです。

コルチゾールの値が慢性的に高い状態にあると、インスリンの分泌量が増えることがいくつもの研究で立証されています。慢性的にコルチゾールによる刺激があると、インスリンの分泌と肥満が増えるのです。慢性的なコルチゾールの分泌がインスリンの値を高くし、それが肥満の原因になっているのです。

インスリン抵抗性とは何か?

インスリンの分泌量が多いと太る。そして、その分泌量は何を食べるかによって変わってくる。だが、インスリンを増やすもうひとつの要因を、私たちは忘れている。それは時間とともに現れる症状で、既存のダイエットをしても治らない「インスリン抵抗性」だ。インスリン抵抗性の状態になると、体は同じ量のグルコースを細胞に摂りこもうとして、インスリンの分泌量を増やす。その結果、常にインスリン値の高い状態になるという代償を払わなければならなくなる。

現代人は常に何かを食べています。このため、インスリン値が高くなってしまっているのです。おやつには精製された炭水化物が多く含まれていることが多く、これもまたインスリン値を上げる原因だと考えられています。

では、健康的に痩せるために、私たちはどうすればよいのでしょうか?多くの食べ物がインスリン値を上げるのだとすれば、インスリン値を下げるには、「まったく何も食べない」状況を作り出せばよいのです。インスリン抵抗性を改善するためには、間食をやめること、そして食事の回数を減らすことが重要です。さらに、間欠的ファスティングをすることで、インスリン抵抗性を断ち切って、体重を減らせるようになります。

私も3年前にダイエットをした時に、ファスティングを取り入れ、食事をコントロールしました。この結果、体重が13キロ減り、気持ちもスッキリするようになりました。

まとめ

食事量や食事内容よりも、「食事の回数」が減量にははるかに重要であることが、最新の減量研究で明らかになりました。肥満の原因のインスリン値を下げるには、「まったく何も食べない」状況を作り出せばよいのです。インスリン抵抗性を改善するためには、間食をやめること、そして食事の回数を減らすことが重要です。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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