鈴木祐氏の不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になるの書評

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不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる
著者:鈴木祐
出版社:かんき出版

本書の要約

人間は「生存の危機」にさらされると、ホルミシスを発動させて、若返ることができます。人は苦痛と回復をくり返すことで、長寿を実現しているのです。運動などの適切な量の苦しみと休息を交互に繰り返すことで、人は老化のスピードを遅らせることができるのです。

人生100年時代、健康長寿を目指すために必要なこと

あなたの心と体を若返らせるためには適切な量の苦しみが必須であり、同時に徹底的な癒やしが欠かせません。2つのフェーズの往復により正のスパイラルが生まれ、あなたの老化スピードは遅くなっていきます。(鈴木祐)

人生100年時代に突入し、健康を意識しないと不幸な老後を過ごすことになります。著者はサイエンスジャーナリストとして活躍する傍ら、10万本の科学論文の読破し、600人を超える海外の学者や専門医へのインタビューを行いました。そこから得られた知見をわかりやすくまとめた一冊が、本書不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になるです。

私たちの祖先であるホモ・サピエンスが暮らした20万年前は、狩猟と採集によって人は必要なカロリーを得ていました。彼らは獲物を運びながら毎日4~6時間かけて平均16キロもの距離を移動していたのです。獲物が長期間にわたって見つからないときは、干し肉や余り物を分け合って、生命を維持していました。

私たちの祖先は、生きるために、激しい身体活動を日常的に行っており、定期的にカロリー不足の状態にさらされていました。

原始の生活では、現代で言う「運動」と「断食」がライフスタイルの一部として組み込まれていました。言い換えれば、私たちの祖先の日常は、つねに「苦痛」とともにあったわけです。

しかし、飢えで悩まなくなった現代人は運動をしなくなっています。エネルギーを浪費するのは無駄なことなので、人は移動する必要がなければ運動を自らしないものです。日本では成人の38.5%が推奨の活動量を満たしておらず、特に20~30代の8割には運動を習慣にしていません。

生存の危機がないと、ヒトの肉体は機能が下がり、それが老いをもたらします。私たちの肉体は、生存の危機から解放されたと判断するや、自らの機能を下げ始めてしまうのです。

歩かなくなることで、使われなくなった筋肉が分解をはじめ、細胞内におけるタンパク質の合成スピードが低下します。少しずつ肉体が縮んでいくと同時に、骨の修復メカニズムと心臓の血液のポンプ能力が落ちていきます。

運動不足は脳にも悪影響を及ぼします。ドーパミンやアドレナリンといった神経伝達物質の分泌量が減ってモチベーションが減退し、なにもやる気が起きなくなります。タンパク質の合成が進まなくなると、筋肉と肌が落ちくぼみ、モチベーションが失われたせいで活気もなくなり、一気に老化が始まります。

現代でも長寿で有名な場所があります。アマゾンのチマネ族は今でも、1日に平均で14~16キロを歩くそうです。活動量が多いだけに休憩も徹底しており、いったん獲物を手に入れたあとは昼から睡眠を取り、日が沈むまで仲間たちとひたすら談笑します。チマネ族は適正レベルのストレスを自分に与えることで、老化を防いでいます。

サルデーニャの人たちも生涯を通して厳しい肉体労働を続けます。たとえば、100歳過ぎで働く老人も多く、オリーブの栽培をしたり、山岳地帯で1回12キロ近いハイキングを行います。活動後は休憩をとり、多くの老人は、いったん仕事を終えたら仲間と広場に集まり、心身の回復に努めています。チマネ族もサルデーニャの人たちも、人生の苦痛に挑み続けることで、驚くほど若い肉体を保ち続けているのです。

ホルミシスが人を長生きさせる!

アンチエイジングで有効な考え方が「ホルミシス」です。1888年にドイツの科学者ヒューゴ・シュルツが見つけた現象で、ある日、博士は少量の毒物がイースト菌の成長を加速させているのを発見しました。不思議に思った博士は調査を進め、「すべての物質は、少量であれば刺激し、適量であれば抑制し、多量であれば殺傷する」という結論も導き出します。生き物にとって本来は有害なものでも、ほんの少しならいい効果をもたらし、老化を防げます。

70度以上の高温に身をさらすサウナはホルミシスの代表例です。サウナに入ることで、人間の体は深部の温度が上がり、心拍数が平均で120bpmまで増えます。これは軽いジョギングなどで起きる変化に近く、心臓や血管の改善につながります。

フィンランドの約2300人を対象にした研究によると、週に2〜3回サウナを利用する男性は、サウナを使わないグループと比べて心臓や血管の病気で死ぬリスクが27%減少、週の利用度が4~7回だった場合は、死亡リスクがさらに50%まで下がることがわかっています。別の研究でも、サウナで認知症やアルツハイマー病のリスクが65%も減ることが示されています。

人間は「生存の危機」にさらされると、ホルミシスを発動させて、若返ることができます。人は苦痛と回復をくり返すことで、長寿を実現しているのです。

最新の研究では、日常的な活動の負荷を少し上げるだけでも、クオリティが高いエクササイズを行ったと考えて良いことがわかってきました。アメリカの保健福祉省は、2018年に過去の膨大な健康調査を精査し、こんな結論を出しています。

現在までの統計調査によれば、1回あたりのエクササイズの時間は、運動で得られるメリットとは関係がない。デスクワークの時間を減らし、少し体を動かすだけでもいい。すべての行動は運動の時間として考えるべきなのだ。

毎日ジムのマシンで30分のランニングをする人と、「コンビニまで3分走る」「駅の階段を30秒駆け上がる」といった細かい活動を30分積み重ねた人を比べても、得られる健康効果はほとんど同じなのです。日常生活に短時間のの運動を取り入れ、自分の体に苦痛を与え、健康長寿を目指せます。私も苦痛と回復のサイクルを取り入れ、老化を防ごうと思います。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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