田中研之輔氏のプロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術の書評


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プロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術
著者:田中研之輔
出版社:日経BP

本書の要約

プロティアン・キャリアでは、キャリアを過去の実績と捉えるのではなく、未来への羅針盤として捉えます。未来から逆算することで、過去の失敗体験ですら、資産に変えられます。「ビジネス資本」と「社会関係資本」を蓄積することで、結果「経済資本」を豊かにできるのです。

プロティアン・キャリアと言う考え方を身につけよう!

人生100年時代。私たちに求められるのは、キャリアを組織に預けるのではなく、自分でデザインしていくことです。それを理解し、目の前の悩みに拘泥するのではなく、行動して、人生を自分の力で豊かにしていくことです。 (田中研之輔)

私の人生の目標の一つに、「70歳までワクワクに働く」と言うものがあります。51歳の時に広告会社をやめ、社外取締役・アドバイザリーと言う天職を見つけてから、人生をより楽しめるようになりました。独立以来、キャリアは幾つになっても変えられることを学んできました。

5年前にリンダ・グラットンLIFE SHIFT(ライフ・シフト)を読んだ時に、彼女の考え方に共感し、自分のキャリアを再考しました。自己資本を充実させることによって、未来の自分をよりよくできると考え、自己投資を繰り返してきました。

毎日この書評ブログを更新することが私の変化のきっかけの一つになっています。様々な本に出会い、著者の思考や行動を取り入れることで、自分を変えられることに気付きました。私は良書に出会うために、定期的にAmazonを巡回しますが、先日、リンダ・グラットンの考えを押し進めたプロティアン 70歳まで第一線で働き続ける最強のキャリア資本術に出会えました。今日は法政大学キャリアデザイン学部教授の田中研之輔氏が提唱する「プロティアン・キャリア(PROTEAN CAREER)」という考え方を紹介します。  

「プロティアン」には、「変化し続ける」「変幻自在な」「一人数役を演じる」という意味があります。プロティアン・キャリアとは、米ボストン大学経営大学院で組織行動学や心理学の教鞭を執るダグラス・ホール教授が提唱したものです。  

プロティアンという言葉の語源は、ギリシヤ神話に出てくる、思いのままに姿を変える神プロテウスにあります。神プロテウスは、火にもなり、水にもなり、ときには獣にもなったりするなど、環境の変化に応じて変幻自在に姿を変えます。社会や環境の変化に応じて柔軟に変わることのできる変幻自在なキャリアが本書のテーマの「プロティアン・キャリア」です。

著者は以下の15の質問に答えて、自己資本をチェックするとよいと言います。
・毎日、新聞を読む
・月に2冊以上、本を読む ・英語の学習を続けている
・テクノロジーの変化に関心がある ・国内の社会変化に関心がある
・国外の社会変化に関心がある
・仕事に限らず、新しいことに挑戦している
・現状の問題から目を背けない
・問題に直面すると解決するために行動する
・決めたことを計画的に実行する
・何事も途中で投げ出さず、やり抜く
・日頃から、複数のプロジェクトに関わっている
・定期的に参加する(社外)コミュニティが複数ある
・健康意識が高く定期的に運動している
・生活の質を高め、心の幸福を感じる友人がいる
○が12個以上 →プロティアン人材
○が4個から11個→潜在的プロティアン人材
○が3個以下 →ノンプロティアン人材

 キャリアは、「結果」ではありません。キャリアとは、個人が何らかの継続経験を通じて、能力を蓄積していく「過程」を意味します。そして、これまでの経験の「歴史」でありながら、これからの「未来」でもあるのです。私なりに定義すると、キャリアとは、これまで生きてきた足跡(結果)であり、生き方を客観的・相対的に分析すること(現在)でもあり、そして、これからの生き方を構想する羅針盤(未来)なのです。

著者は、プロティアン・キャリアという考え方を身につけることで、働き方や生き方を大きく転換させたと言います。

先ほどのテストの結果を信じると、私はプロティアン人材になります。以前は、アルコール依存症でダメダメだった私も自己投資を続けることで、プロティアン人材になることができました。14年前にアルコールを断って、変化することを決めた自分に今は感謝しています。幾つになっても変化できるのですから、自分の未来のために自己投資をスタートしましょう。

「ビジネス資本」「社会関係資本」「経済資本」を充実させよう!

プロティアン・キャリアでは人との「関係性」を重視します。伝統的なキャリアは、1つの組織の中で自己を捉えてきましたが、プロティアン・キャリアでは、職場や職場の外、趣味のコミュニティ、地域のコミュニティなどの「関係性」の集合として、「変幻する自己」を捉えます。

プロティアン・キャリアは、組織に属することを前提とした伝統的キャリアとは、次の3つの点で違いがあります。
1、プロティアン・キャリアでは、個人が様々なキャリアパスを取ります。大学卒業後も、自分のライフステージに合わせてキャリアを柔軟に選択できます。一つの組織の中に属し、組織内でキャリア形成するよりも、よりセルフカスタマイズした キャリアの選択ができるようになるのです。

2、プロティアン・キャリアでは、個人が様々な空間で働き、生活するようになります。仕事とそれ以外、仕事と家庭といった明確な境界線を設定するのではなく、子育てや介護にも時間を使い、時間のマネジメントをしながらキャリアを築いていきます。テクノロジーの発達によって、在宅ワークや職場以外の場所からのリモートワークも可能になっています。今回のコロナ禍で私たちはこのメリットを教授できるようになりました。自分をアップデートすることで、働き方を変えられる時代を私たちは生きているのです。

3、プロティアン・キャリアでは、個人を主たる対象として捉え、組織は個人が求める機会や場を提供するプラットフォームと考えます。個人は組織に従属するのではなく、個人がキャリア形成する場として組織が存立するようになるのです。

いますべきことは目の前の些末な問題と格闘して消耗することではなく、 「自分の将来をきちんと見据えて、動くようにする」ことなのです。それを実践することが将来の「プロティアン・キャリア」につながっていきます。

プロティアン・キャリアでは、キャリアを過去の実績と捉えるのではなく、未来への羅針盤として捉えます。未来から逆算することで、過去の失敗体験ですら、資産に変えられます。

本書ではこのブログでも何度も紹介しているJ・D・クランボルツ教授らが提唱した「計画された偶発性理論」が取り上げられています。「個人のキャリアの8割は予想もしていない偶発的なことで決定される」という考え方を取り入れることで、私たちは失敗を恐れずに行動できます。

偶発的な出来事に備え、計画的に設計し、個人のキャリアをより良く形成することで、未来を明るくできるのです。以下の5つのルールを人生に取り入れることで、人生をエンジョイできるようになります。
■好奇心 :新しいことに興味を持つ
■持続性 :ある程度は何でも続けてみる
■柔軟性 :物事に固執したり、既成概念にとらわれ過ぎず、いろんなものを受け入れること。
■楽観性 :何でもネガティブに受け取らず、失敗しても当たり前だと気楽に考える
■冒険性 :とにかく行動する
私も「計画された偶発性理論」を実践することで、ワクワクな時間を過ごせるようになりました。

何が蓄積されるか、ということです。カメレオンのように表面的に「姿」を変えるのがプロティアンなのではなく、変化しながら、経験を蓄積する内面的な変身こそ、プロティアン・キャリアの本質です。

そしてプロティアン・キャリアを形成するには、個人の「キャリア資本(Career Capitalの蓄積」に力点を置くことです。以下の3つの資本を充実させることを日々心がけましょう。
(1)ビジネス資本……スキル、語学、プログラミング、資格、学歴、職歴などの資本
(2)社会関係資本……職場、友人、地域などでの持続的なネットワークによる資本
(3)経済資本……金銭、資産、財産、株式、不動産などの経済的な資本 

「ビジネス資本」と「社会関係資本」を蓄積することで、結果「経済資本」を豊かにできることを私は独立後学びました。プロティアン・キャリアを取り入れることは、時間はかかりますが、今始めることで、未来の自分を幸せにできます。定年を気にせず、楽しく働くために、今後も3つの資本を充実していきます。

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この記事を書いた人
徳本昌大

■複数の広告会社で、コミュニケーションデザインに従事後、企業支援のコンサルタントとして独立。
特にベンチャーのマーケティング戦略に強みがあり、多くの実績を残している。現在、IPO支援やM&Aのアドバイザー、ベンチャー企業の取締役や顧問として活動中。

■多様な講師をゲストに迎えるサードプレイス・ラボのアドバイザーとして、勉強会を実施。ビジネス書籍の書評をブログにて毎日更新。

■マイナビニュース、マックファンでベンチャー・スタートアップの記事を連載。

■インバウンド、海外進出のEwilジャパン取締役COO
IoT、システム開発のビズライトテクノロジー 取締役
みらいチャレンジ ファウンダー
他ベンチャー・スタートアップの顧問先多数 

■著書
「ソーシャルおじさんのiPhoneアプリ習慣術」(ラトルズ)
「図解 ソーシャルメディア早わかり」(中経出版)
「ソーシャルメディアを使っていきなり成功した人の4つの習慣」(扶桑社)
「ソーシャルメディアを武器にするための10ヵ条」(マイナビ)
など多数。
 
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